1991年の洋楽ロック&ポップス名曲ベスト50
10. Mind Playing Tricks On Me – Geto Boys
収録アルバムのジャケットがすでにドキュメンタリータッチに衝撃的でとても良いのだが、楽曲に中毒性があり、精神的な問題にヴィヴィッドに斬り込んでいるところなどにも新しさを感じる。
9. O.P.P. – Naughty By Nature
ジャクソン5「ABC」を引用したとてもキャッチーなヒップホップなのだが、マイルドにセクシーな要素などもあり、ポップ・ソングとしての強度を感じる。
8. 3AM Eternal (Live At The S.S.L.) – The KLF
ポスト・モダン的なアート感覚を持ち合わせながら、一般大衆的にもしっかり売れてしまうという、不気味にも痛快な存在感が特徴的なKLFの、これもアンセミックでとても勢いのあるヒットソングである。
7. Get The Message – Electronic
ニュー・オーダーのバーナード・サムナーと元ザ・スミスのジョニー・マーによるユニットというのが注目すべき点ではあると思われるが、インディー・ポップ的なアプローチでクラシックなポップ感覚を実現しようとしたかのような、志の高さを感じたりもする。
6. Only Shallow – My Bloody Valentine
マイ・ブラッディ・ヴァレンタインのアルバム「ラヴレス」の当時の邦題は「愛なき世代」で、その1曲目がこの曲であった。ギターを主体としてこんなにもオリジナリティーのあるサウンドがつくり出せるのだというのがまず衝撃的であり、そのノイジーともいえる演奏に乗せて耽美的なボーカルという組み合わせによる美しさの新境地もひじょうに高いレベルで実現している。
5. Losing My Religion – R.E.M.
タイトルから受けるイメージに反し、宗教に直接は関係がない。しかし恋愛における失望にはそれに近いものも感じられなくもなく、それをドラマティックに歌っているようでもある。
4. Unfinished Symphony – Massive Attack
ユニークなリズムとソウルフルなボーカルとの組み合わせが、かつてない新しいポップ・ミュージックの可能性を感じさせ、それでいて時間の経過によってけして色褪せることのないオーセンティックさすらも獲得しているように思える。
3. Higher Than The Sun – Primal Scream
アンビエント・テクノのジ・オーブとコラボレートすることにより、ダンス・ミュージックの要素を取り入れたインディー・ロックというトレンドを超え、ポップ・ミュージックの新しい地平に到達しようとしている。まどろみの中における覚醒とでもいうようなものを感じなくもない。
2. The Concept – Teenage Fanclub
インディー・ロックにはメインストリームに対するカウンターという側面もあり、クラシック・ロックはその対象であるようにも思われたのだが、アルバム「バンドワゴネスク」におけるティーンエイジ・ファンクラブはクラシック・ロック的な強度をインディー・ロックというフォーマットにおいて実現するという、わりとすごいことをやっているような気がする。たとえばこの曲における美しいコーラスやギター・ソロ、曲の長さなどがそれを象徴していて、それ以前にこの曲はステイタス・クオーのレコードを好み、いつもデニムを身に付けている女の子について歌われていたのであった。
1. Smells Like Teem Spirit – Nirvana
オルタナティヴ・ロックをメインストリーム化したという点においてひじょうに重要な楽曲ではあるのだが、高度資本主義社会が直面した歪みのようなものをヴィヴィッドに表現していくと、ネガティヴであることそのものがリアリティーともなっていくのだが、それをエネルギッシュなポップ感覚に変換したところがとても新しかったように思える。