The 500 Greatest Songs of All Time : 200-191

200. Go Your Own Way – Fleetwood Mac (1976)

フリートウッド・マックのアルバム「噂」から先行シングルとしてリリースされ、全米シングル・チャートで最高10位を記録した。

「噂」はとにかく売れに売れまくったアルバムだが、バンド内のカップルや夫婦が別れたりという、ひじょうしんどい状況下で制作されたことでも知られる。しかも、それをそのままドキュメンタリータッチで楽曲化していたりもするのである。

この曲はリンジー・バッキンガムがバンド内で付き合っていたが別れたスティーヴィー・ニックスに宛てたものであり、自分の道を行きなよ、というようなことが歌われている。そして、歌われている当の本人もバッキングボーカルで参加しているという、なかなか味わい状態になっている。

このような背景を知らずに聴いたとしても、もちろんとても良い。

199. Do You Really Want to Hurt Me – Culture Club (1982)

カルチャー・クラブのデビュー・アルバム「キッシング・トゥ・ビー・クレバー」から先行シングルとしてリリースされ、全英シングル・チャートで1位、全米シングル・チャートでは最高2位を記録した。

邦題は当初「冷たくしないで」だったのだが、後に「君は完璧さ」に変更され、それがかなり定着している。アメリカでは同時期にヒットしたデュラン・デュラン「ハングリー・ライク・ザ・ウルフ」と共に第2次ブリティッシュ・インヴェイジョンの本格的な盛り上がりを強く印象づけた楽曲となっている。

ボーカルのボーイ・ジョージをはじめ、ヴィジュアル面にひじょうに注目があつまったバンドだが、ソウル・ミュージックを取り入れた音楽性も高く評価されがちであった。

198. Babies – Pulp (1992)

パルプがブレイク前の1992年10月にリリースしたシングルで、その時にはヒットしなかったのだが、翌々年に「ザ・シスターズEP」の1曲目として再発され、全英シングル・チャートで最高19位を記録した。

1970年代後半から活動するベテランバンドではあったのだが、1990年代半ばのブリットポップ・ムーヴメントの中心的バンドの1つとして一時期は国民的人気バンド的な存在にまでなっていた。

この頃はまだ売れていなく、世間一般的にはほとんど知られていないにもかかわらずポップ・スター然としたジャーヴィス・コッカーのパフォーマンスとチープでもあるがキャッチーな楽曲がとても良い。

付き合っている相手の姉と関係を持ってしまうというストーリーが歌われているのだが、その身も蓋もなさも含め、実に味わい深い超名曲ではないかと、個人的には12インチ・シングルを西新宿のラフ・トレード・ショップで買った当時から現在に至るまで一貫してずっと大好きな楽曲である。

197. Being Boring – Pet Shop Boys (1990)

ペット・ショップ・ボーイズのアルバム「ビヘイヴィアー:薔薇の旋律」からシングルカットされ、全英シングル・チャートで最高20位を記録した。当時のペット・ショップ・ボーイズのシングルとしては、この最高位はかなり低い方である。つまり、当時のペット・ショップ・ボーイズにしてはあまりヒットしなかった曲ということになるのだが、人気や評価はひじょうに高いように思える。

エイズで亡くなったニール・テナントの友人のことなどが思い出されてもいるのだが、全体的にノスタルジックでセンチメンタルな楽曲になっている。アナログシンセがあえて用いられていることも、良い感じに影響しているように感じられる。

196. Oliver’s Army – Elvis Costello & The Attractions (1979)

エルヴィス・コステロ&ジ・アトラクションズのアルバム「アームド・フォーセス」からシングルカットされ、全英シングル・チャートで最高2位を記録した。

エルヴィス・コステロ関連のシングルの中ではダントツで最も売れているのだが、これだけキャッチーなのだから、それも納得というところはある。キーボードのフレーズなどはABBAを参考にしているという。

