邦楽ポップ・ソングス・オール・タイム・ベスト500:260-251
260. 20世紀の終りに/ヒカシュー (1979)
ヒカシューのデビュー・シングルとしてリリースされ、当時わりと耳にした記憶はあるのだが、オリコン週間シングルランキングにはランクインしていなかったようである。
P-MODEL、プラスチックスと共にテクノ御三家とも呼ばれていたが、巻上公一ひきいるヒカシューはどこか演劇的なセンスが感じられるのが特徴であった。なんらかのコンピューターゲーム的なもののテレビCMに使われてはいなかっただろうかと調べてみたところ、ヨネザワのサイコムとかいうやつだったようだ。
259. 犬と猫/中村一義 (1997)
中村一義のデビュー・シングルで、オリコン週間シングルランキングで最高79位を記録した。
当時、いとうせいこうが大絶賛していた記憶がある。冒頭の「どう?」はまるでボブ・ディラン「ライク・ア・ローリング・ストーン」の「How does it feel?」のようでもある。また、「同情で群れ成して、否で通す(ありゃ、マズイよなぁ)」などの言語感覚も新しくてとても良い。
この曲が収録されたアルバム「金字塔」のCDを幡ヶ谷のマンションの寒い部屋で聴いていたことが思い出される。
258. イミテイション・ゴールド/山口百恵 (1977)
山口百恵の18枚目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高2位を記録した。
1977年の夏に大ヒットして、海水浴場の売店のラジオで流れているのを聴いた記憶がある。当時、小学生だったのだが、濃密に性愛を連想させる歌詞にドキドキしたものである。
本物の恋人と愛し合った後では、他の人がまるでイミテイションのように感じられてしまう、というようなことが歌われているのだが、そのようなことは実際にありがちである。ということを、後に思い知ることになった。
257. Fool & the Gang/GREAT3 (1995)
GREAT3のデビューシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高98位を記録した。
個人的にこのバンドのことは特別にかなり大好きで、邦楽ロック&ポップスをほとんど聴いていなかった頃にもこのバンドの音楽だけはとても良いと感じまくっていた。
すでに終わってしまった恋の喪失感から立ち直れずにいるのだが、無理にそれを振り切って前向きに未来へと向かっていくのではなく、いつまでもそこにいるところに深く共感する。
「愛してたものはどこにもない それだけがすべてだったのに 君の姿さえ思い出せない」というと歌われるところには、カタルシスさえ感じずにはいられない。こんなに深く傷ついているのに、その姿かたちさえ覚えていないという深刻さと背中合わせの滑稽さ、しかしそれがまるで自分自身にとってのすべてだとさえ思えていたことも紛れもない事実なのである。
そして、過ぎ去ったいにしえの記憶のつもりでいたにもかかわらず、油断した頃にまたしても絡めとられる。
256. MOON/レベッカ (1987)
レベッカの9枚目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高20位を記録した。
当時のレベッカにしては最高位が低いように感じられるかもしれないが、収録アルバム「Poison」発売後のシングルカットなのでわりと売れた方である。
「MOON あなたは知ってるの MOON あなたは何もかも 初めてキスした日のことも」というわけで、2016年に渋谷で行われたDJイベントでECDがラ・ムー「愛は心の仕事です」などと共にかけていて、かなり良い曲だったのだと再認識したのと、妹が好きでレコードを買ったりしていたので個人的にも好意的である。
255. 夏休みのBABY/lyrical school (2017)
lyrical schoolの当時における新体制移行後、最初のシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高13位を記録した。
とにかく楽しそうにラップしているところがとても良く、パフォーマンスを見ているだけで元気にさせてくれた。特にこの曲の場合は「夏最高!」と連呼されたり、「ベリベリサマー マシュマロプリンセス 夏はもう始まってるぜ!」というわけで、ただただご機嫌なわけである。
254. サーカスナイト/七尾旅人 (2012)
七尾旅人の11枚目のシングルで、オリコン週間シングルランキングでは最高141位を記録した。
夜の魔法を感じさせる大人のラヴソングであり、それがたとえ幻であったとしても、「今夜のキスで一生分のこと変えてしまいたいよ」「君がほしい 口づけてしまいたい」とストレートに歌われているところがとても良い。
253. メロディ(Melody)/サザンオールスターズ (1985)
サザンオールスターズの23枚目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高2位、「ザ・ベストテン」では2週連続1位を記録した。2枚組のアルバム「KAMAKURA」からの先行シングルにあたる。
夏は暑くて最高なだけに、その終わりにはいつもテンションが下がりがちで、寂しくて仕方がなく困ったものである。個人的には東京で一人暮らしをしてから初めての夏、日曜の夜のラジオからこの曲が流れてきた。
「いい女には forever 夏がまた来る 泣かないでマリア いつかまた逢える」
もちろん「いい女」でも「マリア」でもありえないわけだが、この歌詞がとても優しく感じられ、グッときた。いまとなってはチープにも感じられるサウンドと桑田佳祐のボーカルの組み合わせも絶妙に良い。
252. 春一番/キャンディーズ (1976)
キャンディーズの9枚目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高3位を記録した。
「雪が溶けて川になって流れて行きます」という「です・ます」調の歌詞、「もうすぐ春ですね 恋をしてみませんか」というストレートなメッセージ、曲そのものにも勢いがあってとても良い。
251. Edo River/カーネーション (1994)
カーネーションの5作目のアルバム「EDO RIVER」の表題曲だが、表記がアルバムが大文字で楽曲が小文字である。
音楽的にはとにかく豊潤でありながらマイルドにエッジが効いていて、適度にセクシーなところがかなり丁度いいのだが、この曲については「東京から少しはなれたところにすみはじめて」というフレーズが印象的であり、その直前の「あぁ」に深い意味を感じたりもする。そして、「ゴメン ゴメン ゴメン」である。