Red Right Hand – Nick Cave & The Bad Seeds (1994)
ニック・ケイヴ&ザ・バッド・シーズのアルバム「レット・ラヴ・イン」からシングル・カットされるも、当時は全英シングル・チャートにランクインしなかった。後に映画「スクリーム」シリーズやテレビドラマ「ピーキー・ブラインダーズ」をはじめ、数多くのサウンドトラックで使用されたり、アークティック・モンキーズ、PJハーヴェイ、イギー・ポップなどにカバーされるなど、バンドの代表曲としバンドの代表曲として知られるようになった。ダークでどこか不穏な感じがとても良い。
Regulate – Warren G ft. Nate Dogg (1994)
80年代の「全米トップ40」ファンとしては、マイケル・マクドナルド「アイ・キープ・フォーゲッティン」がサンプリングされていることがうれしい驚きであった。高校1年の頃に同じ学級の遊んでいる系の女子からヘアカット100「ペリカン・ウエスト」を買って貸すことが要求されていたのだが、それに抗って買った「思慕(ワン・ウェイ・ハート)」からの先行シングルである。映画「アバヴ・ザ・リム」のサウンドトラックにも使われたGファンクを代表する曲の1つで、全米シングル・チャートで最高2位を記録した。
Buddy Holly – Weezer (1994)
ロサンゼルス出身のオルタナティヴ・ロック・バンド、ウィーザーのデビュー・アルバム「ウィーザー(ザ・ブルー・アルバム)」からシングル・カットされた、とてもキャッチーでどこか懐かしさも感じさせる曲である。カーズのリック・オケイセックがプロデュースしているからか、マイルドにニュー・ウェイヴ的なところもとても良い。
Faster – Manic Street Preachers (1994)
マニック・ストリート・プリーチャーズの代表曲といえばおそらく他の曲だし、国民的人気バンドとして知られるようになるのは、ギタリストのリッチー・エドワーズが失踪し、3人組になってからである。とはいえ、最もテンションの高さが感じられるのはその直前にリリースされたアルバム「ホーリー・バイブル」であり、先行シングルがこの曲である。アメリカのマーケットを意識したためかコマーシャルになりすぎた前作「ゴールド・アゲインスト・ザ・ソウル」の反省を生かし、よりポスト・パンク的なサウンドになっている。全英シングル・チャートでは最高16位を記録した。
Ping Pong – Stereolab (1994)
ステレオラブのアルバム「マーズ・オーディアック・クインテット」からの先行シングルで、全英シングル・チャートで最高45位はバンドにとって最大のヒットである。アナログシンセ的でエクスペリメンタルなサウンドとフランス出身のシンガー、レティシア・サディエールのアンニュイなボーカルも心地よく、景気循環というポップソングとしてはなかなかユニークなテーマについて歌われている。
Live Forever – Oasis (1994)
オアシスの3枚目のシングルで、全英シングル・チャートでは最高10位と初のトップ10入りを果たした。発売前からライブでとても盛り上がる曲として評判になっていたが、この年の9月に行われた渋谷クラブクアトロでの初来日公演でも、すでに大合唱状態であった。この曲も収録したデビュー・アルバム「オアシス(原題:Definitely Maybe)」も当然のように初登場1位に輝いた。
Hallelujah – Jeff Buckley (1994)
早逝したシンガー・ソングライター、ティム・バックリィの息子としても知られるジェフ・バックリィのデビュー・アルバム「グレース」はその圧倒的なクオリティーによって、かなりの高評価を得た。オリジナル曲も素晴らしいのだが、レナード・コーエン「ハレルヤ」のカバーはひじょうに好評であり、オリジナル以上に高く評価される場合もある。この数年後、30歳の若さで溺死することになる。
Cigarettes & Alchol – Oasis (1994)
オアシスのデビュー・アルバム「オアシス」の収録曲で、後にシングル・カットされ、全英シングル・チャートで最高7位を記録した(B面にはビートルズ「アイ・アム・ザ・ウォルラス」のライブ・カバー・バージョンが収録されていた)。実はデビュー前から「NME」の付録についてきたカセットテープに収録されていて、その時にはアレンジがT・レックス「ゲット・イット・オン」にもっと近かった。オアシスが当時のシーンに取り戻したものの1つとしてロックンロール的な快楽主義が挙げられるが、この曲にはそれがよくあらわれていて、よってとても重要だと考える。
Connection – Elastica (1994)
エラスティカはジーズ・アニマル・メンやスマッシュといったバンドと共にNWONW(ニュー・ウェイヴ・オブ・ニュー・ウェイヴ)なるサブジャンルに「NME」によって分類されそうになっていたのだが、ブリットポップの方が盛り上がってきたので、そちらに組み入れられた。とはいえ、やはりニュー・ウェイヴ色が濃く、クールでスタイリッシュなところがたまらなく魅力的であった。全英シングル・チャートで最高17位、翌年にリリースされたデビュー・アルバム「エラスティカ」は全英アルバム・チャートで1位に輝いた。
The Wild Ones – Suede (1994)
オアシスやブラーがひじょうに盛り上がってきたので、スウェードはもうすでにUKインディー・ロック界で最も旬なバンドではなくなっていた。しかも、2作目のアルバム「ドッグ・マン・スター」制作中にギタリストでソングライターのバーナード・バトラーが脱退するという苦境に立たされた。とはいえ、内容はデビュー・アルバムよりもさらに深化していて、2枚目のシングルとしてカットされたこの美しいバラードも素晴らしい。全英シングル・チャートでは最高19位を記録した。