The 500 Greatest Songs of All Time : 300-291

300. Da Funk – Daft Punk (1995)

ダフト・パンクのデビュー・アルバム「ホームワーク」からの先行シングルで、全英シングル・チャートで最高7位を記録した。

ジャンルとしてはテクノやハウス・ミュージックに分類されるが、ウォレン・G「レギュレイト」にインスパイアされ、音楽的にはギャングスタ・ラップからの影響を強く受けている。

1995年に12インチ・シングルで約2,000枚がプレスされていたが、その時にはほとんど話題にならなかった。

個人的には下北沢の何かの店先でスピーカーから流れているのを聴いたのが最初で、誰の何という曲かも知らなかったのだが、インパクトと中毒性が強すぎて何度も繰り返し脳内再生されていたことが思い出される。

299. Milkshake – Kelis (2003)

ケリスのアルバム「テイスティ」から先行シングルとしてリリースされ、全米シングル・チャートで最高3位のヒットを記録した。

ザ・ネプチューンズによる革新的でありながらポップでキャッチーなサウンドプロダクションと、セクシーな暗喩なども含む素晴らしいボーカルパフォーマンスが絶妙にマッチしている。

ミュージック・ビデオも楽曲のマイルドに官能的な感じを反映してもいてとても良い。

298. I Like It – Cardi B, Bad Bunny & J Balvin (2018)

カーディ・Bのデビュー・アルバム「インヴェイジョン・オブ・プライバシー」からシングルカットされ、全米シングル・チャートで1位に輝いた。カーディ・Bにとっては「ボーダック・イエロー」に続く2曲目の全米NO.1ヒットだったのだが、これは女性ラッパーとしては史上初の快挙だったようだ。

ピート・ロドリゲス「アイ・ライク・イット・ライク・ザット」の引用やプエルトリコのラッパー、バッド・バニーとコロンビアのシンガー、J・バルヴィンの参加など、文化的に多様的でありながら、トラップという当時のトレンドも取り入れた素晴らしい楽曲である。

297. It’s a Man’s Man’s Man’s World – James Brown (1966)

ジェームス・ブラウンが1966年4月にリリースしたソウルフルで熱いバラード曲であり、全米シングル・チャートでは最高8位を記録した。

男性優位の社会ではあるが、女性がいなければまったく意味がない、というようなことが歌われているが。その前提そのものが差別的であると批判されることもある。

タイトルは1963年公開のコメディー映画「おかしなおかしなおかしな世界」(原題「It’s a Mad, Mad, Mad, Mad World」)にちなんでもいる。

296. West End Girls – Pet Shop Boys (1984)

ロンドン出身のシンセ・ポップデュオ、ペット・ショップ・ボーイズのデビュー・シングルだが、EMIと契約した後にデビュー・アルバム「プリーズ」用に再レコーディングされたバージョンがイギリスやアメリカのシングル・チャートで1位に輝いた。

メンバーは辛辣であることで知られるイギリスの元音楽ジャーナリストであり、それもあり音楽性には批評性が強く感じられる。そうでありながら、あくまで一般大衆的な音楽リスナーに向けられたポップでキャッチーな感じがとても良く、この後も数々のヒット曲を世に送り出すことになる。

                                                                                                                                                                                                      

295. Theme from Shaft – Isaac Hayes (1971)

アイザック・ヘイズが音楽を手がけた映画「黒いジャガー」のテーマソングで、全米シングル・チャートで1位に輝いた。当初はシングルカットを予定していなかったのだが、あまりにも人気が高かったことから、短縮したバージョンをシングルとしてリリースすることになった。

ワウペダルを効果的に使用したギターやストリングス、クールなボーカルや女性コーラスなど、後のソウル・ミュージックやディスコ・ソングなどに強い影響をあたえたといわれている。

