The 500 Greatest Songs of All Time : 380-371

380. Stay with Me – Faces (1971)

フェイセズのアルバム「馬の耳に念仏」からシングルカットされ、全英シングル・チャートで最高6位を記録した。

スティーヴ・マリオットがハンブル・パイを結成するため脱退した後のスモール・フェイセスのメンバーにジェフ・ベップ・グループからロッド・スチュワートとロン・ウッドが加わったのがフェイセスである。そして、この曲はロッド・スチュワートとロン・ウッドによって作詞作曲されている。

ロッド・スチュワートがこの曲で歌っているのはグルーピーとのワンナイト・スタンドというなかなか懐かしのロックンロール的な感じなのだが、それはそうとして否定することがひじょうに難しいカッコよさもある。

マニック・ストリート・プリーチャーズがバーナード・バトラーと一緒にこの曲をカバーしたバージョンが「シー・イズ・サファリング」のシングルB面に収録されていた。

379. Beetlebum – Blur (1997)

ブラーのアルバム「ブラー」から先行シングルとしてリリースされ、全英シングル・チャートではバンドにとって2曲目となる1位に輝いた。

それまでのポップでキャッチーなブリットポップ的な音楽性から一転し、どこかダウナーなムードが印象的である。当時、デーモン・アルバーンとパートナーであったエラスティカのジャスティーン・フリッシュマンはブリットポップのロイヤルカップルなどとも一部では呼ばれていたわけだが、この曲はカップルでのヘロイン体験にインスパイアされているといわれている。

ブラー関係者の間でももしかするとあまり売れないのではないかと思われていたようなのだが、実際のところは大ヒットした上に、ブラーのバンドとしての評価をより高めることにもなった。この年はレディオヘッド「OKコンピューター」とザ・ヴァーヴ「アーバン・ヒムス」が売れた上に高く評価され、オアシス「ビィ・ヒア・ナウ」が売れはしたものの後に酷評されたことを考えるに、このブラーの音楽性の変化は、時代の気分にマッチしていたのではないかといえなくもない。

378. Me and Mrs. Jones – Billy Paul (1972)

1970年代のフィリー・ソウルブームを大いに盛り上げたソングライターチーム、ギャンブル&ハフによる楽曲をビリー・ポールが歌い、全米シングル・チャートで3週連続1位に輝いた。

いわゆる不倫がテーマになっているのだが、それが上品で都会的なアレンジとボーカルで間違いなく美しいものとして描かれている。かつて日本のとあるトレンディ俳優が「不倫は文化」などと言って批判されていたが、そのムードはさらにしんどくなっているといえる。それだけにこの曲の価値は高まっているわけで、その素晴らしさを語り継いでいく必要がある。

これ以上のコメントはいろいろ怖いので避けておきたい。

377. Something – The Beatles (1969)

ビートルズのアルバム「アビイ・ロード」収録曲で「カム・トゥゲザー」との両A面でシングルカットもされた。全米シングル・チャートでは1位、全英シングル・チャートでは最高4位を記録した。

ジョージ・ハリスンのソングライターとしての評価が、この曲によってかなり高まった。ジョン・レノンもこの曲を「アビイ・ロード」で最も優れた曲だと認めているようだ。

このピュアなラヴソングにインスピレーションをあたえたのはジョージ・ハリソンの当時の妻、パティ・ボイドだといわれたりいわれなかったりしている。

ビートルズの楽曲としては「イエスタデイ」の次によくカバーされているのが、この「サムシング」らしい。

376. No Surprises – Radiohead (1997)

レディオヘッドのアルバム「OKコンピューター」からシングルカットされ、全英シングル・チャートで最高4位を記録した。

ミュージックビデオはトム・ヨークの顔に水がどんどんせり上がってきて息ができなくなるというようなものだが、これが仕事が少しずつあなたを殺していく、というような歌詞の内容ともマッチしているように思える。

鉄琴とギターのアルペジオが何とも印象的だが、そもそもはマーヴィン・ゲイやルイ・アームストロング「この素晴らしき世界」のような曲を目指していたという。

375. Complete Control – The Clash (1977)

ザ・クラッシュが1977年の秋にリリースしたシングルで、全英シングル・チャートで最高28位を記録した。

レーベルがバンドメンバーの意向を無視して勝手に「リモート・コントロール」をシングルとしてリリースしたのにブチ切れたことをきっかけとして、この曲がつくられたという。

プロデューサーはレゲエ、ダブのリー・ペリーだが、これぞパンクロックというような勢いのある仕上がりになっている。

374. Edge of Seventeen – Stevie Nicks (1981)

スティーヴィー・ニックスのソロアルバム「麗しのベラ・ドンナ」からシングルカットされ、全米シングル・チャートで最高11位を記録した。

個人的には当時、中学生であり、スティーヴィー・ニックスがフリートウッド・マックというとても有名なバンドのメンバーだなどということはあまり意識せず、普通にトップ40ヒットの1つとして聴いていたのだが、なんだかとてもエキサイティングだと感じた。

イントロなどはサバイバー「アイ・オブ・ザ・タイガー」などにも影響をあたえているのではないだろうか。また、2003年の映画「スクール・オブ・ロック」においてジョン・キューザックが演じる堅物の校長がジュークボックスから流れるこの曲に合わせて激しく踊るシーンは最高である。

373. Papa Was a Rollin’ Stone – The Temptations (1973)

モータウンのソングライターでプロデューサー、ノーマン・ホイットフィールドがサイケデリックなサウンドにチャレンジした楽曲のうちの1つで、最初はアンディスピューテッド・トゥルースというグループによってリリースされた。

その後、テンプテーションズによるバージョンがリリースされると、全米シングル・チャートで1位に輝き、グラミー賞でも3部門を受賞した。

1960年に「マイ・ガール」をはじめ数々のヒット曲を世に送り出したテンプテーションズだが、その後、サイケデリックなサウンドを取り入れるようになり、メンバーチェンジを経てリリースしたこの曲が大ヒットを記録した。

シングル・バージョンは短く編集されているが、オリジナルは12分ぐらいありひじょうに聴きごたえがある。内容はある男の人生をテーマにしたものとなっている。

372. Up Town Top Ranking – Althea & Donna (1978)

ジャマイカ出身の10代の女性デュオ、アルシア&ドナのシングルで、全英シングル・チャートで1位に輝いた。

DJのトラックにのせてアドリブで歌われた曲で、ほとんど冗談でレコーディングされたのだが、BBCのDJ、ジョン・ピールがラジオで流したところリクエストが殺到し、大ヒットになったらしい。

個人的にはヒットした頃よりもかなり後になってからこの曲を知って、すぐに大好きになったのだが、1985年の2月に大学受験のために訪れた東京のホテルのテレビで初めて見て衝撃を受けたオナッターズ「恋のバッキン」を思い出さなくもなかった。

371. Substitute – The Who (1966)

ザ・フーが1966年の3月にリリースしたシングルで、全英シングル・チャートで最高5位を記録した。邦題は「恋のピンチヒッター」である。

ピート・タウンゼントがスモーキー・ロビンソン&ザ・ミラクルズ「トラックス・オブ・マイ・ティアーズ」にインスパイアされて書いたというこの曲はとてもカッコいいロック・チューンなのだが、歌詞の内容は自分は誰かの代わりにすぎないなどと、なかなか自虐的でもあるところがとても良い。

個人的に初めて買ったザ・フーのCD「ザ・シングルズ」の1曲目に収録されていたのがこの曲で、いきなり気に入ったことが思い出される。