夏の邦楽ソング名曲ベスト50 (20-11)

20. 一本の音楽/村田和人 (1983)

村田和人の2作目のアルバム「ひとかけらの夏」(オリコン週間アルバムランキング最高25位)からの先行シングルで、マクセルカセットテープのCMソングであった。それで、「一本の音楽が僕の旅のパスポート」というフレーズが入っている。山下達郎が全面的にプロデュースした今日でいうところのシティ・ポップ的なサウンドと、スケールの大きなボーカルがとても魅力的である。シンコーミュージックから2011年に発売されたジャパニーズ・シティ・ポップディスク・ガイド本では、はっぴいえんど/ティン・パン・アレー(大滝詠一、細野晴臣、鈴木茂)、松任谷由実(荒井由実)、吉田美奈子、南佳孝、山下達郎、大貫妙子、竹内まりや、杉真理、安部恭弘、角松敏生と並んで代表的アーティストの1人に挙げられている。

19. 夏のクラクション/稲垣潤一 (1983)

今日、日本のシティ・ポップというと山下達郎や大滝詠一などの音楽をも指すようなイメージがあるが、たとえば1983年ぐらいの時点では稲垣潤一や山本達彦のような音楽に対して用いられていたような気がしなくもない。それはそうとして、「ドラマティック・レイン」でブレイクした頃はテレビの歌番組でドラムスを演奏しながら歌う姿が印象的であった。夏は永遠に続いた方が良いので、夏の終わりを歌った辛気くさい曲はあまり好きではないのだが、売野雅勇・筒美京平という歌謡ポップス界の売れっ子コンビによるこの曲はジャパニーズAORという感じでとても良い。オリコン週間シングルランキングでは最高25位を記録した。

18. 青い珊瑚礁/松田聖子 (1980)

松田聖子の2枚目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高2位、「ザ・ベストテン」では初の1位に輝いた。80年代に入り、YMOなどのテクノブーム、B&B、ザ・ぼんち、ツービート、紳助・竜介などの漫才ブーム、山下達郎「RIDE ON TIME」のヒットによるシティ・ポップ的サウンドのお茶の間化などと、ライトでポップな感覚が求められるようになったような気配があったが、松田聖子のこの曲と田原俊彦「哀愁でいと」の大ヒットでフレッシュなアイドル歌謡もヒットチャートの上位に帰ってきた。発売は1980年7月1日だが、少しずつ順位を上げていき、最高位に達したのは9月であった。

17. ふたりの夏物語/杉山清貴&オメガトライブ (1985)

杉山清貴&オメガトライブの5枚目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高5位、「ザ・ベストテン」では1位に輝いた。イントロが流れた瞬間に1985年の夏の気分が甦る。作曲・編曲は竹内まりや「SEPTEMBER」、松原みき「真夜中のドア」などでも知られる林哲司でこの年の夏には河合奈保子に提供した「デビュー~Fly Me To Love」がオリコン週間シングルランキングで1位を記録したりもしている。

16. 海/サザンオールスターズ (1984)

サザンオールスターズの7作目のアルバム「人気者で行こう」のB面1曲目に収録されていた曲である。当初は先行シングルにも予定されていたということだが、「ミス・ブランニュー・デイ」にしたことは正解だったと思われる。なぜなら、オリコン週間シングルランキングで最高6位、「ザ・ベストテン」で最高3位を記録するロングヒットとなったからである。この前の年のアルバム「綺麗」からはAOR/シティ・ポップ的な「EMANON」がシングル・カットされたが、アルバムと同日発売だったこともあり最高24位に終わっている。この頃のサザンオールスターズのアルバムは、実験的な曲とコンサバティブな曲とのバランスがとても良く、この曲は後者にあたるのだがこの時代ならではの薄味のシンセサウンドも含めて味わい深い。

15. 夏なんです/はっぴいえんど (1971)

はっぴいえんどのアルバム「風街ろまん」に収録された細野晴臣の曲で、「花いちもんめ」とのカップリングで冬にシングルカットもされていたようだ。「モンモンモコモコの入道雲」であり「日傘ぐるぐる ぼくはたいくつ」というわけで、見たことはないのだがどこか懐かしい遠い街の景色が立ち上がってくるような楽曲である。

14. Mr. サマータイム/サーカス (1978)

1978年の夏にオリコン週間シングルランキングで1位を記録した大ヒット曲なのだが、日本の流行歌らしからぬ洒落たセンスが感じられた。それもそのはずで、フランスの曲の日本語カバーだということである。アレンジをジャズピアニストの前田憲男が手がけている。不倫の恋を後悔する女性がテーマとなっている。カネボウ化粧品のCMソングであった。

13. 時間よ止まれ/矢沢永吉 (1978)

サーカス「Mr. サマータイム」と同じ1978年にオリコン週間シングルランキングで1位に輝いた大ヒット曲であり、こちらは資生堂のCMソングであった。化粧品のCMがいかにヒットチャートに影響をあたえていたかが、実感させられる。ロックンロールバンド、キャロル出身ということもあって、矢沢永吉は不良少年やツッパリなどからヒーロー視されがちだったが、音楽性はAOR的でもあった。この曲もまた、イントロの一音目で当時の夏のまぶしい日射しを一瞬にして思い起こさせる力を持っている。

12. 君に、胸キュン。/イエロー・マジック・オーケストラ (1983)

1980年に社会現象的に盛り上がりまくったテクノブームはわりと早めに終息し、イエロー・マジック・オーケストラはよりマニアックな音楽性を追求していくようになっていた。その一方でテクノブームは歌謡ポップス界に影響をあたえ、特にアイドルの曲では後にテクノ歌謡などと呼ばれるようなものも増えていっていた。そして、イエロー・マジック・オーケストラ自らがテクノ歌謡化ついでにアイドル化までしてしまったのが、これもまたカネボウ化粧品のCMソングでもあった「君に、胸キュン。」である。オリコン週間シングルランキングでは最高2位と、テクノブームの頃を超えるヒットを記録した。1位を阻んだのはメンバーの細野晴臣が作曲・編曲したテクノ歌謡、松田聖子「天国のキッス」であった。

11. 君は天然色/大滝詠一 (1981)

「BREEZEが心の中を通り抜ける」というわけで、大滝詠一の大ヒットアルバム「A LONG VACATION」(1981年オリコン年間アルバムランキング2位)の1曲目に収録され、シングルカットもされていた曲である。純粋に夏を感じさせる曲といえば「カナリア諸島にて」などの方が近いような気もするのだが、夏の前半であればこの曲の方が気分である。おそらくひじょうにマニアックな音楽ではあると思われるのだが、当時は最新のトレンドとしてミーハー的に盛り上がれたのがとても良かった。