洋楽ロック&ポップス名曲1001:1979, Part.1

Elvis Costello and The Attractions, ‘Oliver’s Army’

エルヴィス・コステロ&ジ・アトラクションズのアルバム「アームド・フォーセス」からシングルカットされ、全英シングルチャートで最高2位を記録した。

エルヴィス・コステロ関連のシングルの中ではダントツで売れているわけだが、これだけキャッチーなのだからそれも納得というところはある。キーボードのフレーズなどはABBAを参考にしているという。

とはいえ、歌詞の内容はバリバリに政治的で、辛辣な反戦ソングになっているところがとても良い。

Sister Sledge, ‘We Are Family’

シスター・スレッジのアルバム「ウィ・アー・ファミリー」からシングルカットされ、全米シングルチャートで最高2位、全英シングルチャートで最高8位を記録した。

シックのナイル・ロジャースとバーナード・エドワーズが他のアーティストに提供した最初の楽曲で、シスター・スレッジが4人の姉妹で家族の絆を大切にしていることにインスパイアされている。

ドナ・サマー「ホット・スタッフ」、アニタ・ワード「リング・マイ・ベル」に阻まれて全米シングルチャートの1位は逃したものの、この楽曲はディスコクラシックとしてはもちろん、団結をテーマにしたアンセムとして広く知られるようになっていった。

この楽曲ではソロアーティストとしてデビューする前のルーサー・ヴァンドロスがバックコーラスで参加している。

Rickie Lee Jones, ‘Chuck E’s in Love’

リッキー・リー・ジョーンズのデビューアルバム「浪漫」からシングルカットされ、全米シングルチャートで最高4位、全英シングルチャートで最高18位を記録した。グラミー賞では最優秀新人賞を受賞している。邦題は「恋するチャック」である。

この楽曲のモチーフになっているチャック・E・ワイスはリッキー・リー・ジョーンズが出演していたロサンゼルスのクラブ、トラバドールで皿洗いをしていた実在の人物である。

当時、リッキー・リー・ジョーンズと同棲をしていたトム・ウェイツと親しく、電話で近況を聞いて切った後に「チャック・Eは恋をしている」と報告をしたことがこの曲が生まれるきっかけになった。

歌詞ではチャック・Eがリッキー・リー・ジョーンズに恋をしていることになっているが、そこは事実と異なっている。

The Pop Group, ‘She Is Beyond Good and Evil’

イギリスはブリストル出身のポストパンクバンド、ポップ・グループがシングルとしてリリースした楽曲である。

パンクロック的なアプローチをベースとしながらもダブやフリージャズなどからの影響も取り入れたユニークな音楽性は、批評家や批評的な音楽リスナーから高く評価された。

タイトルにも表れているように、善悪を超えた超越的な愛の力をテーマにしたロマンティックでポジティブな楽曲でもある。

Chic, ‘Good Times’

シックのアルバム「危険な関係」から先行シングルとしてリリースされ、全米シングルチャートで1位、全英シングル・チャートで最高5位を記録した。

ベースラインがとにかくとても有名であり、ヒップホップ初期のヒット曲として知られるシュガーヒル・ギャング「ラッパーズ・ディライト」で知らないうちに使われていたり、クイーン「地獄へ道づれ」にインスピレーションをあたえたりした。

1970年後半のディスコ・ブームの中心的存在だったが、主要メンバーのナイル・ロジャースは音楽プロデューサーとして1980年に大活躍し、ダイアナ・ロス、デヴィッド・ボウイ、デュラン・デュラン、マドンナなどの楽曲を大ヒットさせた。

Nick Lowe, ‘Cruel to Be Kind’

ニック・ロウがブリンズレー・シュウォーツ時代にイアン・ゴムと共作した楽曲で、イギリスやアメリカのシングルチャートで最高12位のヒットを記録した。

フィリーソウルにもインスパイアされたという、ポップでキャッチーなラブソングである。日本では「恋するふたり」の邦題で知られるが、落語家の三遊亭圓生が「恋のホワン・ホワン」のタイトルでリリースしたカバーバージョンにも一部ではひじょうに人気がある。

The Knack, ‘My Sharona’

ザ・ナックのデビューアルバム「ゲット・ザ・ナック」からシングルカットされ、全米シングルチャートで5週連続1位、年間チャートでもドナ・サマー「バッド・ガール」、シック「おしゃれフリーク」、ロッド・スチュワート「アイム・セクシー」といったディスコヒットを抑えて1位に輝いた大ヒット曲である。

日本ではオリコン週間シングルランキングで最高26位を記録しているが、ラジオでもよくかかっていて、洋楽にそれほど興味がない人たちでもなんとなく知っているレベルであった。なんといっても繰り返されるドラムビートとベースラインがとても印象的で、ニューウェイヴやパワーポップを代表する楽曲として知られる。

ビートルズの再来的なイメージで売り出されたものの、この後はヒットが続かなかった。しかし、その音楽性は高く評価されていて、根強いファンや新しいリスナーを獲得し続けている。TOKYO FM「SPITZ 草野マサムネのロック大陸漫遊記」でも特集が組まれていた。