邦楽ポップ・ソングス・オール・タイム・ベスト500:240-231

240. ELECTRIC SUMMER/Base Ball Bear (2006)

Base Ball Bearのメジャー1枚目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高41位を記録した。

2009年ぐらいに懇意にさせていただいていた大阪の女子高生(当時)が好きなバンドだと言っていたのでリサーチ程度に聴いてみたところ意外にもハマったのだが、ライブの出囃子にXTC「がんばれナイジェル」を使っていたり、フロントマンの小出佑介がハロー!プロジェクト(特にBerryz工房)のファンだったりしたのでいろいろ察した。

この曲はタイトルがあらわしている通り夏をテーマにしているのだが、「夢中になって素肌の告白をかまし合う君達は、夏いね」というわけで、つまりそういう曲である。ベーシスト、関根史織の女声コーラスもキュートでとても良い。

239. ハイスクールララバイ/イモ欽トリオ (1981)

「欽ドン!良い子悪い子普通の子」に出演していた山口良一、西山浩司、長江健次の3人組がイモ欽トリオで、このデビューシングルはオリコン週間シングルランキングで7週連続1位、1981年の年間シングルランキングでは寺尾聰「ルビーの指環」、竜鉄也「奥飛騨慕情」、近藤真彦「スニーカーぶる~す」に次ぐ4位を記録した。

作詞が松本隆で作曲・編曲が細野晴臣による、テクノポップの高度なパロディーになっている。テクノサウンドと学園での失恋というベタなシチュエーションが絶妙にマッチしていて味わい深い。

238. A面で恋をして/ナイアガラトライアングル (1981)

ナイアガラ・トライアングルのシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高14位を記録した。メンバーは大滝詠一、佐野元春、杉真理である。

資生堂のCMソングだったが出演者のスキャンダルか何かですぐに放送が打ち切られたはずである。大滝詠一のナイアガラ・サウンド全開で、フィル・スペクター的なアレンジやバディ・ホリー的なボーカルパフォーマンスなど、音楽的な楽しみが満載であえいながら、メジャーな日本のポップソングとしても成立している。

237. ルージュの伝言/荒井由実 (1975)

荒井由実の5枚目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高45位を記録した。初期の代表曲の1つというイメージなので、もっとヒットしていたような気がしていた。

恋人がバスルームにルージュで伝言を残し、どうやら浮気のことを自分の母親に告げ口されるらしい、という恐ろしいシチュエーションが、軽快なオールディーズ風のサウンドにのせて歌われている。

236. WINDY SUMMER/杏里 (1983)

杏里のアルバム「TIMELY!!」に収録された曲で、当時のヒットシングルと比べ、よりシティ・ポップ的である。

アルバムそのものは真冬に発売されたのだが、夏が感じられてとても良い。「CAT’S EYE」「悲しみがとまらない」などがヒットした直後のアルバムということで、まさに「TIMELY!!」というタイトルがふさわしく、オリコン週間アルバムランキングでも1位に輝いた。作詞・作曲・編曲は角松敏生である。

235. ベンガルトラとウィスキー/andymori (2008)

andymoriのデビューEP「アンディとロックとベンガルトラとウィスキー」やアルバム「andymori」などにも収録されていた曲である。

個人的には当時、リアルタイムでは日本の新しいロックをほとんど聴いていなかったためあまり知らず、後に高円寺で知り合ったとある女子がこのバンドとアークティック・モンキーズのTシャツをよく着てきていたので、気になって聴いてみたところとても良かった。

文学的な歌詞とリバティーンズにも通じる疾走感溢れるインディー・ロック的な音楽性が特徴なような気もするのだが、それほど良くは分かっていない。しかし、好きになった女の子が気に入っている音楽はほとんどすべて良い、ということが実証された例の1つでもある。

234. ハイサイおじさん/喜納昌吉&チャンプルーズ (1977)

喜納昌吉&チャンプルーズのバージョンで全国的に有名になった沖縄発のポップソングだが、実はそれよりもずっと以前からあったようだ。

1977年にリリースされたバージョンは当時のラジオでもよくかかっていた意外に、志村けんの有名なギャグ「変なおじさん」にもインスパイアをあたえたと思われる。

233. 踊り子/Vaundy (2021)

Vaundyが配信限定でリリースした楽曲である。個人的にはたまたま身近にいた愛知県出身の超絶美少女が激推ししてきたことがきっかけでなんとなく聴いてみたのだが、これはかなり良いのではないかと思った次第である。

ネオ・シティ・ポップというのかニュー・ウェイヴ感もあり、この曲そのものもラヴソングとして優れているのだが、これ自体がラヴソング全般を讃えてもいる。

「時代に乗って僕たちは変わらず愛に生きるのだろう 僕らが散って残るのは変わらぬ愛の歌なんだろうな」というのだから、まったくもって素晴らしい。

232. ねぇバーディア/Negicco (2015)

新潟を拠点とするアイドルグループ、Negiccoのシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高7位を記録した。

地方から上京するのではなく、そこを拠点としながら都心などのファンをも新潟に呼んでしまうという理想的なかたちはビジネスモデルとしても注目され、それを取り上げたビジネス書さえ出版されたほどである(ついでに言うと、その本に私のブログが引用されていたりもするのだ)。

それはそうとして、日比谷野外音楽堂でのライブを前に発表されたこの楽曲にはキャンディーズやアース・ウィンド・アンド・ファイアーなどへのオマージュが含まれている以外に、ミュージックビデオではメンバーそれぞれが各々の方法で東京に向かい、日比谷野外音楽堂の手前で合流するという素敵な演出がされていたりもする。

231. ファンキー・モンキー・ベイビー/キャロル (1973)

キャロルの7枚目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高57位を記録した。

矢沢永吉やジョニー大倉などが所属していたロックンロールバンドの代表曲で、「君はFunky Monkey Baby おどけてるよ」などのフレーズで知られるが、特にイントロは大滝詠一も絶賛したほどのカッコよさである。とかく不良性が薄められたかたちで語られがちなに日本のポップ・ミュージック史であったりもするので、キャロルなどをきちんと評価することによって程よいバランスになるような気もするのだが、もしかすると気のせいかもしれない。