洋楽ロック&ポップス名曲1001:1977, Part.4
Elvis Costello, ‘Watching the Detectives’
エルヴィス・コステロが1977年10月にリリースしたシングルで、全英シングルチャートで最高15位を記録した。これがエルヴィス・コステロにとって最初のヒット曲であり、ジ・アトラクションズはまだ率いていない。
ザ・クラッシュのデビューアルバム「白い暴動」を何度も繰り返し聴き続けた後で書いた曲らしく、リズムにはレゲエからの影響も感じられる。インスタントコーヒーを飲みながら、36時間ぐらい起き続けてもいたようだ。
恋人が探偵もののテレビを見続けている状況について、静かに憤りながら淡々とシニカルに歌っている感じがとても良い。
Bee Gees, ‘Stayin’ Alive’
映画「サタデー・ナイト・フィーバー」のサウンドトラックアルバムから2作目のシングルとしてリリースされ、全米シングルチャートで4週連続1位を記録した。ビー・ジーズが全米シングルチャートで記録した6曲連続1位のうちの2曲目である。
ビー・ジーズはハーモニーが美しいボーカルグループとして知られていたのだが、1975年の「ジャイヴ・トーキン」ぐらいからファルセットで歌うようになり、「サタデー・ナイト・フィーバー」の大ヒットによってすっかりディスコミュージックのイメージがついてしまった。
ディスコブームを象徴する楽曲の1つとして知られているが、内容は都会における若者のサバイバルをテーマにしたわりとシリアスなものである。
Parliament, ‘Flash Light’
パーラメントのアルバム「ファンケンテレキーVS. プレイスボ・シンドローム」からシングルカットされ、全米シングルチャートで最高16位、R&BチャートではPファンクと呼ばれるジャンルの楽曲としては初の1位を記録した。
バンドのベーシストであるブーツィー・コリンズが自身のブーツィーズ・ラバー・バンドの楽曲としてつくったのだが、結局はパーラメントに提供することになった。
ユダヤ教のバル・ミツバの聖歌から引用したチャントもひじょうに印象的なこの楽曲では、サー・ノーズというキャラクターがファンクを見つけて踊りだすまで、巨大な懐中電灯を振り回して照らし続けるのが恒例となったため、ライブ会場では観客のために懐中電灯の物販も行っていたということである。
Suicide, ‘Frankie Teardrop’
スーサイドのデビューアルバム「スーサイド」に収録された楽曲で、シングルカットもされていなければ特にヒットしたわけでもないのだが、その閉所恐怖症的ともいえる魅力からわりと高く評価されがちである。
20歳の工場労働者で低所得であるフランキーがある日、仕事から帰ると妻と子供を殺害し、自らの命も絶つという救いようのないストリーなのだが、さらに作品は彼を地獄まで追い続ける。
シンプルなキーボードのフレーズとドラムマシーンによるサウンド、アラン・ヴェガの断末魔的とでもいうべき叫び声が印象的な恐ろしい楽曲なのだが、不思議なポップ感覚がたまらなく魅力的でもある。
Althea and Donna, ‘Uptown Top Ranking’
ジャマイカを拠点とする10代の女性デュオ、アルシア&ドナがジョークのつもりでレコーディングした楽曲なのだが、イギリスのBBCラジオでジョン・ピールが流したところリクエストが殺到し、全英シングルチャートで1位に輝く大ヒットを記録した。
プロデューサーのジョー・ギブスがトリニティ「スリー・ピース・スーツ」にインスパイアされてつくった楽曲であり、エンジニアのエロール・トンプソンによるバックトラックにのせて、地元のティーンエイジャーであったアルシアとドナが歌詞に様々なスラングを提供した。
歌詞は英語ではあったもののジャマイカのパトワと呼ばれるものであり、イギリスのリスナーのほとんどは理解していなかったということである。
Culture, ‘Two Seven Clash’
ジャマイカのレゲエバンド、カルチャーのデビューアルバム「ツー・セブンス・クラッシュ」に収録された楽曲である。
1977年7月7日に7という数字が重なることによって混乱が起こるというマーカス・ガーヴェイによる黙示録的な予言がわりと信じられてもいて、ジャマイカでは企業や学校が閉鎖されたりもしていたという。
そのことがテーマになっているのだが、音楽的にも評価は高く、この年のジャマイカでベストアルバム賞に選ばれたりもしている。