邦楽ポップ・ソングス・オール・タイム・ベスト500:270-261

270. 瞳はダイアモンド/松田聖子 (1983)

松田聖子の15枚目のシングルで、オリコン週間シングルランキング、「ザ・ベストテン」などでいずれも1位に輝いた。

作曲は呉田軽穂こと松任谷由実、編曲は松任谷正隆で、松田聖子の数あるシングル曲の中でも、特にシティ・ポップ的だといえる。「映画色の街」を舞台にした失恋ソングではあるのだが、「私はもっと強いはずよ」と自分に言い聞かせているところなどが健気でとても良い。

松田聖子の音楽はアイドルポップスや流行歌でもありながら、日本のポップ・ミュージックの中でも特にクオリティーが高いものの1つとして認められ、山下達郎や松任谷由実、サザンオールスターズなどのアルバムと同様に大学生のカーステレオなどで再生されがちだった頃を代表する楽曲の1つだといえる。

269. 激しい雨が/THE MODS (1983)

THE MODSの4枚目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高24位を記録した。

本人たちが出演したマクセルのカセットテープ、UD 1のCMソングとしてお茶の間でも流れ、日本のパンク・ロックバンドの楽曲としては、当時かなりヒットした方だったといえる。

268. 恋しさと せつなさと 心強さと/篠原涼子 with t.komuro (1994)

篠原涼子の4枚目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで1位、1994年の年間シングルランキングでは、Mr.Children「innocent world」、広瀬香美「ロマンスの神様」に次ぐ3位を記録した。

当時、東京パフォーマンスドールのメンバーで、「ダウンタウンのごっつええ感じ」に出演していた篠原涼子に小室哲哉が楽曲提供した、映画「ストリートファイターⅡ MOVIE」の主題歌である。

90年代のヒットチャートを席巻した小室哲哉の楽曲はダンス・ミュージックとカラオケを意識したものだといわれたりもするが、この曲にもその特徴がよくあらわれているといえる。

そして、自分自身が肯定感を持って生きていく上でとても大切な人の存在について歌った楽曲としても、普遍的な価値を持っているようにも感じられる。

287. traveling/宇多田ヒカル (2001)

宇多田ヒカルの9枚目のシングルで、オリコン週間シングルで2週連続1位、2002年の年間シングルランキングでは、浜崎あゆみ「H」に次ぐ2位を記録している。

アップテンポでテクノ的な楽曲には当時の宇多田ヒカルのシングルとしても新しさが感じられ、ポップ・アイコン的なミュージックビデオもキャッチーでとても良い。「仕事にも精が出る」「不景気で困ります」などのさり気ない大衆的ワードセンスもまた素晴らしい。

286. 色彩都市/大貫妙子 (1983)

大貫妙子のアルバム「Cliché」に収録されている曲で、シングルカットはされていないのだが代表曲であり、シティ・ポップの名曲としても知られる。

坂本龍一がプロデュースしていて、エレガントで都会的なテクノポップとでもいうべき風情が特徴的である。

285. 私はピアノ/サザンオールスターズ (1980)

サザンオールスターズのアルバム「タイニイ・バブルス」に収録された、原由子のリードボーカル曲である。この頃、サザンオールスターズは音楽制作に集中するために意図的にメディアへの出演を控えたりしていたこともあり、シングルの売り上げは低迷しはじめていたのだが、アルバムは売れていた。

昭和歌謡的でもあるこの曲の歌詞にはラリー・カールトンやビリー・ジョエルの名前も登場する。原由子のボーカリストとしての魅力や、桑田佳祐のソングライターとしての才能を世に知らしめた楽曲の1つでもある。

高田みづえがカバーして、オリコン週間シングルランキングで最高5位、「ザ・ベストテン」では最高4位のヒットを記録した。

264. 恋のバカンス/ザ・ピーナッツ (1963)

ザ・ピーナッツのヒット曲で、休暇を意味する「バカンス」という概念を当時の日本において広めることに貢献した楽曲だともいわれる。

2004ねんには元モーニング娘。の辻希美、加護亜依によるデュオ、W(ダブルユー)のデビュー・シングルとしてカバーされ、オリコン週間シングルランキングで最高10位を記録している。

263. 買物ブギー/笠置シヅ子 (1950)

「ブギの女王」として知られる笠置シヅ子のヒット曲で、当時、約45万枚のレコードを売り上げたといわれる。

軽快なサウンドにのせて歌われる大阪弁の歌詞が特徴的で、日曜日に買物を頼まれたことによるせわしなさがコミカルに表現されている。「おっさん」の連呼や「あほかいな」「あーしんど」といったフレーズに加え、自身の代表曲「東京ブギウギ」の引用なども楽しくとても良い。

262. ここでキスして。/椎名林檎 (1999)

椎名林檎の3枚目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高10位を記録、デビューアルバム「無罪モラトリアム」の先行シングルでもあった。

シンガー・ソングライターとして優れているのはもちろん、サブカルチャー的なムードも持ち合わせているところなどが、若者のみならず一部の大人たちにも大いに受けた。

「現代のシド・ヴィシャスに手錠かけられるのは只あたしだけ」「どんな時もあたしの思想を見抜いてよ」あたりが特に好ましく感じられた。

261. サマージャム’95/スチャダラパー (1995)

スチャダラパーのアルバム「5th WHEEL 2 the COACH」からシングルカットされ、オリコン週間シングルランキングで最高56位を記録した。

「夏本番 海か? 山か? プールか? いや まずは本屋」をはじめとした、当時における日本の夏あるあるを満載したナイスでメロウなサマー・チューンで、サザンオールスターズ(研ナオコ)「夏をあきらめて」からの引用「熱めのお茶」「意味深なシャワー」をも含む。

個人的には夜遅い代々木上原のTSUTAYAでこの曲が目当てで「5th WHEEL 2 the COACH」のCDを買ったことが思い出されるが、その時に一緒にいた女性とは後に結婚することになる。