ブロンディの名曲ベスト10

ブロンディは1945年7月1日生まれのデビー・ハリーとギタリストのクリス・スタインらによってニューヨークで結成されたロックバンドで、1970年代後半から1980年前半にかけてのニュー・ウェイヴ時代にアメリカやイギリスなどでいろいろな曲をヒットさせた。ニュー・ウェイヴをベースとしながら、ディスコやレゲエ、ラップなどの要素を取り入れ、メインストリーム化したことでも知られる。今回はそんなブロンディの楽曲から、これは特に名曲なのではないかと思える10曲を挙げていきたい。

10. Rip Her To Shreds (1977)

デビュー・アルバム「妖女ブロンディ」の収録曲で、イギリスではブロンディの最初のシングルとしてリリースされるものの、全英シングル・チャートにはランクインしなかった。ゴシップ記事が人々の生活にどのような影響をあたえるかがテーマになっている。

9. Sunday Girl (1978)

アルバム「恋の平行線」からシングル・カットされ、全英シングル・チャートで1位に輝いた。デビー・ハリーが飼っていた猫、サンデイ・マンが逃げてしまったことをきっかけに、私生活でのパートナーでもあったクリス・スタインが作詞・作曲した曲である。60年代のガールズ・ポップとニュー・ウェイヴがミックスされたような感じがとても良い。

8. The Tide Is High (1980)

アルバム「オートアメリカン」から先行シングルとしてリリースされ、全米、全英いずれのシングル・チャートでも1位に輝いた。ジャマイカのグループ、ザ・パラゴンズが1960年代にリリースした曲のカバーで、レゲエ風のリズムが特徴的である。歌詞の内容を反映した「夢見るNo.1」という邦題でも知られる。2002年にはアトミック・キトゥンによるカバーバージョンも全英シングル・チャートで1位に輝いている。

7. Dreaming (1979)

アルバム「恋のハートビート」から先行シングルとしてリリースされ、全英シングル・チャートで最高2位を記録した。ABBA「ダンシング・クイーン」を参考にしたというキャッチーなメロディーとデビー・ハリーのガールズ・ポップ的なボーカル、印象的なドラムの演奏など、ポップソングとしてひじょうに聴きごたえがある。

6. Hanging On The Telephone (1978)

アルバム「恋の平行線」の1曲目に収録され、シングルカットもされた曲である。全英シングル・チャートでの最高位は5位であった。元々はアメリカのパワー・ポップバンド、ザ・ナーヴスのレパートリーであり、バンドがもらったカセットテープにたまたま入っていた。東京のタクシーの中でこのカセットを聴き、とても気に入ったのだが、アメリカに帰って確認してみるとザ・ナーヴスはすでに解散していて、それならば自分たちがカバーしてしまおうということになったようだ。イントロとして電話の音が入っているのもとても良い。

5. One Way Or Another (1978)

アルバム「恋の平行線」からアメリカとカナダではシングル・カットされ、全米シングル・チャートで最高24位を記録した。デビー・ハリーが過去に経験したストーカー被害が歌詞のモチーフとなっている。ボーカル、演奏ともにパフォーマンスがアグレッシヴで素晴らしく、それほどヒットはしていないもののひじょうに人気が高い曲である。

4. Call Me (1980)

映画「アメリカン・ジゴロ」のテーマソングとして、ジョルジオ・モロダーのプロデュースで制作された曲で、全米シングル・チャートで6週連続1位、年間チャートでもピンク・フロイド「アナザー・ブリック・イン・ザ・ウォール」を抑えて1位に輝いた。イギリスやカナダのシングル・チャートでも1位になっている。当初はフリートウッド・マックのスティーヴィー・ニックスが歌うことを想定されていたようだが、いろいろあってブロンディがレコーディングすることになった。日本でもオリコン週間シングルランキングで最高19位、30万枚以上売り上げるなど、洋楽にしてはヒットした方で、代々木公園で踊る竹の子族のラジカセからもよく流れていたという。

3. Rapture (1980)

アルバム「オートアメリカン」からシングル・カットされ、全米シングル・チャートで1位に輝いた。当時まだそれほどメジャーではなかったラップ・ミュージックを取り入れ、メインストリームでヒットさせた曲として知られる。タイトルの「ラプチュアー」には恍惚とかエクスタシーというような意味があるのと同時に、「ラップ」とかかってもいるのであった。ラップをフィーチャーした初の全米NO.1ヒットだということである。純真な地方の中学生としては、どこか怪しげにセクシーな感じがたまらなく良かった。

2. Atomic (1980)

アルバム「恋のハートビート」からシングル・カットされ、全英シングル・チャートで1位に輝いた。「銀河のアトミック」の邦題もイカしているディスコ的でもあるニュー・ウェイヴだが、なんといっても「your hair is beautiful」というフレーズが最高である。1996年の映画「トレインスポッティング」のサウンドトラックではブリットポップバンドのスリーパーがカバーしていた。

1. Heart Of Glass (1978)

パンクロックとディスコ・ミュージックとは同じく70年代後半に流行しながらも、対立する概念と見なされがちでもあったのだが、それらをミックスしたら最高のポップソングになってしまったというのがこの曲である。ポップ・ミュージック史に残る完璧なポップ・アルバムの1つと評されることもある「恋の平行線」からシングル・カットされ、アメリカやイギリスをはじめいくつかの国のシングル・チャートで1位に輝いた。