邦楽ポップ・ソングス・オール・タイム・ベスト500:410-401

410. テレフォン・ナンバー/大橋純子(1981)

大橋純子のアルバム「Tea For Tears」の収録曲で、シングルとしてヒットしたりはしていないのだが、シティ・ポップ・リバイバルによって再評価や新発見されがちな曲である。「たそがれマイ・ラブ」と「シルエット・ロマンス」というヒット曲の合間にこんなにカッコいい曲をリリースしていたことをまったく知らなかったリスナーもけして少なくはないのではないかと思われる。

2023年のある日の午後、下北沢のペット用品店に入ると「国民的地元のツレ」がキャッチコピーのお笑いタレント、ヒコロヒーのラジオ番組が流れていて、リスナーから竹内まりや「プラスティック・ラブ」かOriginal Love「接吻」のリクエストがあったにもかかわらず、そういえばこの曲が好きだったと思い出したという理由で、この大橋純子「テレフォン・ナンバー」をかけていた。

409. まりン/飯島真理(1983)

飯島真理といえばテレビアニメ「超時空要塞マクロス」のリン・ミンメイ役で声優をやっていたり、劇場版アニメの主題歌「愛・おぼえていますか」をヒットさせたりしていたことから、当時は先入観によって自分が聴くようなものではないだろうと判断していたのだが、惜しいことをしたものである。

坂本龍一がプロデュースしたデビュー・アルバム「Rosé」がとても良いことを知ったのは、かなり後になってからであった。しかも、きっかけはテクノ歌謡のコンピレーションCDに収録されていたこの曲である。テクノ歌謡と呼ぶにはやや上品であり、ふわふわしているようなところがかなり良いのだが、「泣き虫 毛虫 はさんで捨てた いじけ虫ともさようなら」というフレーズにもインパクトがある。

408. 夏色のナンシー/早見優(1983)

早見優は1982年にデビューした女性アイドル歌手で、いわゆる「花の82年組」のうちの1人である。ハワイ育ちで英語の発音がとても良く、健康的なイメージも魅力的であった。個人的には早くもファンクラブに入り、会報か何かでビーチ・ボーイズの音楽が好きなことを知ったのがきっかけで、旭川のレコード店、ミュージックショップ国原で日本で企画した2枚組ベスト・アルバム「サマー・プレゼント」を買ったりもした。

しかし、肝心のシングル曲がどうにも暗く、その良さをじゅうぶんに生かし切れていないように感じてもいた。そして、5枚目のシングルとしてリリースされたのが、本人が出演するコカ・コーラのテレビCMソングでもある「夏色のナンシー」であり、「恋かな Yes! 恋じゃない Yes!」といきなり明るくてとても良かった。オリコン週間シングルランキングで最高7位、「ザ・ベストテン」で最高4位と、初のトップ10入りも果たした。

407. short hair/Base Ball Bear(2011)

Base Ball Bearのアルバム「新呼吸」からの先行シングルで、オリコン週間シングルランキングで最高17位を記録した。東日本大震災が起こった2011年の夏の終り、個人的には最もよく聴いていた曲である。

「たくさん失う 花もかれてゆく それでも僕は、君を待ってる」という、少し大人のラヴソングである。本田翼が出演しているミュージック・ビデオも、どこか懐かしい感じがしてとても良い。

当時、日本の若手ロック・バンドなどはどうせよく分からないのだろうと、すでにかなりあきらめていたのだが、アルバム「(WHAT IS THE) LOVE & POP?」のCMにBerryz工房の熊井友理奈を起用したり、ライブの出囃子にXTC「がんばれナイジェル」を使ったりしていたこのバンドには例外的にハマってしまった。

406. バカヤロウは愛の言葉/パール兄弟(1986)

バンドブームの真っ只中、個人的にはすでに中高生でもなかったので、好意的には見ていたような気がするのだが、それほど熱くはなれていなかった。そして、日本のロックバンドではあるのだが、バンドブームとはあまり関係がないように思えたパール兄弟のレコードを気に入ってよく聴いていた。

サエキけんぞうの飄々としていながら、何やら鋭くて批評的な歌詞と味のあるボーカルがかなり良かった。この曲は都市生活における希薄なコミュニケーションをテーマにしているかよく分からないのだが、「バカ野郎といってくれよ」とキャッチーなメロディーにのせて懇願しているかと思うと、「髪が危ない 薬が欲しいんだ効くやつ」とか「顔が危ない 手術したいんだ渋谷で」などとも歌われている。

