The 500 Greatest Songs of All Time : 110-101

110. Ghost Town – The Specials (1981)

スペシャルズが1981年6月にリリースしたシングルで、全英シングル・チャートで1位に輝いた。

当時のイギリスの不況を反映したダークで不穏なムードが歌詞やサウンドにあらわれている。

「NME」「メロディー・メイカー」「ザ・サウンド」という当時のイギリスの3大音楽誌すべてにおいて、年間ベスト・シングルに選ばれた。

この後、バンドからはテリー・ホール、ネヴィル・ステイプル、リンヴァル・ゴールディングが脱退し、ファン・ボーイ・スリーを結成することになる。

109. Light My Fire – The Doors (1967)

ドアーズのデビュー・アルバム「ハートに火をつけて」からシングルカットされ、全米シングル・チャートで3週連続1位に輝いた。全英シングル・チャートでは最高49位だったが、24年後の1991年にオリヴァー・ストーン監督による伝記的映画「ドアーズ」が公開されたタイミングで最高7位を記録している。

中心メンバーのジム・モリソンではなく、バンドのギタリスト、ロビー・クリーガーによって書かれた曲である。約6分59秒もあることから初めはシングルカットされなかったのだが、人気が高かったため、ソロパートをカットするなどして短縮したバージョンがシングルで発売された。

レイ・マンザレクによるキーボードのフレーズがなんといっても印象的であり、個人的にも「ベストヒットUSA」で「ラヴ・ミー・トゥー・タイムス」のビデオがオンエアされた後に小林克也が話しているバックで流れているので初めて聴いて、ドアーズのベスト・アルバムを買った記憶がある。

1980年代だったので、ドアーズはすでに過去のバンドだったのだが、映画「地獄の黙示録」で「ジ・エンド」が使われたことなどによるちょっとしたリバイバルも起こってはいて、レコードはわりと買いやすかった。「ドアーズ・グレイテスト・ヒッツ」は、1981年の全米アルバム・チャートで年間16位にランクインするほどであった。

108. The Weight – The Band (1968)

ザ・バンドのデビュー・アルバム「ミュージック・フロム・ビッグ・ピンク」からシングルカットされ、全米シングル・チャートで最高63位、全英シングル・チャートで最高21位を記録した。

カントリーやフォーク、R&Bといったルーツ的な音楽からの影響を取り入れた音楽性はひじょうにユニークであり、後にアメリカーナなどと呼ばれる音楽にも強い影響を与えた。

この曲はそれほど大きくヒットしてはいないのだが、映画「イージー・ライダー」で使われたことなどで有名になったようだ。個人的には小学生だった1970年代後半にラジオで映画「ラスト・ワルツ」のCMがよく流れていて、それで聴いては流行りのディスコ・ミュージックなどとはまったく違って、なんだか渋くてカッコいい音楽だなと感じていた。

とはいえ、ニュー・ウェイヴやインディー・ロックを好んで聴いていた時分にベスト・アルバムを買ったもののいまひとつピンとこなく、実は趣味嗜好的にそれほど相性が良くないのかとも思っていたのだが、かなり大人になってから急激に良いと感じられるようになって、映画「ラスト・ワルツ」の爆音上映にもノリノリで参加していた。

107. Just Like Honey – The Jesus & Mary Chain (1985)

ジーザス&メリー・チェインのデビュー・アルバム「サイコ・キャンディ」から先行シングルとしてリリースされ、全英シングル・チャートで最高45位を記録した。

ノイジーなギターと1960年代のガールズ・ポップやサーフ・ロックの組み合わせというエポックメイキングな音楽性や、ライブでは暴動が起きたり大変なことになっているらしいという噂などで、ひじょうに注目されていた。

プライマル・スクリームのボビー・ギレスピーがドラマーとして参加していたり、後にシューゲイザーと呼ばれる音楽にも強い影響をあたえたり、学生時代の小山田圭吾が下敷きに写真を入れていたとインタヴューで語っていたことなどでも知られる。

106. Bohemian Rhapsody – Queen (1975)

クイーンのアルバム「オペラ座の夜」から先行シングルとしてリリースされ、全英シングル・チャートで9週連続1位、全米シングル・チャートで最高9位を記録した。1991年にフレディ・マーキュリーが亡くなった後にも全英シングル・チャートで5週連続1位、全米シングル・チャートでは翌年に最高2位を記録している。この頃にはロックをテーマにしたコメディ映画「ウェインズ・ワールド」でも効果的に使われていた。

