邦楽ポップ・ソングス・オール・タイム・ベスト500:250-241

250. マルシェ/KICK THE CAN CREW (2002)

KICK THE CAN CREWの5枚目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高9位を記録した。

1990年代の初め頃には日本ではラップは浸透しないのではないかということが現実的に言われたりもしていたのだが、その後、すっかりメインストリーム化して、KICK THE CAN CREWはジャンルを代表する人気グループの1つでもあった。

この曲はラテン的でもあるノリの良いトラックと、「上がってんの? 下がってんの? 皆はっきり言っとけ!(上がってる!)」などパーティー的なラップがとても楽しい。この曲で「NHK紅白歌合戦」にも出場した。以前はサブスクリプションサービスでも聴くことができたのだが、いつの間にか聴けなくなっていた。

三三七拍子を取り入れた「地球ブルース~337~」、山下達郎「クリスマス・イブ」をサンプリングした「クリスマス・イブRap」などもヒットした。

249. マイ・ピュア・レディ/尾崎亜美 (1977)

尾崎亜美の3枚目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高4位を記録した。資生堂のCMソングである。

「あっ 気持ちが動いてる たった今 恋をしそう」というフレーズがとても印象的で、春めいている。実際のところは「たった今 恋をしそう」などと考えている暇もなくしているものではあるのだが、もちろんこの曲はこれはこれでとても良い。

248. MajiでKoiする5秒前/広末涼子 (1997)

広末涼子のデビューシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高2位を記録した。

作詞・作曲・プロデュースは竹内まりやで、モータウン的なキャッチーさが良い。「渋谷はちょっと苦手 初めての待ち合わせ」というフレーズによって、瞬時にキャラクター設定ができているのがすごい。

セクシー女優の架乃ゆらがミュージックビデオごとカバーしていて、とても良いものである。

247. スモーキン・ビリー/thee michelle gun elephant (1998)

the michelle gun elephantの10枚目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高13位を記録した。

日本のロックバンドではあるのだが、海外のパブロックやガレージロックからの影響が強く感じられ、邦楽ロック&ポップスの中でもかなり洋楽的ではあったのだが、絶妙なポップ感覚も持ち合わせていて、そこがとても良かった。

この曲については、なんといっても「愛という憎悪」というフレーズが特に印象的である。

246. 淋しい熱帯魚/Wink (1989)

Winkの5枚目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで2週連続1位、日本レコード大賞も受賞した大ヒット曲である。

ユーロビート的な楽曲を無表情で歌い、脱力的な振り付けなどにも不思議な魅力が感じられた。

245. 港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ/ダウン・タウン・ブギウギ・バンド (1975)

ダウン・タウン・ブギウギ・バンドの4枚目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで1位、1975年の年間シングルランキングでは、さくらと一郎「昭和枯れすゝき」、布施明「シクラメンのかほり」、小坂恭子「想い出まくら」、沢田研二「時の過ぎゆくままに」に次ぐ5位を記録した。

「アンタ あの娘の何なのさ!」で終わる、曲の大半が宇崎竜童によるセリフである。それで子供にも人気があり、ノベルティーソング的な印象もあったのだが、聴き返してみるととてもカッコいい。

244. 恋するフォーチュンクッキー/AKB48 (2013)

AKB48のメジャー32枚目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで1位、2013年の年間シングルランキングでは、AKB48「さよならクロール」に次ぐ2位を記録した(ちなみに3位が「ハート・エレキ」、4位が「So long!」と、年間シングルランキングの上位4曲をAKB48が独占している)。

AKB48選抜総選挙で1位に輝いた指原莉乃がセンターポジションで、リードボーカルもとっている。エヴァーグリーンポップ的な曲調とサウンドで、従来のAKB48ファン以外にもわりと受け入れやすかったのと、いろいろな文化人などが登場するビデオがつくられるなど、意図的な広がりもあった。

243. 涙は悲しさだけで、出来てるんじゃない/ムーンライダーズ(1991)

ムーンライダーズのアルバム「最後の晩餐」に収録された曲で、シングルカットはされていないのだが、ベストアルバムに収録されたりはしていたはずである。

大人のラヴソングというか、わりと自虐テイストもあり、「人とくらべてみると しあわせちょっと足りないけど」などとはっきりと歌っているところにまたグッとくる。

個人的には「ぼくは君のアンダーウェア いつでも脱ぎすてるためにいる Woo 気にすることはない」がとても好きである。

242. Family Song/星野源 (2017)

星野源の10枚目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで1位に輝いた。

家族をテーマにしたソウル・ミュージックがコンセプトで、テレビドラマ「過保護のカホコ」の主題歌でもあった。

ここでいう家族の意味合いはわりと幅広く、多様性を肯定する視点があるところもとても良い。血縁関係はまったく無いのだが、何だかとても深いところで理解されているように感じられる人のことを思って聴いても、なんだか思わず泣けてくるのである。

241. ある光/小沢健二 (1997)

小沢健二の17枚目のシングルで、オリコン週間シングルランキングでは最高21位を記録した。

祖父である下河辺孫一の死に際して捧げられた楽曲だということだが、もちろんそれを超えたユニバーサルな広がりを感じさせてくれる。

光となるような人に出会うことにより、これまで闇の中にいたことを知る。その事実を認めることはわりとヘヴィーかもしれないのだが、心の痛みやさびしさに出会えたことにより、生きることの意味はより濃密になり、それはおそらくしあわせなことなのだろうと思う。

次回につづく