The 500 Greatest Songs of All Time : 150-141

150. Paperback Writer – The Beatles (1966)

ビートルズが1966年初夏にリリースしたシングルで、全英シングル・チャートや全米シングル・チャートなどで1位に輝いた。発売から約1ヶ月後に行われた日本公演でも演奏されたが、この頃を最後にビートルズはライブをやらなくなってしまった。

作詞作曲者のクレジットはレノン=マッカートニーとなっているが、主にポール・マッカートニーによって書かれている。小説家がペーパーバックの出版を懇願するという、ヒット曲の歌詞としてはややユニークなテーマを扱っているが、叔母リルからの指摘もあって、ラヴソングではない曲をつくろうという目的があったようだ。

また、この曲では数少ないコードしか用いずに完成させるという実験も行われている。アルバム「リボルバー」のセッションでレコーディングされたが、シングルとしてリリースされた。

149. Alison – Elvis Costello (1977)

エルヴィス・コステロのデビュー・アルバム「マイ・エイム・イズ・トゥルー」から先行シングルとしてリリースされ、チャートにはランクインしなかったが、代表曲として知られるようになる。この頃はバックバンドのジ・アトラクションズはまだ結成されていなく、後にヒューイ・ルイス&ザ・ニュースに発展するクローバーというバンドのメンバーなどが参加している。

エルヴィス・コステロがスーパーマーケットで見たとても美しいレジ係の女性にインスパイアされて書いた曲だといわれ、人生に対するマイルドな失望というか、期待はずれ感のようなものが哀感をともなって歌われているところがとても良い。

148. I’m Coming Out – Diana Ross (1980)

ダイアナ・ロスのアルバム「ダイアナ」からシングルカットされ、全米シングル・チャートで最高5位を記録した。

当時、ディスコ・ブームで絶好調だったシックのバーナード・エドワーズ、ナイル・ロジャースが作詞作曲、プロデュースを手がけている。クラブでダイアナ・ロスに扮したドラァグクイーンを見かけたナイル・ロジャースはLGBTQコミュニティに向けてこの曲を書いたという。

タイトルや歌詞に出てくる「カミング・アウト」には性的指向を表明するという意味もあるが、これによってディスコ・クラシックとしてのみならず、LGBTQアンセムとしても機能することになった。

147. September Gurls – Big Star (1974)

ビッグ・スターのアルバム「ラジオ・シティ」からシングルカットされたが、チャートにはランクインしていない。評価は高かったが商業的に成功しなかったバンドの代表的な1つともされがちなビッグ・スターの楽曲の中でも特に人気があり、パワー・ポップというサブジャンルを象徴する楽曲としても知られている。

1990年代にティーンエイジ・ファンクラブなどに大きな影響を与えたバンドとして、当時のインディー・ロックファンからも再評価され、一時的に再結成されたりもした。

バングルスが1986年のアルバム「シルバー・スクリーンの妖精」でカバーをしている。

146. Ever Fallen in Love (With Someone You Shouldn’t’ e) – Buzzcocks (1978)

バズコックスのアルバム「ラヴ・バイツ」からの先行シングルで、全英シングル・チャートで最高12位を記録した。

パンク・ロックというと社会問題やそれに対する告発的なメッセージを含みがちな印象もあるのだが、バズコックスの楽曲の場合は無邪気な恋愛やそれにまつわる苦悩や欲求不満などがテーマになっていることがひじょうに多い。

いわゆる青春パンクなるサブジャンルが存在しているとするならば、そのひな形のようでもあるかもしれない。

145. You Can’t Hurry Love – The Supremes (1966)

シュープリームスのアルバム「シュープリームス・ア・ゴー・ゴー」から先行シングルとしてリリースされ、全米シングル・チャートで1位、全英シングル・チャートで最高3位を記録している。邦題は「恋はあせらず」である。

ホーランド=ドジャー=ホーランドによる楽曲で、いわゆる典型的なモータウンビートが導入されている。

1983年にはフィル・コリンズによるカバー・バージョンが全英シングル・チャートで1位、恋のアドバイス的なテーマも含め、おそらくこの曲の影響も受けているであろうビリー・ジョエル「あの娘にアタック」が全米シングル・チャートで1位、他にもホリーズがシュープリームス「ストップ!イン・ザ・ネーム・オブ・ラヴ」のカバーをヒットさせたり、日本ではサザンオールスターズの原由子によるソロシングル、「恋は、ご多忙申し上げます」など、なぜかモータウンビートが大人気出会った。

144. Everybody Wants to Rule the World – Tears for Fears (1985)

ティアーズ・フォー・フィアーズのアルバム「シャウト」からシングルカットされ、全英シングル・チャートで最高2位、全米シングル・チャートでは1位に輝いた。

デビュー・アルバム「ザ・ハーティング」に比べ、サウンドが一気にメジャーになっているのだが、個人的には高校を卒業して上京してからまだそれほど経っていない頃に、池袋のパルコか西武百貨店のスピーカーからこの曲やシンプル・マインズ「ドント・ユー」が流れるのを聴いて、これこそが1980年代ポップスのダイナミズムだ、などと感じていたことが思い出される。

人間の権力に対する欲望の強さをテーマにした内容も、当時の気分とマッチしていたように思える。

143. Single Ladies (Put a Rings on It) – Beyoncé

ビヨンセのアルバム「アイ・アム…サーシャ・フィアース」から先行シングルとしてリリースされ、全米シングル・チャートで1位、全英シングル・チャートでは最高7位を記録した。

煮え切らない恋人と別れ、独り身になったことを祝福するような楽曲で、恋愛の終わりをテーマにはしているが、湿っぽいところはほとんど無い。

モノクロームのミュージック・ビデオは様々な有名人や一般人たちによってパロディー化され、この曲をさらに有名にした。

142. Supersonic – Oasis (1994)

オアシスのデビュー・シングルで、全英シングル・チャートで最高31位を記録した。後にデビュー・アルバム「オアシス」にも収録される。

この時点までにオアシスはイギリスのインディー・ロックファンの間ではまあまあ話題にはなっていたものの、一般大衆的にはまだそれほどでもなかった。

インディー・ロック的なアティテュードとクラシック・ロック的な楽曲の良さとのバランスが絶妙で、しかもイギリスのインディー・ロックが盛り上がりかけていたというタイミングも最高だったように思える。

グランジ・ロック的な自己憐憫や陰鬱さからブリットポップ的なポジティヴィティーに、この後にトレンドもシフトしていったような印象もあるが、このシングルがニルヴァーナのカート・コバーンが亡くなったのと同じ日に発売されているという事実も、どこか象徴的だと感じられたりする。

141. Song 2 – Blur (1997)

ブラーのアルバム「ブラー」からシングルカットされ、全英シングル・チャートで最高2位を記録していた。

デフォルメしたイギリス性とでもいうようなものを特徴として、オアシスと共にブリットポップ・ムーヴメントの中心的存在であったが、この頃にはよりアメリカのオルタナティヴ・ロックなどからの影響を受けた音楽性にシフトしていた。

アグレッシヴでパンキッシュなこの曲なども、その変化を象徴していたのだが、そのシンプルさとプリミティヴなエナジーなどが受けて、大ヒットを記録した。