洋楽ロック&ポップス名曲1001:1971, Part.3

Elton John, ‘Tiny Dancer’

エルトン・ジョンのアルバム「マッドマン」からアメリカではシングルカットされ、全米シングルチャートで最高41位を記録した。イギリスではシングルカットされてすらいない。邦題は「可愛いダンサー(マキシンに捧ぐ)」である。

歌詞はバーニー・トーピンが、当時の妻について書いたものだといされている。1970年代にヒット曲を量産したエルトン・ジョンの楽曲の中にあってこの曲の印象はそれほど強いものではなかったと思えるのだが、時間が経つにつれて代表曲の1つとしても認知されていったように思える。

そのきっかけの1つとして、2000年の映画「あの頃ペニー・レイン」において、バンドのツアーバス車内でこの曲が合唱される印象深いシーンが挙げられる。

Led Zeppelin, ‘Stairway to Heaven’

レッド・ツェッペリンのアルバム「レッド・ツェッペリンⅣ」に収録された楽曲で、邦題は「天国への階段」である。シングルカットはされていないが最もポピュラーなロックソングの1つとして知られる。

ギターのアルペジオやリコーダーの演奏などで静かめにはじまるのだが、少しずつ盛り上がっていき、ハードにロックしたりもする。約8分とわりと長尺である。歌詞はいろいろな深読みもされるが、もしかすると意味はない可能性もある。

イントロは素人がギターを手に取ると思わず弾きがちであり、たとえば映画「ウェインズ・ワールド」に登場する楽器店ではギターの試し弾きは許可しているものの、「天国の階段」だけは禁止と告知している。

Faces, ‘Stay with Me’

フェイセズのアルバム「馬の耳に念仏」からシングルカットされ、全英シングルチャートで最高6位を記録した。

スティーヴ・マリオットがハンブル・パイを結成するため脱退した後のスモール・フェイセスのメンバーにジェフ・ベップ・グループからロッド・スチュワートとロン・ウッドが加わったのがフェイセスである。そして、この曲はロッド・スチュワートとロン・ウッドによって作詞作曲されている。

ロッド・スチュワートがこの曲で歌っているのはグルーピーとのワンナイト・スタンドというなかなか懐かしのロックンロール的な感じなのだが、だとしても否定することを困難にさせるカッコよさもある。

マニック・ストリート・プリーチャーズがバーナード・バトラーと一緒にこの曲をカバーしたバージョンが「シー・イズ・サファリング」のシングルB面に収録されていた。

Al Green, ‘Let’s Stay Together’

アル・グリーンが1971年にリリースしたシングルで、全米シングルチャートで1位、全英シングルチャートでは最高7位を記録した。翌年にはアルバム「レッツ・ステイ・トゥゲザー」にも収録されている。

良い時も悪い時もハッピーな時も悲しい時も一緒にいたいと歌われる感動的なラヴソングで、数多くのアーティストたちによってカバーされているが、1983年のティナ・ターナーのバージョンが特に有名である。

1994年にはクエンティン・タランティーノ監督の映画「パルプ・フィクション」でも使われ、新しい世代のリスナーを多く獲得したと思われる。

David Bowie, ‘Changes’

デヴィッド・ボウイのアルバム「ハンキー・ドリー」からシングルカットされ、全米シングルチャートで最高66位を記録した。つまり、当時はそれほどヒットしていないのだが、代表曲の1つとして知られている。

様々な音楽性をこの時点ですでにいろいろ試していて、この曲でもそれがテーマになってはいるのだが、その後もさらに音楽性やイメージを生涯にわたって変革し続けたことから、まるでデヴィッド・ボウイのテーマソングのようになっている。

ピアノはリック・ウェイクマン、サックスはデヴィッド・ボウイ自身によって演奏されている。

David Bowie, ‘Life on Mars?’

デヴィッド・ボウイのアルバム「ハンキー・ドリー」の収録曲だが、後に「ジギー・スターダスト」のヒットでブレイクしている頃にシングルとしてリリースされ、全英シングルチャートで最高3位を記録した。邦題は「火星の生活」である。

フランク・シナトラのとても有名な曲「マイ・ウェイ」のパロディーでもあるのだが、デヴィッド・ボウイのボーカルパフォーマンスの素晴らしさや、ひじょうに複雑なのだがポップ感覚に溢れたメロディーなどによって、初期の代表曲の1つとして知られる。

グラムロック的なロマンティシズムがドラマティックに展開されているのだが、それがけして大袈裟になりすぎず、美しくもアートなポップ感覚を高度に実現しているところがとても良い。