夏の邦楽ソング名曲ベスト50 (50-41)

夏なので季節感のある邦楽ソングの中から、これは名曲なのではないかと思える曲を50曲選んで、ランキングにしてみた。こういうのはよくいろいろなメディアでいろいろな人たちのアンケートや投票によってやられがちであるが、ここではたった一名だけの主観と客観や趣味嗜好に思い出補正によって作成されているため、けしてディフィニティヴでスタンダードなものではまったくない。あくまでこういうのもあったりなんかしちゃったりして(広川太一郎)というようなタイプのそれである。基本的に夏はずっと永遠に続いていただいて一向にかまわない、という考えの持ち主であり、いま現在そういったグルーヴが特に強まっていることもあり、真夏のピークが去ったと天気予報士が言っているようなタイプの曲は、たとえ名曲で個人的にも大好きだったとしても今回は入れていない。というわけで、やはり5回に分けて適当にやっていきたい。

50. 上海ハニー/ORANGE RANGE (2003)

沖縄出身のミクスチャーロックバンドで、00年代前半にCDがとにかく売れまくっていたORANGE RANGEの2枚目のシングルで、オリコン週間シングルで最高5位を記録した。夏のビーチにおける「下心とモラル」のようなものについて歌われていると思われ、ダチョウ倶楽部的な寸劇のようなものが挿入されてもいる。沖縄民謡的なフレーズも入っていて、ポップソングとしてのお得感が感じられる。レコードやCDを買って聴き込んだというよりも、それとなくレンタルビデオ店のBGMやいろいろな店の有線放送で耳にしたぐらいが、夏の名曲に相応しいような気もするのだが、個人的にこの曲などはまさにその類いである。

49. 夏色のナンシー/早見優 (1983)

早見優のシングルはデビュー曲「急いで!初恋」からずっと買っていて、ファンクラブにも入っていた。アルバム「AND I LOVE YOU」収録のトロピカルな謎曲「サテン サンバ72☆」などもとても良かった。ハワイ育ちの帰国子女でビーチ・ボーイズが好きでバイリンガルなところなどが魅力的だったのだが、どうも辛気くさいシングル曲が多くモヤモヤしていたところ、コカコーラのCMソングでもあったこの曲がまさに待っていたタイプのサマーポップで、オリコン週間シングルランキングで最高7位と初のトップ10入りも果たした。本人が出演したコカコーラのテレビCMも、もちろんとても良い。

48. A Perfect Sky/BONNIE PINK (2006)

BONNIE PINKの21枚目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高5位を記録した。ファッションモデルとしてカリスマ的な人気があった、エビちゃんこと蛯原友里が出演した資生堂ANESSAのCMソングであった。グローヴァー・ワシントン・ジュニア「クリスタルの恋人たち」こと、いわゆる「Just the Two of Us」進行の使用例としても知られる。

47. デビュー~Fly Me To Love~/河合奈保子 (1985)

1980年に西城秀樹の妹分としてデビューし、80年代のある時期にはベストテンの常連だった印象も強い河合奈保子だが、オリコン週間シングルランキングで1位に輝いたのは、21枚目のシングルにあたるこの曲のみであった。杉山清貴&オメガトライブや菊池桃子への楽曲提供でシティ・ポップ的な音楽のお茶の間化に多大なる貢献をしていた林哲司が、河合奈保子に初めて書いた曲でもある。陽性のボーカルがサウンドとマッチして、最高の夏を予感させてくれる。

46. サザン・ウインド/中森明菜 (1984)

中森明菜の8枚目のシングルで、オリコン週間シングルランキングと「ザ・ベストテン」、いずれも1位に輝いた。「ワインレッドの心」のヒットでブレイクした安全地帯の玉置浩二が楽曲提供し、1984年らしい打ち込み感覚と、イエス「ロンリー・ハート」をカジュアルに引用するライト感覚がとても好ましく、夏の危険なゆるさを感じさせたりもする。

45. きらめきシーサイド/Especia (2012)

大阪の堀江を拠点として活動していたガールズグループ、EspeciaのデビューEP「DULCE」に収録されていた曲である。10年代のいわゆる「楽曲派」ライブアイドルシーンにおいては、シティ・ポップがリバイバルする前から、シティ・ポップ、ディスコ・ファンク、ブギー的な音楽の好ましい実験が行われていた例が少なくはなく、これもまたそういったタイプのとても良い曲のように思える。

44. High5/lyrical school (2018)

ヒップホップアイドルユニット、lyrical schoolが2018年にリリースしたとても良いアルバム「WORLD’S END」の収録曲で、「もう待てない summer time」という気分がはち切れんばかりに充満し、時として感動的ですらある。

43. 真夏の光線/モーニング娘。(1999)

ノストラダムスの大予言によると世界が終わるかもしれなかった1999年の夏を前にして発売された、モーニング娘。の5枚目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高3位を記録した。グループをめぐる一般大衆的な騒ぎには無関心でも、この曲を有線放送などでたまたま聴いて、なかなか良いのではないかと思った人たちはわりといたような気がする。そして、「エンドレス サマー」こと永遠の夏はまぼろしに過ぎなかったとしても、このようにカジュアルに歌われてこそグッとくるような気もする。

42. 楽園ベイビー/RIP SLYME (2002)

RIP SLYMEの5枚目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高2位を記録した。00年代前半の日本において、KICK THE CAN CREWなどと共にラップミュージックの一般大衆化に多大なる貢献をした上に、CDもものすごく売れていたのだが、KIRINJI、フジファブリックなどが上位にランクインされがちな平成の名曲ランキングにはランクインしていなかったりする。たとえばこのグループのファンというわけではなく、CDを買っていなかったとしても、当時の日本の夏の記憶はこの曲とシンクロしがちなような気がする、そういったタイプのヒット曲である。

41. G.T./クレイジーケンバンド (2002)

クレイジーケンバンドの4枚目のシングルで、タイトルは自動車の1カテゴリーであるグランツーリスモの略である。昭和歌謡テイストが懐かしいけど新しい、という感じでわりと受けていた記憶がある。オリコン週間シングルランキングでの最高位は57位で、この次のシングルがヒットしたテレビドラマ「タイガー&ドラゴン」のテーマソングであった(オリコン週間シングルランキング最高17位)。