洋楽ロック&ポップス名曲1001:1989, Part.1
Madonna, “Like a Prayer”
マドンナの4作目のアルバム「ライク・ア・プレイヤー」からリードシングルとしてリリースされ、全米シングルチャートで3連続1位など世界各国でヒットを記録した。
「祈りのように」という意味のタイトルがあらわしているように信仰をイメージさせる内容の楽曲だが、歌詞は恋愛とのダブルミーニングにもなっている。
ゴスペル的なコーラスも導入した音楽性が特徴で、マドンナの楽曲の中でも特に高く評価されている。この曲あたりからマドンナはポップスターとしてのみならず、クリエイティブなアーティストとしても批評家から注視されるようになった印象がある。
宗教的なモチーフを多用し、ややセンセーショナルに感じられるところもあるミュージックビデオも高く評価されたが、キリスト教団体から苦情が寄せられるなどして、多額の契約金でマドンナと契約していたペプシはこの楽曲を使用したCMの放送を中止したりもしていた。
De La Soul, “Me Myself and I”
デ・ラ・ソウルのデビューアルバム「3フィート・ハイ・アンド・ライジング」からシングルカットされ、全米シングルチャートで最高34位、R&Bチャートやホットダンスクラブプレイチャートでは1位を記録した。
それまでのヒップホップグループとは少し異なったポップでカラフルなイメージが特徴であり、ホール&オーツやスティーリー・ダンなどもサンプリングしたアルバムは高く評価された。
ア・トライブ・コールド・クエストのQティップとアリ・シャヒード・ムハマドも出演したユニークなミュージックには、ステレオタイプに規定されることなく自分らしくあることが大切なのだというようにはメッセージ性が込められているようだ。
Pixies, “Monkey Gone to Heaven”
ピクシーズの2作目のアルバム「ドリトル」からリードシングルとしてリリースされ、全米モダンロックトラックスチャートで最高5位を記録した。
環境保護と聖書の数秘術というオルタナティブロックの楽曲としてはユニークなテーマが扱われている。
バンドにとってはゲストミュージシャンを初めて起用した楽曲であり、オルタナティブロック的なサウンドにストリングスが効果的に用いられている。
Pixies, “Debaser”
ピクシーズのアルバム「ドリトル」の1曲目に収録された楽曲で、当時はシングルカットされなかったのだが、解散した後の1997年にベストアルバム「デス・トゥ・ザ・ピクシーズ」をプロモートする目的でシングルがリリースされ、全英シングルチャートで最高23位を記録した。
キム・ディールのクールなベースラインからはじまり、オルタナティブロック的なイントロが何小節か続いた後、ブラック・フランシスのシャウト気味なボーカルで目玉を切り裂くシーンで有名な映画「アンダルシアの犬」などについて歌う。
ポップでキャッチーでありながらエネルギーに満ち溢れた楽曲であり、キム・ディールのコーラスが絶妙なポップ感覚を加えているようにも感じられる。
Pixies, “Here Comes Your Man”
ピクシーズのアルバム「ドリトル」からシングルカットされ、全米モダンロックトラックスチャートで最高3位を記録した。
ブラック・フランシスが14歳か15歳の頃に書いた楽曲で、ピクシーズが最初につくったデモテープにはすでに収録されていたようなのだが、あまりにもキャッチーすぎるという理由などから発表されてこなかった。
「ドリトル」にも収録したくなかったようなのだが、プロデューサーのギル・ノートンがこの曲をとても気に入っていて、強い要望があったので収録することにしたようである。
明るい感じの楽曲ではあるのだが、歌詞の内容はカリフォルニアの地震で酔っぱらいやホームレスが死ぬというものである。最初の歌詞に出てくる「ボックスカー」という単語は、ブラック・フランシスがR.E.M.の楽曲で聴いてから特に気に入っていたという。
The Stone Roses, “I Wanna Be Adored”
ザ・ストーン・ローゼズのデビューアルバム「ザ・ストーン・ローゼズ」の1曲目に収録されていた楽曲である。リリース当時には「石と薔薇」という邦題がつけられていた。
全英アルバムチャートでは最高19位だったが、2004年に9位、2009年には5位と再リリースされる度に最高位を更新している。
当時は「憧れられたい」という邦題がつけられたこの楽曲は、サイケデリックで少し長めのイントロに続いて、イアン・ブラウンの繊細なボーカルで「魂を売る必要はない。彼はすでに自分の中にいる」と歌われる。
後にシングルカットされ全英シングルチャートで最高20位、全米モダントラックスチャートでは最高18位を記録した。
The Stone Roses, “She Bangs the Drums”
ザ・ストーン・ローゼズのアルバム「ザ・ストーン・ローゼズ」からシングルカットされ、全英シングルチャートで最高34位、全米モダンロックトラックスチャートで最高9位を記録した。
「世界が動きはじめているのを感じる 針がレコードの溝の上に落ちるのを聴く それは新しい日に向かって螺旋状に続いていく」というようなことが歌われ、さらには「過去はあなたのものだったが 未来は僕のものなのだ」などと未来への希望に満ち溢れている。
1960年代のバーズなどからの影響が感じられもして、それがリリース当時はサウンド的に特に目新しくもないとされて正当に評価されていなかったところもあるが、間違いなく素晴らしい楽曲である。
The Stone Roses, “I Am the Resurrection”
ザ・ストーン・ローゼズのアルバム「ザ・ストーン・ローゼズ」の最後に収録されていた楽曲で、後にシングルカットされ、全英シングルチャートで最高33位を記録した。リリース当時は「僕の復活」という邦題がつけられていた。
この楽曲はイアン・ブラウンが「僕は復活であり、命である」というようなことを歌っているところもすごいのだが、後半の4分間ぐらいがインストゥルメンタルで、これがなかなか圧巻である。
ボーカルのイアン・ブラウンとギターのジョン・スクワイアのみならず、ベースのマニとドラムスのレニというリズム隊の演奏がまた素晴らしく、そこがザ・ストーン・ローゼズの魅力でもあったのだが、それがよくあらわれた楽曲だということができる。