邦楽ロック&ポップス名曲1001: 2009

Butterfly/木村カエラ(2009)

リクルートの結婚情報誌「ゼクシィ」のCMソングに使われ話題になったのだが、シングルCDはリリースされていない。当時のオリコンランキングはCDの売上集計のみによるものだったため、ランクインしていないのだが、デジタル配信はされていて、iTunes Music Storeでは年間2位、「NHK紅白歌合戦」でのパフォーマンスを経た翌年には年間1位に輝いている。

この辺りですでにオリコンランキングがポップソングの実際の流行度合いをそれほど反映している感はそれほどなくなってきていたような気もするのだが、この後、握手券を特典につけて1人のリスナーが複数のCDを購入する動機をつくる、いわゆるAKB商法のようなものが確立するのと同時に、音楽リスナーがCDではなく配信で音源を購入する傾向が強まるのにつれて、その感じはさらに強まっていった。

それはそうとして、この楽曲はCDシングルとして発売はされなかったがアルバム「HOCUS POCUS」には収録された。そして、結婚式の定番ソングとして定着していく。

言い訳Maybe/AKB48(2009)

AKB48は1980年代におニャン子クラブをブレイクさせた作詞家、秋元康のプロデュースで2005年に活動を開始したアイドルグループである。秋葉原のドン・キホーテのビルの8階に専用の劇場を持ち、あおこでの公演をメインの活動としていて、「会いに行けるアイドル」がコンセプトであった。

秋元康は1990年代にプロデュースしたチェキッ娘がそれほどブレイクしなかったこともあり、このAKB48についても当初はそれほど注目されていなかったような気もするのだが、次第に人気を高めていって、キングレコードに移籍した2008年リリースのシングル「大声ダイヤモンド」の頃には、実は楽曲も良いのではないかとわりと話題になるのと同時に、オリコン週間シングルランキングでも最高3位のヒットを記録した。

その翌年にリリースした「涙サプライズ!」のCDシングルにはメンバー人気投票であり次のシングルの選抜メンバーを決める選抜総選挙と全国握手会参加券を付けることによって、1人のファンに複数のCDを購入する動機をあたえるいわゆるAKB商法を発明した。

それによって選ばれたメンバーによってレコーディングされたのがグループにとってメジャー13作目のシングルである「言い訳Maybe」で、オリコン週間シングルランキングでは最高2位のヒットを記録した。

ロック的なギターやテクノ的なビートをも取り入れたキャッチーな楽曲で、「Maybe Maybe 好きなのかもしれない」のところの切なげなメロディーもとても良い。この後、国民的アイドルグループとしてブレイクしていくことになり、「神7」と呼ばれる中心メンバーについてはアイドルファンのみならず、多くの日本国民が顔と名前を一致させることができるぐらいにまでなる。

じょいふる/いきものがかり(2009)

1998年にフォークデュオのゆずがシングル「夏色」でブレイクしたことにより、路上ライブが注目されがちになっていったのだが、その翌年に同じ神奈川県が地元で、当時は高校生だった水野良樹と山下穂尊も路上ライブをはじめ、グループ名を2人が出会った小学生の頃にクラスで担当していた「いきものがかり」にした。

とはいえ、当時はゆずなどに影響された男性デュオの路上ミュージシャンがひじょうに多かったことなどもあり、2人の同級生の妹であり路上ライブに興味をいだいてもいた吉岡聖恵を新メンバーとして迎え、3人組になった、そうして相模大野や海老名などで路上ライブを行っていたようである。

その後、インディーズを経てエピックレコードからデビューを果たすと、ヒット曲を連発していくようになる。バラード的な楽曲の印象も強かったのだが、グリコポッキーのCMソングとして制作された「じょいふる」はポップに弾けていてとても良い。NHK全国学校音楽コンクールの課題曲として制作された「YELL」との両A面シングルとしてCDはリリースされ、オリコン週間シングルランキングで最高2位を記録した。

女々しくて/ゴールデンボンバー(2009)

ゴールデンボンバーはヴィジュアル系エアーバンドという独特のスタイルが何よりも最大の個性となっている。エアーということはつまり音源に合わせて演奏の当てぶりをしているだけであり、実際に演奏はしていない。これがかなり話題になっていた。

しかし、この「女々しくて」という楽曲にはどこか懐かしさを感じさせもする歌謡曲テイストも含め、流行歌としての強度が確実に秘められていて、当初はオリコン週間シングルランキングでの最高位も77位だったものの、音楽配信やテレビ出演などによって人気を高めていき、発売翌々年の2011年からは同じ曲で4年連続して「NHK紅白歌合戦」への出場を果たした。

さらに発売から3年以上を経た2013年のはじめにはオリコン週間シングルランキングで最高4位のヒットを記録し、カラオケランキングでは51週連続1位となり、AKB48「ヘビーローテーション」を抜いて歴代1位に輝いたのであった。

失恋した男の未練を自虐的に描いた歌詞は、鬼龍院翔の実体験に基づいているという。