2018年に公開され大ヒットした伝記的映画のタイトルにもなるなど、あまりにも有名でメジャーすぎる曲であり、色々なシチュエーションでさんざん耳にしたり、カラオケで歌おうとして無惨な結果に終わっている場面に遭遇したりしてはいるのだが、この曲に似ていてこれほどヒットした曲というのもまったく思い浮かばず、それだけユニークな楽曲だといえる。

アカペラのコーラスやピアノ弾き語りバラード、オペラ的なパートなど、アイデアがふんだんに盛り込まれた上で1曲のポップソングとして成立しているところがとにかくすごいのだが、ミュージック・ビデオを早くもわりとちゃんと制作していたという点でも先駆的である。

105. Imagine – John Lennon (1971)

ジョン・レノンのアルバム「イマジン」からシングルカットされ、全米シングル・チャートで最高3位、日本のオリコン週間シングルランキングでは最高14位を記録している。イギリスでは1975年のベスト・アルバム「シェイヴド・フッシュ」が発売されるタイミングでやっとシングルカットされ、全英シングル・チャートで最高6位を記録している。ジョン・レノンが凶弾に倒れた直後には再びランクインし、1981年1月から4週連続1位を記録している。

ソフトでマイルドなサウンドとメロディーにのせて歌われているのは、宗教や国境、物質主義などを否定し、平和を希求するあまりにもラディカルで理想主義的なメッセージである。歌詞のアイデアの大半は妻であるオノ・ヨーコの思想に影響を受けたものであることが、亡くなる直前のインタヴューで語られている。

104. I Can’t Stand the Rain – Ann Peebles (1973)

アン・ピーブルズが1973年7月にリリースしたシングルで、全米シングル・チャートで最高38位、全英シングル・チャートで最高41位を記録した。

雨が窓に打ちつける音は失くした恋を思い出させるので聴きたくはない、ということが歌われた失恋ソングである。この曲の印象を強いものにしているのは、ソウルフルなボーカルももちろんなのだが、ティンバレスという打楽器で奏でられる雨音に似たサウンドである。

後にエラプションというグループがディスコポップ的にカバーしてヒットさせたり、ティナ・ターナーもアルバム「プライヴェート・ダンサー」でカバーしたり、ミッシー・エリオットがこの曲をベースにした「レイン」をリリースしたりした。ジョン・レノンもこの曲をかなり気に入っていたようである。

103. Move On Up – Curtis Mayfield (1970)

カーティス・メイフィールドのソロ・デビュー・アルバム「カーティス」からシングルカットされ、全英シングル・チャートで最高12位を記録した。

アルバム・バージョンは約8分49秒あったが、シングルカットにあたって3分以下に短縮されていた。いろいろとしんどい状況はあるにせよ、現実を変えるには動きだそう、というようなポジティヴなメッセージが、とてもカッコいいサウンドにのせて歌われている。

ザ・ジャムがライブでカバーしていたり、アメリカのジョー・バイデン大統領が選挙演説の後で流したりもしていた。

102. All My Friends – LCD Soundsystem (2007)

LCDサウンドシステムのアルバム「サウンド・オブ・シルバー」からシングルカットされ、全英シングル・チャートで最高41位を記録した。

それほど大きくヒットしてはいないのだが、ピッチフォーク・メディアやガーディアンが年間ベスト・ソングに選ぶなど当時から評価は高く、その後もこの時代を代表するポップソングの1つとして認識されているようなところはある。最近ではThe 1975が2022年のアルバム「外国語での言葉遊び」のオープニングで、この曲のピアノのリフを引用していた。

大人になるにつれ、若かった頃と価値観は変わってしまったのだが、あの頃の友人たちはどうしているだろう、というようなノスタルジックな楽曲である。

101. Video Games – Lana Del Rey (2011)

ラナ・デル・レイのデビュー・シングルで、全英シングル・チャートで最高9位を記録した。ヨーロッパのいくつかの国々ではより高い順位まで上がり、全米シングル・チャートでは最高91位であった。

ウェブカメラで撮影したミュージックビデオを自主制作して投稿し、インターネットで話題になったのも当時としてはまだ新しかった。

すでに終わってしまった過去の恋愛について歌われているように思えるこの曲には、どこか懐かしい感じが漂っているのだが、それでいてヴィデオ・ゲームというわりと新めなアイテムがタイトルや歌詞における重要なワードになっているところが味わい深い。

ビールの缶をあけてヴィデオゲームをする男性は、実際にラナ・デル・レイの過去の恋人がモデルになっているらしく、歌詞で特定はされていないが、そのヴィデオ・ゲームは「ワールド オブ ウォークラフト」というやつのようだ。