夏の邦楽ソング名曲ベスト50 (30-21)

30. 夏休み/よしだたくろう (1972)

「よしだたくろう オン・ステージ ともだち」収録曲として初めてリリースされたが、後にベストセラーアルバム「元気です。」に収録されたスタジオバージョンが有名である。「姉さん先生」や蝉を採っていた記憶など、子供の頃の夏を懐かしむ内容となっている。アルバム収録曲にもかかわらずずっと人気があったのだが、1989年に初めてシングルがリリースされた。

29. 誘われてフラメンコ/郷ひろみ (1975)

郷ひろみの初期のボーカルはひじょうに危険で最高なのだが、その魅力がフルに発揮されているのが、13枚目のシングルでオリコン週間シングルランキングで最高2位を記録したこの曲である。歌い出しから「アーアーアアア、アンアアンアン」と繰り返されたかと思うと、「真夏のォーッ」「匂いはァーッ」と語尾が裏返り気味になるところなどもヤバすぎて最高である。

28. イミテイション・ゴールド/山口百恵 (1977)

山口百恵の18枚目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高2位を記録した。阿木燿子・宇崎竜童コンビによる明らかに性愛を匂わせる大人びた歌謡ポップスで、当時、海水浴場の売店のラジオで偶然流れるのを聴いた小学生ですら、ただ事ではない気分を感じ取ってはいた。2003年 には、TAK MATSYMOTO featuring 倉木麻衣によるカバー・バージョンでオリコン週間シングルランキングで1位に輝いている。

27. 常夏リターン/lyrical school (2018)

lyrical schoolのとても素晴らしいアルバム「WORLD’S END」収録曲で、「男子たちとかく ついつい流されちまうとか ゴタク言うけどハッキリ言っとく 女子なら最優先は美白」とか「『じゃ夏なんで』的な展開」とか、90年代「渋谷系」オマージュ的な要素もあるのだが、スチャダラパーのBOSEとSHINCOも、かせきさいだぁもソングライティングにかかわっている。タイトルは2014年に発生した大韓航空ナッツ・リターン事件のもじりだろうか。夏に期待していながらもアンニュイな感じがとても良い。

26. Electric Summer/Base Ball Bear (2006)

「ロッキング・オンJAPAN」を読んでいるようなタイプの女子高生などに当時わりと人気があった、かどうかは定かではないのだが、大阪在住(当時)の知り合い(便宜上)がファンだったので曲を全部覚えた記憶がある。爽やかなのに適度にひねくれたところもあって、若者のバンドなのに意外としっくりくるなと感じていたところ、ライブ前にXTC「がんばれナイジェル」を流したり、アルバムのテレビCMにBerryz工房の熊井友理奈を起用したりしていて納得がいった。スタイリッシュで熱を帯びた小出祐介のリードボーカルに、関根史織のクールな女声コーラスが絡む感じもとても良い。夏についての曲がとても多いバンドだが、この曲はメジャーデビューシングルでオリコン週間シングルランキングで最高41位を記録した。

25. サマータイムラブ/Shiggy Jr. (2015)

「ポップでポップなバンド」がキャッチコピーだったShiggy Jr.のメジャーデビューシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高28位を記録した。ハウステンボス「水と冒険の王国」のCMソングでもあったようだ。好きな人と少しでも長く一緒にいたいという切なくも切実な想いが、たまらなくキュートなボーカルで歌われたとても良い曲である。

24. 夏休みのBABY/lyrical school (2017)

ヒップホップアイドルユニット、lyrical schoolがminan、hime、hinako、yuu、risanoの5人体制になって最初のシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高14位を記録した。「夏最高!」という圧倒的な真実が気持ちよく連呼される、素晴らしいサマーアンセムである。この曲がリリースされた夏に雨の代々木公園で行われたNegiccoとのツーマンフリーライブ(オープニングアクトにWHY@DOLL)がとても良かったことが思い出される。この体制での活動は、2022年7月24日の日比谷公園大音楽堂でのライブをもって終了となる。

23. あなたとPop With You!/Negicco (2012)

新潟を拠点に活動する3人組アイドルグループ、Negiccoがタワーレコード内のアイドル専門レーベル、T-Palette Recordsに移籍した翌年にリリースしたシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高41位を記録した。作詞・作曲・編曲は新潟在住の会社員でありながら、音楽プロデューサーやコンポーザーやDJでもあるconnieが手がけている。夏のはじまりのとても良い感じをヴィヴィッドに描写した、シンプルにグッド・ミュージックと呼ぶに相応しい楽曲である。

22. DRIVEに連れてって/今井美樹 (1997)

今井美樹の13枚目のシングルで、オリコン週間15位を記録した。ハウス食品の完熟トマトとなすのカレーという、商品名からしてとても美味しそうなレトルトカレーのCMソングでもあったようだ。シティ・ポップ的なサウンドと心地よいボーカルが絶妙にマッチして、とても良い感じになっている。作詞・作曲・編曲は布袋寅泰であり、背景には様々なストーリーとそれにまつわるいろいろな意見もあるとは思われるが、楽曲そのものはとても良い。

21. 泡になった/BONNIE PINK (1996)

BONNIE PINKの初期といえばスウェディッシュポップ的なイメージが強いのだが、それ以前には井出靖 のプロデュースでクラブ・ミュージック的でもある作品をリリースしている。EP「Surprise!」に収録されたこの曲では、夏の恋が終わり「泡になった」ことが、「チェリー・コークと潮のにおい」といった絶妙なフレーズを用いながら、クールでありながらエモーショナルに歌われている。