邦楽ロック&ポップス名曲1001: 1991, Part.1
ラブ・ストーリーは突然に/小田和正(1991)
小田和正のソロアーティストは6作目のシングルとして「Oh! Yeah!」との両A面扱いでリリースされ、オリコン週間シングルランキング、年間シングルランキング共に1位を記録した。
鈴木保奈美が主演したフジテレビ系の月9ドラマ「東京ラブストーリー」の主題歌であり、イントロのギターのフレーズはオープニングのみならず、ドラマ中のとても良い場面でも流れがちであった。
「あの日 あの時 あの場所で君に会えなかったら」と歌われるところなどは、ドラマを見ていなかった人たちにとっても当時の気分をなんとなく思い起こさせるほど大ヒットしていた。
Bye-Bye-Bye/GO-BANG’S(1991)
GO-BANG’Sの7作目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高19位を記録した。
恋人が他の人を好きになったりもして別れることになった状況をテーマにした楽曲なのだが、恨みつらみを並べるわけでもなく、「Baby アカデミー賞級の恋をありがとう」と感謝の気持ちを健気に歌っているところなどがとても良い。
想い出をいろいろ振り返っていくのだが、最後に「あなたがとても大好きだった」と繰り返し歌われ、「Bye-bye Bye-bye みんなBye-bye」と続く。
個人的にはコンビニエンスストアの深夜のアルバイトをやっていたりして昼夜が逆転したよく分からない状態で生活していた頃、真夜中に目が覚めて適当につけていたテレビでこの曲のミュージックビデオを見て、訳もなく涙が止まらなくなった記憶がある。
GROOVE TUBE/フリッパーズ・ギター(1991)
フリッパーズ・ギターの5作目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高22位を記録した。
一般的にはネオアコースティック的な印象が強かったフリッパーズ・ギターがクラブサウンド的なニューシングルを発表したことはかなりの路線変更のようにも思われたのだが、そもそもこれ以前から別にネオアコースティック一辺倒というわけではまったくなかったのと、英国のインディーロックシーンとの共振という意味では当時のインディーダンス的な音楽の流行やプライマル・スクリームなどの動きを見ていれば何ら不自然ではなかったのである。
この曲を収録したアルバム「ヘッド博士の世界塔」をリリースした数ヶ月後にフリッパーズ・ギターは突然に解散し、当時のリスナーたちは悲嘆にくれたのだが1曲目に収録された「ドルフィン・ソング」では「ほんとのこと知りたいだけなのに 夏休みはもう終わり」と歌われていた。
涙は悲しさだけで、出来てるんじゃない/ムーンライダーズ(1991)
ムーンライダーズのアルバム「最後の晩餐」に収録された楽曲である。
約5年間の活動休止を経て久々にリリースされたアルバムで、東芝EMIに移籍して最初の作品でもあった。
「人とくらべてみるとしあわせちょっと足りないけど すてきな店や街 ビーチやゲレンデ知らないけど 涙は悲しさで出来てるんじゃない」などと歌われる大人の痛切なラブソングである。
ムーンライダーズといえば音楽マニア受けするバンドというイメージがあり、当時、フリッパーズ・ギターが雑誌のインタビューで「ムーンライダーズにはなりたくない」というようなことを言っていたのだが、これについて鈴木慶一が「なれるものならなってみろ」などと言っていたことが思い出される。
あなたに会えてよかった/小泉今日子(1991)
小泉今日子の32作目のシングルでオリコン週間シングルランキングで4週連続通算5週1位、年間シングルランキングで6位を記録した。
田村正和と父子役で出演していたテレビドラマ「パパとなっちゃん」の主題歌である。作曲・編曲は小林武史、作詞は小泉今日子自らによる。
「第33回日本レコード大賞」ではポップス・ロック部門においてゴールド・ディスク賞と小泉今日子が作詞賞、小林武史が編曲賞を受賞している。
「サヨナラさえ上手に言えなかった」と歌われるつまり別れをテーマにした楽曲なのだが、「あなたに会えてよかったね きっと私」とポジティブなところがとても良い。
どんなときも。/槇原敬之(1991)
槇原敬之の3作目のシングルでオリコン週間シングルランキングで1位、年間シングルランキングでは4位の大ヒットを記録した。
織田裕二が主演した映画「就職戦線異状なし」の主題歌である。
「どんなときも どんなときも 僕が僕らしくあるために 『好きなものは好き!」と言えるきもち抱きしめてたい」と、自分らしさを失わず自己肯定感を高めていくタイプの応援ソングとしてずっと聴かれ続けている。
調子悪くてあたりまえ/ビブラストーン(1991)
ビブラストーンのアルバム「エントロピー・プロダクションズ」に収録されている楽曲である。
近田春夫が率いるファンク/ヒップホップバンドで、批評性の高い歌詞とファンキーなサウンドが特徴である。
「調子悪くてあたりまえ」という素晴らしいタイトルは、2021年に出版された近田春夫の自伝本にも用いられた。