邦楽ロック&ポップス名曲1001: 2007, Part.2
睡蓮歌/湘南乃風(2007)
湘南乃風の6作目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高2位を記録した。
歌いだしはしっとりとはじまるのだが途中から急速にギアが上がり、「Ah 真夏のJamboree レゲエ砂浜 Big Wave!!」「濡れたまんまでイッちゃって‼︎」と大いに盛り上がりまくる。
レゲエミュージックを日本の大衆音楽として展開した一例で、「おいしいパスタ作ったお前」のフレーズが印象的な「純恋歌」に続く大ヒットとなった。作曲・編曲はMINMIとの共作となっている。
LOVEずっきゅん/相対性理論(2007)
相対性理論の自主制作音源で、後にリマスター盤が全国流通で発売されもするアルバム「シフォン主義」に収録された楽曲である。
やくしまるえつこのユニークなボーカルによって歌われる「ここ ここ ここはどこ 宇宙 わたし中央線乗り越して気付いた 明日は始業式」と歌われるなんとも不思議な歌詞と実験的でありながら絶妙なポップ感覚も感じられる音楽性が受けて、わりと話題になっていた。
アルバムはCDショップ店員たちの投票によって決まる「CDショップ大賞」の第1回受賞作でもあり、オリコン週間アルバムランキングで最高42位を記録した。
ポリリズム/Perfume(2007)
Perfumeの5作目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高7位を記録した。
広島を拠点とするローカルアイドルグループ、ぱふゅ〜むとして活動した後、アミューズ所属と上京を機にグループ名の表記をPerfumeに変更した。
音楽性もそれまでのアイドルポップ的なものから中田ヤスタカをプロデューサーに迎えたテクノポップ的なものへと変化していき、当初はアイドルファンを中心とした人気だったのだが、NHKと公共広告機構が共同で展開する「リサイクルマークがECOマーク。」のCMに使われたこの曲のヒットによって、一般大衆的にもブレイクしていった。
音楽性に合わせてヴィジュアルイメージなどもクールでスタイリッシュなものだったのだが、ライブMCなどはアイドル的であり、その辺りのギャップも大いに受けていた。
空洞です/ゆらゆら帝国(2007)
ゆらゆら帝国の11作目にして最後のオリジナルアルバム「空洞です」のタイトルトラックである。
「ぼくの心をあなたは奪い去った 俺は空洞 でかい空洞」というようなことが歌われるが、「意味を求めて無意味なものがない それはムード 」といまどきの気分を批評しているようでもある。
アルバムは邦楽ロック&ポップ史における名盤の1つとして知られ、特に21世紀以降の作品としてはダントツといえるほどの高評価を得ているような気もする。
すべては虚ろであるわけなのだが、生命力は間違いなくそこにあるというような感じがとても良い。
若者のすべて/フジファブリック(2007)
フジファブリックの10作目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高30位を記録した。
「真夏のピークが去った 天気予報士がテレビで言ってた」「最後の花火に今年もなったな」というような歌詞がとても印象的な、夏の終わりの物悲しさを感じさせてくれる名曲である。
当時それほど大きくヒットしたというわけでもなかったのだが、時が経つにつれしだいに名曲としての評価が高まっていった印象である。
この曲がリリースされた翌々年にボーカリストでソングライターの志村正彦は急逝するのだが、バンドはその後も活動を続け、2019年にはテレビ朝日系の人気音楽番組「ミュージックステーション」でこの曲を当時の映像も交えて演奏した。
俺たちの明日/エレファントカシマシ(2007)
エレファントカシマシの34作目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高18位を記録した。
ハウス食品のドリンク剤、ウコンの力のCMソングでもあり、「さあ がんばろうぜ!」と歌われる大人の応援ソングである。
デビュー当時は一部で高く評価されていながらもバンドブームにおける異端児的な存在でセールス的にも苦戦していたのだが、それから時が経ちこの曲は2023年の「NHK紅白歌合戦」でも歌われたりしていた。
「10代 憎しみと愛入り交じった目で世間を罵り 20代 悲しみを知って 目を背けたくって 町を彷徨い歩き 30代 愛する人のためのこの命だってことに あぁ 気付いたな」という歌詞はこのエレファントカシマシというバンドそのものの成長の足跡のようでもあって、いろいろと感慨深い。