邦楽ロック&ポップス名曲1001: 1986, Part.2
BAN BAN BAN/KUWATA BAND(1986)
KUWATA BANDのデビューシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高3位、年間シングルランキングで4位、「ザ・ベストテン」では5週連続1位で年間ランキングでも中森明菜「DESIRE -情熱-」を抑え1位に輝いた。
サザンオールスターズの桑田佳祐が原由子の産休にともなう活動休止期間中に松田弘らと結成したバンドで、4枚のシングルをヒットさせた。アルバム「NIPPON NO ROCK BAND」にはシングル曲を一切収録せず、全曲が英語詞だったにもかかわらずオリコン週間アルバムランキングで1位に輝いた。
サザンオールスターズよりもシンプルにロック的で、キャッチーなところが大いに受けていたような気がする。
シーズン・イン・ザ・サン/TUBE(1986)
TUBEの3作目のシングルでオリコン週間シングルランキングで最高6位、「ザ・ベストテン」では1位で年間ランキングでも3位のヒットを記録した。
この前の年にビールのCMソングでもあった「ベストセラー・サマー」がヒットしたもののなんとなく一発屋感が漂っていたのだが、この曲でより本格的なブレイクを果たし、夏の定番的なバンドとして知られるようになる。
Shake Hip!/米米クラブ(1986)
米米クラブの2作目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高54位を記録した。バンドがブレイクした後の1990年に新バージョンがリリースされ、オリコン週間シングルランキングで最高5位を記録した。
味の素のスポーツドリンク、TERRAのCMソングとして使われていて、バンドメンバーもそれには出演していた。ミュージックビデオもCMと共通するもので、巨大な地球儀に追いかけられながら逃げまくるシーンなどをテレビ神奈川の「ミュージックトマトJAPAN」でよく見た記憶がある。
キャッチーで踊れる新しいタイプの邦楽ポップスとして個人的にもかなり気に入っていて、このシングルもおそらく本厚木で買ったのだがそれほどヒットしなく、やはり早すぎるのだろうかと思ったりしていたのだが、後にちゃんと売れたのでとても良かった。
君は1000%/1986オメガトライブ(1986)
1986オメガトライブのデビューシングルでオリコン週間シングルランキングで最高6位、「ザ・ベストテン」では最高2位を記録した。
杉山清貴&オメガトライブが解散した後、一部の元メンバーらによって結成され、ボーカリストにはカルロス・トシキが新たに迎え入れられた。
シティポップ的な楽曲と甘いボーカルが特徴で、いきなりヒットを記録することになった。榊原郁恵郁恵が主演したテレビドラマ「新・熱中時代宣言」の主題歌でもあった。
RASPBERRY DREAM/レベッカ(1986)
レベッカの5作目のシングルでオリコン週間シングルランキングで最高4位、「ザ・ベストテン」では最高7位を記録した。
サウンドがより洋楽的でカッコよくてなったような印象がある。「どうか魅力をください」などと歌われるNOKKOによる歌詞も特に女子中高生ぐらいのファンから共感を得ていたような気がする。
天城越え/石川さゆり(1986)
石川さゆりの45作目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高46位を記録した。
「第28回日本レコード大賞」で金賞を受賞したり「NHK紅白歌合戦」で何度も歌われたりしているが、最高位は意外にもそれほど高くはなかった。
静岡県の天城峠を越えることを天城越えと言い、ご当地ソングでもあるわけだが、難易度が高く石川さゆりの卓越したボーカルパフォーマンスをドラマティックな楽曲と共に堪能できる。
CHA- CHA-CHA/石井明美(1986)
石井明美のデビューシングルでオリコン週間ランキングのみならず年間ランキングでも1位、「ザ・ベストテン」でも1位に輝いた。
テレビドラマ「男女7人夏物語」の主題歌で、イタリアの音楽グループ、フィンツィ・コンティーニのカバーである。
日本語詞は今野雄二で、イントロのセリフなどはつのだ⭐︎ひろである。楽曲はもちろん石井明美のビジュアル的なイメージも含め、バブル景気初期の浮かれた気分が感じられたりもする。
青空のかけら/斉藤由貴(1986)
斉藤由貴の7作目のシングルでオリコン週間シングルランキングで1位、「ザ・ベストテン」では最高3位を記録した。
この頃だとおそらくテレビアニメ「めぞん一刻」のオープニングテーマでもあった「悲しみよこんにちは」の方が人気があるのだが、ここでは夏の終わりにリリースされたこっちである。
アップテンポで独特の浮かれた感じと間奏にタップダンスが入っているところなどが、当時の斉藤由貴のイメージとは絶妙なギャップもあってとても良かった。
Missing/久保田利伸(1986)
久保田利伸のデビューアルバム「SHAKE IT PARADISE」収録曲で、シングルカットはされていないのだが人気はとても高い。
ソウルミュージックやR&B的な音楽を日本のメインストリームでポピュラーにする上で、久保田利伸の果たした役割はとても大きいような気がするのだが、個人的にも「オールナイトフジ」でのミニライブで初めて知って、こんなスティーヴィー・ワンダーのようなタイプの歌い方をするアーティストが日本にも現れたのかと衝撃を受け、すぐにCDを買いにいった記憶がある。
この曲はかつての恋人に対する熱い想いを歌ったものであり、「夜のヒットスタジオDELUXE」に出演して歌った際には、後ろで聴いていた松田聖子が思わず泣いてしまうというようなこともあった。
東京ブロンクス/いとうせいこう & Tinnie Punx(1986)
いとうせいこう& Tinnie Punxのアルバム「建設的」に収録され、日本語ラップの初期を代表する作品の1つとして知られる。
Tinnie Punxは高木完と藤原ヒロシの2人組で、この頃に近田春夫がPresident BPMの名義でリリースしたラップの12インチシングル「MASSCOMMUNICATION BREAKDOWN」にも参加している。
9月の海はクラゲの海/ムーンライダーズ(1986)
ムーンライダーズの結成10周年記念アルバムとしてリリースされた「DON’T TRUST OVER THIRTY」に収録された楽曲である。
メンバー全員が30代になったタイミングで「30歳以上を信じるな」というタイトルのアルバムを発表してしまうセンスにこのバンドらしさを感じてしまう。
ニューウェイヴ的なサウンドにのせて、「君のことなにも知らないよ 君のことすべて感じてる」「Everything is nothing」など本質的かもしれないようなことが歌われている。作詞はパール兄弟のボーカリストとしても活動していたサエキけんぞうである。
この後、ムーンライダーズは活動を休止する。
Woman・S/PSY・S(1986)
PSY・Sのアルバム「PIC-NIC」収録曲で、後にシングルカットもされた。明石家さんまのトーク番組「さんまのまんま」のエンディングテーマ曲としても使われていた。
テクノポップの進化系ともいえるようなタイプのサウンドと、CHAKAの個性的なボーカルが特徴である。作詞は佐伯健三ことサエキけんぞうである。メンバーの松浦雅也は後にプレイステーションのゲームソフト「パラッパラッパー」の音楽で大成功したりもする。
ONLY YOU/BOØWY(1986)
BOØWYのアルバム「BEAT EMOTION」の収録曲で、翌年の春にシングルカットされると、オリコン週間シングルランキングで最高4位のヒットを記録した。
シングルカットされたのはすでに解散が決まった後、レーベルからの要望によるものであった。氷室京介が妻に対する想いを歌ったともいわれるラブソングで、音楽的にもこれぞBOØWYサウンドといえるようなものになっている。