翌年のアカデミー賞では楽曲賞を受賞するのだが、俳優部門以外ではアフリカ系アメリカ人として初めての受賞となった。

294. Dancing in the Dark – Bruce Springsteen (1984)

ブルース・スプリングスティーンのアルバム「ボーン・イン・ザ・U.S.A.」からの先行シングルで、全米シングル・チャートで最高2位を記録した。ブルース・スプリングスティーンにとって最大のヒット曲ではあるのだが、シンセサイザーやダイナミックなドラムサウンドなど、いかにもシングルヒットを狙った異質な楽曲にもなっている。

最大のヒット曲であるにもかかわらず、ブルース・スプリングスティーンの名曲ランキング的な企画ではあまり上位に選ばれていないような気がする。しかし、あくまでポップソングとして捉えた場合、そこがむしろ味わい深くも感じられる。実際にシングルヒットを狙える曲を、というマネージャーからのオーダーに応え、アルバム収録曲の中でも最後に完成した曲だということである。全米シングル・チャートでは4週連続で2位にランクインするが、デュラン・デュラン「ザ・リフレックス」、プリンス「ビートに抱かれて」に阻まれ、1位には届かなかった。

ポップでキャッチーな楽曲ではあるのだが、歌われている内容は人生に迷う苦みばしった男の苦悩や希望というよいうな、いかにもブルース・スプリングスティーンらしいものである。

ブライアン・デ・パルマが監督したミュージック・ビデオでブルース・スプリングスティーンと踊っている女性は、後にテレビドラマ「フレンズ」で人気者になるコートニー・コックスである。このビデオはMTVでもヘビーローテーションされ、マイケル・ジャクソンやデュラン・デュランなどを聴いている若い音楽リスナーの心をもつかんだ。

293. Oblivion – Grimes (2012)

グライムスのアルバム「ヴィジョン」の収録曲で、シングルとしてヒットしたわけではないのだが評価はひじょうに高く、たとえば「ピッチフォーク・メディア」が発表した2010年代のベスト・ソングでは2位に選ばれていたりもする。

軽快なシンセ・ポップのように聴こえるこの曲は、グライムスが実際に経験した性被害やそれに起因する男性恐怖症がベースになっている。

日本のポップ・カルチャーにも造詣が深いグライムスだが、この曲のミュージック・ビデオにも美少女戦士アニメーションなどからの影響が感じられる。

292. Space Oddity – David Bowie (1969)

デヴィッド・ボウイにとって最初のヒットシングルで、全英シングル・チャートで最高5位を記録した。グラム・ロック路線での大ブレイクを経て1975年に再リリースされた時には、初の1位に輝いている。

レコードデビューしたもののなかなかヒットにはつながらず、疎外感を覚えていたデヴィッド・ボウイは映画「2001年宇宙の旅」からの影響もあり、後に「アッシェズ・トゥ・アッシェズ」の歌詞にも登場するトム少佐という架空の人物をテーマにしたこの曲を書いた。

このシングルがリリースされた少し後にアポロ11号の月面着陸があり、BBCの特別番組でテーマソング的に使われたりしたことが、ヒットの要因だったようだ。

291. Fantasy – Mariah Carey (1995)

マライア・キャリーのアルバム「デイドリーム」から先行シングルとしてリリースされ、全米シングル・チャートで8週連続1位を記録した。マイケル・ジャクソンに続き史上2人目、女性アーティストとしては初めて初登場1位に輝いたことでも知られる。

この時点でマライア・キャリーはすでに大スターであり、全米シングル・チャートでの1位もこの曲で9曲目だったのだが、トム・トム・クラブ「悪魔のラヴ・ソング」をサンプリングし、サウンド的にはよりヒップホップに接近しているところが特徴である。

「ピッチフォーク・メディア」が2012年にアップデートした1990年代のベスト・ソングで、この曲のオール・ダーティー・バスタードをフィーチャーしたリミックス・バージョンが1位に選ばれ、一部のインディー・ロックファンなどが不機嫌になりがちだったことも記憶に新しい。