邦楽ロック&ポップス名曲1001: 2004
ハナミズキ/一青窈(2004)
一青窈の5作目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高4位を記録した。
「君と好きな人が百年続きますように」という歌詞が有名なラヴソングとして知られるが、当初はアメリカ同時多発テロ事件が発生した時にニューヨークに住む友人から届いたメールに触発されて書いたこともあり、より挑戦的な歌詞だったという。
数多くのアーティストによってカバーされたり、カラオケでもよく歌い続けられている他、2010年にはこの曲をモチーフにした映画「ハナミズキ」も公開され大ヒットした。
瞳をとじて/平井堅(2004)
平井堅の20作目のシングルでオリコン週間シングルランキングでは最高2位だったのだが、年間シングルランキングでは1位に輝いた。
片山恭一のベストセラー小説「世界の中心で、愛をさけぶ」を原作とする映画の主題歌として書き下ろされ、大ヒットした。
二度と会うことが叶わない人への想いを「瞳をとじて君を描くよ それだけでいい」と歌う切ないラヴソングであり、感情の深さや機微を伝えるボーカルが圧倒的に素晴らしい。
3月9日/レミオロメン(2004)
レミオロメンの3作目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高11位を記録した。
卒業ソングとしても知られるこの楽曲だが、実際には3月9日に結婚式を挙げたメンバーの友人のためにつくられていて、卒業については特に歌われていない。とはいえ、「新たな世界の入口に立ち」など人生の新たな旅立ちについて歌われているところが卒業にも通じている。
女優の堀北真希がブレイク前に出演したミュージックビデオも素晴らしく、これも卒業当日の教室のシーンからはじまる。
その後、ビデオは姉の結婚式のシーンに向けて展開していくのだが、まるで1本の短編映画を見たかのような満足感があってとてもよく、それのサウンドトラックのようでもあるこの楽曲も素晴らしい。
翌年にはバンドが「粉雪」の大ヒットで大きくブレイクしたこともあり再びチャートの順位を上げたり、2007年にはネスレキットカットのCMソングに使われたのに合わせて商品とのセットで再発されたりもしていた。
Sign/Mr.Children(2004)
Mr.Childrenの26作目のシングルでオリコン週間シングルランキングで1位、年間シングルランキングでは2位を記録した。
「第46回日本レコード大賞」では1994年の「innocent world」以来、10年ぶり2度目の大賞を受賞している。
TBS系のテレビドラマ「オレンジデイズ」の主題歌で、ありふれた日常を大切にしていこうというようなメッセージが込められたシンプルに良い曲である。
ココロオドル/nobodyknows+(2004)
nobodyknows +の3作目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高5位を記録した。
テレビアニメ「SDガンダムフォース」の第2期エンディングテーマだったようなのだが、それはさておきヒップホップを取り入れたキャッチーな楽曲としてヒットしていたような印象がある。
グループは名古屋出身であり、それが全国的にもブレイクしたということで大いに盛り上がっていたようである。
2022年にはYouTubeの「THE FIRST TAKE」で公開した動画がきっかけでリバイバルした。
ロコローション/ORANGE RANGE(2004)
ORANGE RANGEの6作目のシングルでオリコン週間シングルランキングで2週連続1位、年間シングルランキングで7位を記録した。
「刺激が欲しけりゃバカニナレ」という歌詞の通りに頭を空っぽにして楽しむことができる快感原則に従順な最高のサマーポップである。
それにしてもリトル・エヴァやグランド・ファンク、カイリー・ミノーグなどで知られる「ロコ・モーション」似すぎてはいないだろうかと懸念していたところ、しっかりクレームが入ったようで、後に作詞・作曲者のジェリー・ゴフィン&キャロル・キングがクレジットされるようになった。
リライト/ASIAN KUNG-FU GENERATION(2004)
ASIAN KUNG-FU GENERATIONの5作目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高4位を記録した。
テレビアニメ「鋼の錬金術師」の第4期オープニングテーマ曲だったらしく、ソングライターで中心メンバーのGotchこと後藤正文はタイアップに反対だったようなのだが、結果的にヒットを記録することになった。
こういうインディーロックやニューウェイヴなどに影響を受けたようなタイプの楽曲が普通に売れるようになったことを喜ばしく感じていた人たちも少なくはなかったと思われるのだが、そこにはテレビアニメとのタイアップという要因も存在していたのであった。
歌詞は当時、多くのリスナーやアーティストたちの意向に反して普及させられようとしていたコピーコントロールCDに対する皮肉を含んだものである。
群青日和/東京日和(2004)
東京事変のデビューシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高2位を記録した。
当時、人気はとてもあったもののソロアーティストとしての活動にモチベーションがまったく見いだせなくなっていた椎名林檎が表現者としての延命装置的に結成したバンドである。
「新宿は豪雨」と歌いはじめられるこの楽曲は、作詞が椎名林檎で作曲はメンバーのH是都Mによるものであり、都市で暮らす生活者の絶望的ではないにしても正直しんどい日常に寄り添った感じが絶妙にポップなインディーロック的サウンドにのせられてとても良い。
深夜高速/フラワーカンパニーズ(2004)
フラワーカンパニーズの16作目のシングルで、オリコン週間シングルランキングでは圏外であった。
1989年のバンドブーム期に名古屋で結成されたベテランバンドで根強い人気があったのだが、この楽曲は特に別格の支持を得ている。
「青春ごっこを今も続けながら旅の途中」と歌いはじめられるこの曲は夢追い人、特に若手お笑い芸人たちからひじょうに人気があり、2022年にはこの楽曲に強い思い入れを持つ芸人だけを集めたお笑いライブが開催されたほどである。
また、音楽アーティストにももちろんファンは多く、2003年の13組のアーティストたちによるこの曲のカバーバージョンだけを収録したトリビュートアルバムがリリースされている。
そのトリビュートアルバムのサブタイトルにもなっているのだが、特に「生きててよかった」という歌詞のところが泣けるようである。