The 500 Greatest Songs of All Time : 240-231

240. Bizarre Love Triangle – New Order (1986)

ニュー・オーダーのアルバム「ブラザーフッド」からシングルカットされ、全英シングル・チャートで最高56位を記録した。思ったほどヒットしていなかったようだ。

ポップでキャッチーなシンセポップなのだが、適度に実験的でもあるようなところがとても良い。個人的にはシーケンサーを購入した時に、練習がてらまずこの曲をコピーしようとしたことが思い出される。

オーストラリアのインディー・ポップ・バンド、フレンテ!が90年代にこの曲をキュートなアコースティック・バージョンでカバーしていて、東京の輸入盤ショップなどでもそこそこ話題になっていたような気がする。

239. (Your Love Keeps Lifting Me) Higher and Higher – Jackie Wilson (1967)

ジャッキー・ウィルソンが1967年8月にリリースしたシングルで、全米シングル・チャートで最高6位を記録した。全英シングル・チャートでは1969年に最高11位、1987年にもリバイバルして最高15位のヒットを記録している。

モータウンのバックバンドとして知られるファンク・ブラザーズのメンバーが参加しているだけあって、それらしいノリの良いサウンドになっている。また、後にアース・ウィンド&ファイアーのボーカリストとして有名になるモーリス・ホワイトがドラマーとしてレコーディングに参加していたようだ。

238. Geno – Dexy’s Midnight Runners (1980)

デキシーズ・ミッドナイト・ランナーズのデビュー・アルバム「若き魂の反逆児を求めて」から先行シングルとしてリリースされ、全英シングル・チャートで1位に輝いた。

ソウル・ミュージックにケルト的な感覚を取り入れた独特の音楽性が特徴で、この曲はソウル・シンガーのジーノ・ワシントンに対するリスペクトを込めた内容となっている。

237. Jump – Van Halen (1983)

ヴァン・ヘイレンのアルバム「1984」から先行シングルとしてリリースされ、全米シングル・チャートでバンドにとっては初の1位に輝いた。

ハード・ロックのリスナーからはすでにひじょうに人気があり、特にギタリストのエディ・ヴァン・ヘイレンはカリスマ視もされがちだったのだが、シンセサイザーを取り入れたこの曲によって、より幅広い層から指示を得るに至った。シンセサイザーのフレーズはダリル・ホール&ジョン・オーツ「キッス・オン・マイ・リスト」からヒントを得たことをエディ・ヴァン・ヘイレン自身が認めている。

スポーツ関連のBGMだったり応援歌的にも使われがちな一方、インディー・ロックバンドのアズテック・カメラがネオ・アコースティック的にカバーしたりもしていた。

ボーカリストのデイヴィッド・リー・ロスはこの曲のミュージック・ビデオにおいてもスター気取りが見られるのだが、この後にバンドを脱退することになる。

236. Tainted Love – Soft Cell (1981)

ソフト・セルのアルバム「ノン・ストップ・エロティック・キャバレー」からの先行シングルで、全英シングル・チャートで1位、全米シングル・チャートでは最高8位の上にかなりのロングヒットを記録した。

1981年のイギリスでは年間シングル・チャートの上位2曲がこの曲とヒューマン・リーグ「愛の残り火」で、シンセポップがすっかりメインストリーム化したことを印象づけた。

オリジナルはグロリア・ジョーンズが1964年にリリースしたバージョンで、ノーザン・ソウルのファンからはひじょうに人気があったようだ。グロリア・ジョーンズはT・レックスのマーク・ボランが交通事故で亡くなった時に、車を運転していた当時の恋人である。

235. Fluorescent Adolescent – Arctic Monkeys (2007)

アークティック・モンキーズのアルバム「フェイヴァリット・ワースト・ナイトメア」からシングルカットされ、全英シングル・チャートで最高5位を記録した。

中心メンバーのアレックス・ターナーと当時のガールフレンドが休暇で訪れたホテルで共作した曲で、ロマンスや欲望に対する熱量の移り変わりについて、とても良い感じに描写している。

アークティック・モンキーズというかアレックス・ターナーがインディー・ロックというジャンルの枠を超えた優れたソングライターでもあることを証明するにじゅうぶんな、素晴らしい楽曲だということができる。

234. My Sweet Lord – George Harrison (1970)

ジョージ・ハリスンのアルバム「オール・シングス・マスト・パス」からシングルカットされ、イギリスやアメリカのシングル・チャートで1位に輝いたほか、日本にオリコン週間シングルランキングでも最高4位のヒットを記録している。

「ハレ・クリシュナ」「ハレルヤ」などと歌われ、宗教的な信仰心のようなものがテーマにもなっているようなのだが、ポップソングとしての強度が圧倒的なところがとても良い。

エドウィン・ホーキンス・シンガーズによるゴスペルナンバー「オー・ハッピー・デイ」にインスパイアされているが、シフォンズ「ヒーズ・ソー・ファイン」に似ているのではないかといわれ、問題にもなったようだ。

233. Be-Bop-a-Lula – Gene Vincent & His Blue Caps (1956)

ジーン・ヴィンセントが1956年にリリースしたシングルで、全米シングル・チャートで最高7位、全英シングル・チャートでは最高16位を記録した。

エルヴィス・プレスリーに続くスターを発掘しようと期待をかけられ世に送り出された数多のシンガーのうちの1人だと思われるが、この曲は特にカッコよくてとても良い。

エルヴィス・プレスリーのレコードは1枚も無かった親のレコードライブラリーに、当時のロックンロールではなぜかこの曲のシングルだけはあり、幼少期から訳も分からず「ビーバッパルーラ♪」とレコードに合わせて歌っていたことが思い出される。

232. At Last – Etta James (1960)

1941年公開のミュージカル映画「銀嶺セレナーデ」のために書かれた曲らしく、グレン・ミラーのオーケストラがレコーディングしていたようなのだが、エタ・ジェームスによってカバーされたバージョンがスタンダード的によく知られている。

タイトルの「アット・ラスト」とは「ついに」とか「やっと」を意味することを、日本の英語教育では中学生あたりで教えることになっているような気がするが確証はない。それはそうとして、やっと遂に恋が成就して一人ぼっちの寂しい日々は終わるという喜びがドラマティックに歌われているのでとても良い。

231. Virginia Plain – Roxy Music (1972)

ロキシー・ミュージックのデビュー・シングルで、全英シングル・チャートで最高4位を記録した。

当時はまだブライアン・イーノが在籍していて、音楽的にも実験性がひじょうに感じられ、それでいてキャッチーでもあるところがとても良い。

リアルタイムで聴いていたならば間違いなく夢中になっていたであろうことが容易に想像できるわけだが、残念ながら後追いで聴かざるをえなかったとしても、このレトロフューチャー的でもある感覚は唯一無二であり、相当にカッコよく感じられる。