洋楽ロック&ポップス名曲1001:1968, Part.1
Otis Redding, ‘(Sittin’ On) The Dock of the Bay’
オーティス・レディングが1968年にリリースしたシングルで、全米シングルチャートで1位、全英シングルチャートで最高3位を記録した。
このシングルが発売される約1ヶ月前に、オーティス・レディングは飛行機の墜落事故によって亡くなっていた。レコーディングを終えた3日後のことであった。この曲はすでに亡くなったアーティストが記録した初の全米NO.1ヒットとしても知られるようになった。
オーティス・レディングがカリフォルニア州サウサリートのボートハウスに滞在していた時にスティーヴ・クロッパーと共作した曲であり、それまでに発表していた楽曲とはテイストが異なる穏やかな雰囲気が特徴であった。アウトロの口笛はアドリブで、カモメの鳴き声や波の音は後から付け加えられた。
1988年にマイケル・ボルトンによるカバー・バージョンが全米シングル・チャートで最高11位を記録したが、オーティス・レディングの未亡人であるゼルマ・レディングはそのパフォーマンスに感銘を受け、マイケル・ボルトンに感謝の手紙を送ったという。マイケル・ボルトンはそれを額縁に入れ、オフィスの壁に飾っていたようである。
Steppenwolf, ‘Born to Be Wild’
ステッペンウルフのデビューアルバム「ステッペンウルフ」からシングルカットされ、全米シングルチャートで最高2位、全英シングルチャートで最高30位を記録した。邦題は「ワイルドでいこう!」である。
映画「イージー・ライダー」の主人公たちがバイクで疾走するシーンで使われていたイメージがひじょうに強く、当時のカウンターカルチャーを象徴する楽曲として知られる。
歌詞で「ヘビーメタル」という単語が用いられた最初の楽曲ともいわれるが、ここでは音楽のジャンルではなくバイクのことを意味しているようである。
日本ではワタナベエンターテインメント所属のお笑いグループ、超新塾の出囃子として知られていたり、遠藤ミチロウがカセットブック「ベトナム伝説」でカバーしたりもしていた。
The Zombies, ‘Time of the Season’
ゾンビーズのアルバム「オデッセイ・アンド・オラクル」からシングルカットされ、全米シングルチャートで最高3位を記録した。邦題は「ふたりのシーズン」である。
収録アルバムはバロックポップの名盤として後に評価が定着するのだが、当時はそれほど売れていなく、メンバー間の人間関係が悪化していたことなどもあり、完成とほぼ同時にバンドは解散した。
しかし、翌年になってからアメリカでヒットして再結成の要請もあったのだが、結局は実現しなかった(後にメンバーのうちの2人がゾンビーズの名義で活動するようになる)。
Simon & Garfunkel, ‘Mrs. Robinson’
サイモン&ガーファンクルのアルバム「ブックエンド」からシングルカットされ、全米シングルチャートで1位、全英シングルチャートで最高4位を記録した。
初期のバージョンは映画「卒業」のサウンドトラックアルバムに収録されていて、タイトルも映画の登場人物に由来している。
歌詞にはアメリカのプロ野球選手、ジョー・ディマジオの名前も登場しているが、来日公演の際には王貞治に変えて歌われたことがあるという。
1992年にレモンヘッズがカバーして、全英シングルチャートで最高19位を記録している。
The Rolling Stones, ‘Jumpin’ Jack Flash’
ローリング・ストーンズのシングルで、全英シングルチャートで1位、全米シングルチャートで最高3位を記録した。
「サタニック・マジェスティーズ」のサイケデリック路線の後ということもあり、これぞストーンズという感じのストレートなロックチューンが歓迎されたであろうことは、チャートアクションからも推測できる。
「サティスファクション」「ブラウン・シュガー」「スタート・ミー・アップ」などと並んでライブの」定番曲としても定着するが、「ブラウン・シュガー」だけは歌詞が時代にそぐわなくなったなどの理由で後にセットリストから外れることになった。
Aretha Franklin, ‘Say a Little Prayer’
アレサ・フランクリンのアルバム「アレサ・ナウ」に収録された後、シングル「ジャックの家」のB面としてもリリースされ、全米シングルチャートで最高10位、全英シングルチャートでは最高4位を記録した。邦題は「小さな願い」である。
ディオンヌ・ワーウィックのバージョン(こちらの邦題は「あなたに祈りをこめて」である)がすでに全米シングルチャートで最高4位のヒットを記録していて、アレサ・フランクリンとバック・コーラスのスウィート・インスピレーションズがレコーディングの合間に遊びでこの曲を歌っていたところ、なかなか良いのではないかということになり、正式にレコーディングすることになったようだ。
バート・バカラックとハル・デヴィッドのコンビによる楽曲で、ベトナム戦争に行った男性の無事を祈る女性の想いをテーマにしているが、より広い意味でも解釈することができる。アレサ・フランクリンのバージョンではディオンヌ・ワーウィックのオリジナルとは異なり、リードボーカルとバックコーラスとのかけ合いの形式がとられている。