邦楽ポップ・ソングス・オール・タイム・ベスト500:340-331

340. 朝日のあたる道/Original Love(1994)

Original Loveの6曲目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高12位を記録した。バンド名をオリジナル・ラヴとかORIGINAL LOVEとか色々なパターンで表記されることがあったのだが、2021年に田島貴男がOriginal Loveに統一するというようなことを言っていたので、ここでもそれにならっている。

「渋谷系」に分類されがちだが「渋谷系」ではないと主張していたOriginal Loveの音楽は、「渋谷系」的なセンスを持ち合わせながらも王道的なポップスとしても堂々と通用してしまうようなところが特徴的である。この曲などは正しい大人のポップスという感じがして個人的には恐れ多いのだが、もちろんとても良い曲である。

339. 恋のダイヤル6700/フィンガー5(1973)

フィンガー5の3枚目のシングルで、オリコン週間シングルランキングでは4週連続1位、1974年の年間5位を記録した。

当時の子供たちに大人気だったのだが、大人をも納得させるソウル・ミュージック的なクオリティーをそうとは意識せずに楽しんでいた可能性は高い。

もちろん携帯電話が普及するはるか以前の曲であり、電子メールなども当然まだない。好きな人に想いを告白する手段としては、自宅に設置された電話を使うのがまだまだポピュラーであった。「あなたが好き 死ぬほど好き この愛受けとめて欲しいよ」という切実な想いがソウルフルに歌われている。

338. 琥珀色の街、上海蟹の朝/くるり(2016)

くるりの6曲入りEP「琥珀色の街、上海蟹の朝」のタイトルトラックで、オリコン週間シングルランキングでは最高7位を記録した。

1990年代後半のデビュー以来、インディー・ロック的だったりテクノ的な音楽を取り入れたりロックンロールに回帰したりいろいろやっていてどれもとても良かったのだが、ヒップホップを取り入れながら、新時代のシティ・ポップ的な気分を感じさせてもくれるこの曲は、新たなリスナーを開拓したようにも思える。

337. さよならベイビー/サザンオールスターズ(1989)

サザンオールスターズの26枚目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで1位に輝いた。実はサザンオールスターズがオリコン週間シングルランキングで1位に輝くのは、この曲が初めてである。「ザ・ベストテン」では多くの曲が1位になっていた。

いわゆる失恋ソングのようなものなのだが、切なさと侘しさが共に押し寄せてきて、懐かしくも悲しくなってくるのだが、その痛みのようなものがむしろ心地よかったりもする。

このように少し前につくったランキングを順番に文章を付けながらカウントダウン的に挙げていっているのだが、実際には個人的に日常のどこかの非日常を生きているような状況にあり、まったくもってそれどころではないのだが、それは当然に文章にも影響をあたえているような気がする。

336. 恋のブギ・ウギ・トレイン/アン・ルイス(1979)

アン・ルイスの17名目のシングルで、オリコン週間シングルランキングでは最高89位を記録した。

作曲・編曲を手がけた山下達郎によるカバー・バージョンがライブ・アルバム「JOY – TATSURO YAMASHITA LIVE -」に収録されている。いわゆるディスコ歌謡に分類されたりもするとは思うのだが、それにしてはかなり本格的にカッコいいということができる。

シティ・ポップがリバイバルしかけていた頃、渋谷のTSUTAYAでかかっているのを聴いて、なんだかとても良いなと感じたのであった。しかし、その頃、すでにまったく知らないところで今日に至る様々なことは現実に起こっていたわけであり、それについてのファンタジーやイメージがブルーにこんがらがって、心を悩ませたり苦しめたりもする。

335. ONLY YOU/BOØWY(1987)

BOØWYの5枚目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高4位を記録した。

ザ・ブルーハーツと共にバンドブームにひじょうに強い影響をあたえたように思えるが、ロックではあるのだが、どことなく歌謡曲的なポップ感覚をも感じられるところが新しく、それゆえに乗り切れなかったリスナーもいたのかもしれない。

個人的にはどちらかというと良く分からなかったのだが、後に急に良くなってきた。ありふれた常套句のような言葉にこそ、本質的な真実が宿っているというようなことはわりとあるように感じられるのだが、この曲などはほぼそれで出来ているのではないか、というような気もする。

334. ロックンロール・ウィドウ/山口百恵(1980)

山口百恵の30枚目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高3位、「ザ・ベストテン」では1位に輝いた。阿木燿子と宇崎竜童による楽曲で、山口百恵が結婚、引退を少し後に控えた時期に、ロックンロールの未亡人という曲を歌ってしまうところがまたすごいと感じた。

男性に合わせてすがって生きていくのではなく、主体性をしっかりと持った女性というイメージをある時期からの山口百恵は歌い続けていたのだが、その路線における1つの到達点ともいえるとても良い曲である。

333. 春の風/サニーデイ・サービス(2020)

サニーデイ・サービスのアルバム「いいね!」収録曲で、ミュージックビデオも制作された。

「今夜でっかい車にぶつかって死んじゃおうかな」という歌いだしの歌詞はザ・スミスあたりを思い起こさせたりもするのだが、ベテランの域にも到達しようかというバンドが、このように刹那的でギリギリな感じをヴィヴィッドに表現していることがまずすごいことであり、落ち着くどころかさらに性急になっているような気分もとてもしっくり来る。

332. さよなら人類/たま(1990)

「イカ天」こと「三宅裕司のいかすバンド天国」でグランドいか天キングに輝いたインディー・ロックバンド、たまがリリースしたシングルで、オリコン週間シングルランキングで1位に輝いた。ちなみに、フリッパーズ・ギター「カメラ・トーク」とまったく同じ頃にリリースされている。

とにかくひじょうにユニークな音楽性が特徴で、日本のビートルズ的な評価をする評論家もいたような気がする。個人的には90年代半ばぐらいに「渋谷系」やブリットポップを好む女子大生の部屋に行ったら、たまのCDがすべて揃っていたことなども懐かしく思い出される。

331. BYE-BYE -BYE/GO-BANG’S (1991)

GO-BANG’Sの7枚目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高19位を記録した。マンチェスターでミックスダウンされたことも話題になったアルバム「SAMANTHA」からの先行シングルでもあった。

終わってしまった恋について歌われているが、輝いていた思い出を振り返り、健気に歌っているところがとても良い。個人的にはポップ・ミュージックが好きだと思ってはいるのだが、音楽を聴いて泣くということはそれほど多くない。この曲は深夜のテレビ番組でミュージック・ビデオを見ていた時に、いろいろ油断していたこともあって、思わず泣いてしまった曲ということでも強く印象に残っている。