50 Greatest Summer Songs of All Time (50-41)

一年で最高の季節こと夏が到来するとなると、もちろん「夏用のテープとかはしっかり作るのよ」(スチャダラパー「サマージャム’95」)というようなことをずっとやっているのだが...といいたいところではあるが、実際には録音媒体としてカセットテープを使わなくなってから久しく、その後はMD、iTunesのプレイリストと、「夏用のテープとかはしっかり作るのよ」的なことはとりあえず毎年やっている。とはいえ、毎年入る曲というのはほぼ固定されていて、何曲かが入れ替わるという程度である。しかしながら、「夏は単なる季節ではない。それは心の状態だ」(片岡義男「彼のオートバイ、彼女の島」)というような感じで今回のこれはいわゆる洋楽篇として、おそらく5回に分けてやっていくものと思われる。邦楽篇の方はおそらくそのうちにやると思うのだが、それはまたその時である。あと、5回連続というわけではおそらく特になくて、とりたててこの日でなければ、というようなネタがない日に穴埋め的に入ってくるような気がする。

50. Steal My Sunshine – LEN (1999)

カナダのオルタナティヴ・ロック・バンド、レンが1999年にリリースした楽曲で、サスペンス映画「go」のサウンドトラックで使われたことなどにより、全米シングル・チャートで最高9位のヒットを記録した。エレクトロニカ系の野外イベントに行った時のフィーリングにインスパイアされているが、ヒューマン・リーグ「愛の残り火」のセンを狙ったところもあり、そのためボーカルは男女の掛け合いになっている。アンドレア・トゥルー・コネクション「モア、モア、モア」をサンプリングしたトラックは評価が高く、サマー・ポップや一発屋ヒットの定番曲として知られている。

49. Heavy metal drummer – Wilco (2001)

ウィルコのアルバム「ヤンキー・ホテル・フォックストロット」からシングル・カットされた、グルーヴィーでブリージィーな曲である。ヘヴィー・メタルとパンク・ロックのファン同士はお互いに対立し合っていたとか、そういうイメージが持たれがちだが実はそういうわけでもなかったとか、いろいろな話があるわけだが、そういったこともふまえた内容になっているような気がする。音楽マニア受けしがちなバンドという印象がなんとなくあるのだが、この曲は単純にとても良い。

48. Fantastic Day – Haircut 100 (1982)

ヘアカット100のデビュー・アルバム「ペリカン・ウェスト」からシングル・カットされ、全英シングル・チャートで最高9位を記録した。フリッパーズ・ギターがバンド名を曲のタイトルに引用したり「好き好きシャーツ」をカバーしたりしたことにより、ネオアコだとかネオアコではないとかいろいろ細かいことがいわれたりもしたらしいのだが、すべてミュートかブロックしているので個人的には見えない。高校1年の時にディスコなどで遊んでいるタイプの女子から「ペリカン・ウェスト」を買って貸すように命令されたが、無視してマイケル・マクドナルド「思慕(ワン・ウェイ・ハート)」を買った。

47. Club Tropicana – Wham! (1983)

ザ・スタイル・カウンシルの楽曲で活躍し、ポール・ウェラーと結婚し離婚するディー・C・リーがこの頃にはワム!にかかわっていて、ビデオにも映っている。イントロで虫の鳴き声や車のドアを閉める音などが効果音として入っているのもとても良い。「オールナイトフジ」にとんねるずが初登場した時の画像を見つけると、この曲を収録したアルバム「ファンタスティック」のプロモーションで来日していたワム!の、まだスターとしてのオーラがそれほどでもなく、番組に対してまったくやる気がなさそうな様子を確認することができて乙なものである。全英シングル・チャートで最高4位を記録した。

46. Suddenly Last Summer – The Motels (1983)

アメリカのニュー・ウェイヴ・バンド、モーテルズのヒット曲で、全米シングル・チャートで最高9位を記録した。邦題は「想い出のラスト・サマー」である。モーテルとは車で移動する人たちが宿泊するためのホテルのことである、というようなことは片岡義男の赤い背表紙の文庫本などを読んでいれば分かっていたのだが、当時、旭川の高校生の大半にとっては台場の方にあるお城の形などをしたラブホテルを指し、「想い出のラスト・サマー」という邦題もひと夏の経験的な意味合いを帯びて響いてくるのであった。マーサ・デイヴィスのボーカルに独特のクセがあり、それも含めてとても良い。

45. Hot Stuff – Donna Summer (1979)

ドナ・サマーというアーティスト名からして夏らしいし、タイトルに「ホット」という単語が入っているからというわけでもないのだが、実際には1979年6月に全米シングル・チャートで1位に輝き、夏にヒットしていたのは「バッド・ガール」の方である(これもまた連続して全米シングル・チャートで1位であった)。「ホット・スタッフ」の場合、日本でもオリコン週間シングルランキングで最高17位とかなり売れていたのだが、ディスコブームを代表する1曲ということができる。ドゥービー・ブラザーズやスティーリー・ダンで活動していたギタリスト、ジェフ・バクスターを起用するなどして、ロックやポップスのリスナーにもアピールしたのが功を奏したように思える。

44. Summer Girl – HAIM (2019)

ルー・リード「ワイルド・サイドを歩け」を引用した「BREEZEが心の中を通り抜ける」曲なのだが、タイトルはメンバーのダニエル・ハイムの恋人、アリエル・レヒトシェイドが重病と闘っていた時に、私があなたのサマー・ガールになるわ、という思いでこの曲をつくったことに由来する。アルバム「ウーマン・イン・ミュージック Part Ⅲ」にはボーナス・トラックとして収録された。

43. Long Hot Summer – The Style Council (1983)

ワム!「クラブ・トロピカーナ」と同じ1983年の夏にリリースされ、全英シングル・チャートで最高3位を記録した。ザ・スタイル・カウンシルの最初のフルアルバム「カフェ・ブリュ」が発売されるよりも以前のシングルだが、この打ち込みソウル・ミュージック的な音楽性はポール・ウェラーがこの前の年までやっていたザ・ジャム時代からのファンには賛否両論だったような気もする。そして、イギリスのこの年の夏は、タイトルの通り長く暑かったらしい。

42. In The Sun – Blondie (1976)

ブロンディのデビュー・シングル「Xオフェンダー」のカップリング曲で、アルバム「妖女ブロンディ」にも収録された。ニュー・ウェイヴ的なサマー・ファン感覚に溢れまくっていて、夏を待てない国生さゆり的な気分(ハンパな恋など苦手 おもいきり決めてほしい)をさらに盛り上げること請け合いである。

41. Alright – Supergrass (1995)

スーパーグラスのデビュー・アルバム「アイ・シュド・ココ」からシングル・カットされ、全英シングル・チャートで最高2位を記録した。若さほとばしる疾走感とポップ感覚がたまらなく、パルプ「コモン・ピープル」、マッカルモント&バトラー「イエス」などと共に、ブリットポップがシーンとして盛り上がっていった頃の高揚感も真空パックしているようである。