405. 仮面舞踏会/少年隊(1985)

少年隊はレコードデビューするずっと前からテレビなどにはよく出たりしていて、松本伊代、小泉今日子、堀ちえみの「パリン子学園No.1」でもレギュラーであった。バブル景気のきっかけとなるプラザ合意が発表された1985年、満を持してのレコードデビューである。

「仮面舞踏会」は大晦日の夜に渋谷のディスコに出かけるために、巣鴨で仲間と待ち合わせをしていた時にも流れてきたのだが、ジャニーズ事務所所属の男性アイドル歌手の楽曲に対して半笑い的なスタンスを取りがちな男子をも納得させるだけのカッコよさを持っていた。「いっそ ecstacy 俺と ecstacy 強く 強く」というところも分かりやすく盛り上がれてとても良かった。

個人的には1987年の正月に東京プリンスホテルでアルバイトをしていると、少年隊のライブを見ながらコース料理をいただく的なイベントに割り振られたことがあり、なんだか得した気分になったことが思い出される。

404. 笑顔YESヌード/モーニング娘。(2007)

モーニング娘。の32枚目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高4位を記録した。グループの歴史上はパフォーマンス的には充実していたのだが、セールスはそれほど振るわなかったとされる、プラチナ期にあたるのだろうか。

アシッドジャズ的な楽曲がとてもカッコいいことに加え、それぞれに個性的な声質を持つメンバーのソロパートが次々と変わっていくところもとても良い。特にガキさんこと新垣里沙のウェットなボーカルがよく生かされている印象がある。タワーレコード新宿店のアイドルコーナーで、この曲のCDシングルに「初聴で思わずガッツポーズ!」という手書きコメントカードが付けられていたような気がする。

403. サンシャイン日本海/Negicco(2014)

新潟を拠点に活動するアイドルグループ、Negiccoのシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高11位を記録した。地方から東京に出てきて活動するのではなく、地方で活動をしながら東京からファンを地元に呼ぶ、というローカルアイドルとしてひじょうに理想的な状態に、この頃にはすでになっていたのだろうか。

Original Loveの田島貴男が初めてアイドルに提供した楽曲で、ネオ・アコースティック的な魅力もありながら、新潟のご当地ソングになっている。ライブパフォーマンスでは、ただ横に移動するだけの振り付けがあり、個人的にここがかなり好きである。ミュージック・ビデオでは地元で躍動しまくるメンバーの姿を見ることができる。

個人的にはこのグループの魅力に気がつきはじめた頃、やはり新潟に行って、このミュージック・ビデオに映っているいろいろな場所を聖地巡礼したことが思い出される。そして、新潟のお祭りである「古町どんどん」のステージでパフォーマンスされるこの曲は格別であった。

402. LADY MADONNA〜憂鬱なるスパイダー〜/LOVE PSYCHEDELICO(2000)

LOVE PSYCHEDELICOのデビュー・シングルで、オリコン週間シングルランキングで最高88位だったが、この後に大ブレイクしてかなり売れまくった。

1960年代から70年代にかけての洋楽ロック的なテイストが特徴的な日本語のロックで、なかなかマニアックであるようにも思えるのだが、これが00年代の日本でメジャーに売れまくったのは、かなりすごいことだったような気がする。

401. サイダー/赤い公園(2014)

赤い公園のアルバム「猛烈リトミック」に収録されたとても良い曲で、「もう勘づいてますか バレバレでダサいなって君に笑われる前に 変わんなきゃ」のフレーズが心のかさぶたを剥がしがちでもある、炭酸飲料的な恋の気分をテーマにしている。

オルタナティヴでインディー・ロック的なところもありながら、モーニング娘。的なキャッチーさも志向性としてはあり、その辺りがとてもユニークである。ギタリストでソングライターの津野米咲はモーニング娘。’16に「泡沫サタデーナイト」も提供した天才的なアーティストだったが、2020年に若くして急逝し、後にバンドも解散することになった。個人的にはこういうのを細々とだがちゃんと記録しておくという目的もあって、こういうことをやっているような気もする。