邦楽ロック&ポップス名曲1001: 2008

愛をこめて花束を/Superfly(2008)

Superflyの4作目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高13位を記録した。

越智志帆と多保孝一によるユニットだったが、多保孝一が脱退したことにより、越智志帆のソロプロジェクト化してから最初にリリースされたシングルである。

とはいえ、楽曲そのものは多保孝一が16歳の頃に作詞・作曲したもので、歌詞を一部書き直した状態でライブではずっと演奏されていた。

TBS系のテレビドラマ「エジソンの母」の主題歌にも使われたこの曲はタイトルの通り花束と共に愛を伝える内容となっていて、オリコン週間シングルランキングではトップ10入りしていないものの、iTunes Storeのダウンロードチャートでは1位に輝き、YouTubeで公開されているミュージックビデオやストリーミング音源も累計1億回再生を超えている。

Prisoner Of Love/宇多田ヒカル(2008)

宇多田ヒカルの21作目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高2位を記録した。

フジテレビ系のドラマ「ラスト・フレンズ」の主題歌に使われ、すでにリリースされていたアルバム「HEART STATION」からシングルカットされた。

愛にとらえられた時に人はたまらなくどうしようもない状態になることもある、というようなことについて歌われているような気がする。そこには光だけではなく闇もまた存在するわけだが、そのあたりがエモーショナルに表現されているようでとても良い。

CBCラジオ「モーニング娘。道重さゆみの今夜もうさちゃんピース」の番組内おいて、ハロー!プロジェクト所属アイドル以外で選曲された数少ない楽曲の1つである。

キセキ/GReeeeN(2008)

GReeeeNの7作目のシングルでオリコン週間シングルランキングで2週連続1位、年間シングルランキングで4位を記録した。

メンバー全員が歯科医師を目指す学生であり、医師とアーティスト活動を両立させるために容姿を公開しないことでも話題になった。アーティスト名に入っている4つの「e」はメンバーの人数と、歯科医師志望であることにちなんで笑顔の時に見える歯並びをイメージしている。

「明日 今日よりも好きになれる」の歌いだしからしてとても有名なこの楽曲は高校野球を題材にしたTBS系のテレビドラマ「ROOKIES」の主題歌として大ヒットし、GReeeeNにとって初のNO.1ヒットとなり、翌年の選抜高等学校野球大会では開会式の入場行進曲にも選ばれた。

CDもとてもよく売れたのだが、日本で最も多くダウンロード販売された曲としても知られる。また、オリコン年間カラオケランキングでは史上初となる2年連続1位を記録してもいる。

星間飛行/ランカ・リー=中島愛(2008)

ランカ・リー=中島愛のデビューシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高5位を記録した。

MBS・TBS系のテレビドラマ「マクロスF」の挿入歌で、登場人物のアイドル歌手、ランカ・リーの持ち歌として声優の中島愛によって歌われている。

いかにもアイドルポップスらしい楽曲にしようという意図もあり、作詞は松本隆に依頼された。「水面」「風」といったワードは過去の「マクロス」作品に対するオマージュだが、そこから宇宙的なイメージが展開していき、タイトルはサン=テグジュペリの小説「夜間飛行」にちなんでもいるのだが、この曲の場合はやはりなんていっても「キラッ!」がとても印象的である。

SUMMER SONG/YUI(2008)

YUIの13作目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで1位に輝いた。

アルバム「I LOVED YESTERDAY」の1曲目に収録された「Laugh away」の続編として、同じテーマが女性からの視点で書かれた楽曲である。

「夏が来るから 海に行こうよ」「君に会って 笑いあって はじまるよ 夏休み lalalala」などと歌われる最高のサマーソングで、オーガニックな感じもとても良い。

しかし、このキラキラした日々は永遠に続くはずもなく、いずれは終わってしまうのだという事実も含め、とてもい味わい深い楽曲である。

KissHug/aiko(2008)

aikoの24作目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高2位を記録した。

TBS系で放送されていたテレビドラマシリーズの完結編として制作された映画「花より男子F」の挿入歌で、別名「つくしのテーマ」ともされている。

夏のイメージと恋の終わりが美しくエモーショナルに歌われ、aikoの天才性が最も発揮された素晴らしい楽曲の1つだということができる。

「友達だなんて一度も思ったことはなかった あなたに出逢ったその日から」と歌いはじめられ、「暑い帰り道に見えなくなるまで 本当に小さくなるまで見ていた あなたが好きだったの 今も今も」など、刺さるリスナーにはとにかく刺さりまくるであろう歌詞もとても良い。

HANABI/Mr.Children(2008)

Mr.Childrenの33作目のシングルでオリコン週間シングルランキングで2週連続1位、年間シングルランキングで6位を記録した。

フジテレビ系のドラマ「コード・ブルー-ドクターヘリ緊急救命-」の主題歌として、シリーズや劇場版を通して使用されている。「誰も皆 悲しみを抱いてる だけど素敵な明日を願っている」という歌詞などが象徴する感じがドラマの内容とマッチしているのと同時に、多くの人々の共感を呼ぶものになっている。

リリースから10年後の2018年にはストリーミング配信が解禁されるのだが、テレビドラマの3rd seasonが終わり、劇場版が公開されるまでの間だったことなどもあり、Billboard Japanのストリーミングチャートで1位に輝いたりもしていた。

その後もMr.Childrenの数ある楽曲の中で、最も聴かれ続けているうちの1曲となっている。

ベンガルトラとウィスキー/andymori(2008)

andymoriのデビューEP「アンディとロックとベンガルトラとウィスキー」に収録された楽曲である。

早稲田大学出身の3人によって結成されたロックバンドで、バンド名はアンディ・ウォーホルと藤原新也の写真集「メメント・モリ」に由来する。

イギリスのザ・リバティーンズなどをも彷彿とさせる疾走感溢れるロックサウンドと、どこか哲学的ともいえる歌詞も印象的で、後の日本のロックバンドやアーティストたちにあたえた影響はひじょうに大きい。

初期の代表曲として知られるこの楽曲においては、「分かったような顔で ウロウロウロ檻の中」にいるベンガル虎のことをおそらくは何ものかにたとえ、安いウィスキーで酔うことによって「丸一日全部無駄にしてしてしまうようなそんな Life is party, life is showtime なんて またおどけた顔で言いたいわけじゃない」などと歌われている。