とはいえ、歌詞の内容はバリバリに政治的で、辛辣な反戦ソングになっている。この辺りのセンスがたまらなく良いのだが、楽曲そのものもエルヴィス・コステロらしさがしっかり出ていながらも、ポップソングとしての強度がしっかりしている。

195. Don’t Believe the Hype – Public Enemy (1988)

パブリック・エナミーのアルバム「パブリック・エナミー・Ⅱ」からシングルカットされ、全米シングル・チャートにはランクインしなかったが、全英シングル・チャートでは最高18位を記録した。

サンプリングやブレイクビーツイを効果的に用いたアグレッシヴでクリエイティヴなサウンドが完全に新しく、ヒップホップとしてのみならず、ニュー・ウェイヴや最新型のポップ・ミュージックとしての視点からも当時、最もカッコいい存在であった。

しかも、キャッチーなフレーズによって重要なメッセージを伝える技術もすさまじく、この曲にもそれは顕著にあらわれている。

194. Do It Again – Steely Dan (1972)

スティーリー・ダンのアルバム「キャント・バイ・ア・スリル」からシングルカットされ、全米シングル・チャートで最高6位を記録した。

ジャズやソウル・ミュージックからも影響を受けた、ひじょうにスマートな音楽という印象もあるのだが、多分にひねりが効いていてクセが強いところもあって、その辺りがとにかくとても良い。

2023年にはパンク・スピリット的な音楽プロデューサー、スティーヴ・アルビニがスティーリー・ダンをディスり気味なコメントを出していて、それに対し「NME.COM」がいかにスティーリー・ダンはすごいか的な記事を出していたのが楽しくて良かった。

1983年にクラブ・ハウスとかいう名前のユニットがこの曲とマイケル・ジャクソン「ビリー・ジーン」をマッシュアップした曲を少しヒットさせていた記憶がある。

193. Changes – David Bowie (1971)

デヴィッド・ボウイのアルバム「ハンキー・ドリー」からシングルカットされ、全米シングル・チャートで最高66位を記録した。つまり、当時はそれほどヒットしていないのだが、後に再評価され、デヴィッド・ボウイの代表曲の1つのような扱いになっている。

様々な音楽性をこの時点ですでにいろいろ試していて、この曲でもそれがテーマになってはいるのだが、その後もさらに音楽性やイメージを生涯にわたって変革し続けたことから、まるでデヴィッド・ボウイのテーマソングのようになっている。

ピアノはリック・ウェイクマン、サックスはデヴィッド・ボウイ自身によって演奏されている。

192. Tiny Dancer – Elton John (1971)

エルトン・ジョンのアルバム「マッドマン」からアメリカではシングルカットされ、全米シングル・チャートで最高41位を記録した。イギリスではシングルカットされてすらいない。邦題は「可愛いダンサー(マキシンに捧ぐ)」である。

歌詞はバーニー・トーピンが、当時の妻について書いたものだといされている。1970年代にヒット曲を量産したエルトン・ジョンの楽曲の中にあってこの曲の印象はそれほど強いものではなかったと思えるのだが、時間が経つにつれて代表曲の1つとしても認知されていったように思える。

そのきっかけの1つとして、2000年の映画「あの頃ペニー・レイン」において、バンドのツアーバス車内でこの曲が合唱される印象深いシーンが挙げられる。

191. Wuthering Heights – Kate Bush (1978)

ケイト・ブッシュのデビュー・アルバム「天使と小悪魔」から先行シングルとしてリリースされ、全英シングル・チャートで1位に輝いた。邦題は「嵐が丘」である。

エミリー・ブロンテの小説「嵐が丘」に由来しているのだが、ケイト・ブッシュが直接インスパイアされたのは、この小説を原作とするテレビドラマだったようだ。

個性的なボーカルが特徴的であり、当時19歳だったケイト・ブッシュはこの曲の大ヒットで一躍、注目をあつめるようになった。

日本では明石家さんま司会のトークバラエティ番組「恋のから騒ぎ」のオープニングテーマ曲としても親しまれがちである。