邦楽ポップ・ソングス・オール・タイム・ベスト500:320-311

320. 青空/aiko (2020)

aikoの39枚目のシングルで、オリコン週間シングルランキングでは最高6位を記録した。

このシングルがリリースされたタイミングで全楽曲のサブスクリプションサービス配信が解禁され、より多くのリスナーにアクセスされやすくなった。これによりaikoというシンガー・ソングライターがただ単にJ-POP界を代表する人気アーティストの1人というだけではなく、恋愛というポップ・ミュージックにおいて最も扱われがちなテーマの狂おしくどうしようもないところまでをもリアルでヴィヴィッドに描写することにきわめて卓越した才能を持つ表現者であることが知られやすくなったのは、とても良いことである。

この曲については当時のトレンドでもあるシティ・ポップ的な要素も取り入れたなかなかキャッチーで良い曲だな、などと油断して聴いていると、実は恋を失った時に生じる狂気スレスレの切なさや悲しみ、虚しさややるせなさなどを同時に描き切ったとんでもない楽曲だということに気づかされ茫然とする。「体を脱いでしまいたいほど苦しくて悲しい」思いを知っているすべての人々の心と身体に寄り添う超名曲であり、個人的な好みでいうならば10位以内には確実にランクインする。

319. Woman・S/PSY・S (1986)

PSY・Sのアルバム「PIC-NIC」からシングルカットされ、大きなヒットには至っていないが、明石家さんまが出演するトークバラエティ番組「さんまのまんま」のエンディングテーマに使われたことなどから、一般大衆的に聴かれる機会はわりとあったように思える。

フェアライトCMIという当時としては最先端の電子楽器を用いたポスト・テクノポップ的なサウンドとCHAKAの個性的なボーカルが特徴的である。作詞の佐伯健三はパール兄弟のサエキけんぞうと同じ人である。

318. ダイナマイト/SMAP (1997)

SMAPの24枚目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高3位を記録した。

言わずと知れたジャニーズ事務所所属の男性アイドルグループだが、90年代のある時期以降はサウンド的にもひじょうにカッコよく、その作品は音楽ファンからも高く評価されがちであった。

特にこの曲はセクシャルな内容の歌詞とも相まって、グルーヴィーでかなり良い。

317. Mela!/緑黄色社会 (2020)

緑黄色社会のアルバム「SINGALONG」から先行配信された楽曲で、オリコン週間シングルランキングでの最高位は31位だが、2億回を超えるストリーミング再生数を記録した超人気曲である。

メラメラと沸き起こる衝動をテーマに、キャッチーなメロディーとボーカル、シンセサイザーとブラスが絶妙にマッチしたサウンドがとても良い。

「こんな僕も君のヒーローになりたい」的な想いがおそらく世界を動かしているようにも思え、大人になってもそのような気分だけでほとんど生きていても大丈夫なのではないか、と錯覚させてくれるのでありがたい。

316. ラブ・ストーリーは突然に/小田和正 (1991)

小田和正が「Oh! Yeah!」との両A面でリリースしたシングルで、1991年のオリコンシングルランキングで年間1位に輝いた。大ヒットの要因としては、やはりテレビドラマ「東京ラブストーリー」の主題歌に起用されたことがひじょうに大きい。

いわゆるトレンディドラマに分類されるとは思うのだが、バブル全盛期のイケイケな感じはすでに後退していたのではないだろうか。まったく見ていないのでほとんど知らないのだが、この曲のイントロが少し流れるだけで、そういう気分にさせてしまうようなポップソングとしての強度にはすさまじいものがある。

315. ブルー・ライト・ヨコハマ/いしだあゆみ (1968)

いしだあゆみの26枚目のシングルで、オリコン週間シングルランキングでは9週連続1位の大ヒットを記録した。日本のポップ・ミュージック界を代表する作曲家、筒美京平にとっても初の1位獲得曲となる。

「街の灯りがとてもきれいね ヨコハマ ブルー・ライト・ヨコハマ」の歌いだしがあまりにも有名な、横浜のご当地ソングである。1991年にリリースされた種ともこのカバー・バージョンではピチカート・ファイヴの小西康陽が編曲、野宮真貴が詩の朗読で参加していた。

314. ダンシング・セブンティーン/オックス (1968)

グループ・サウンズのバンド、オックスの2枚目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高28位を記録した。作詞を橋本淳、作曲・編曲を筒美京平が手がけている。

恋する気持ちをテーマにしたポップでキャッチーな楽曲であり、「踊って下さい」と言葉遣いが丁寧なところもとても良い。メンバーやファンが演奏中に失神したりもすることで知られ、甘いボーカルが特徴の野口ヒデトは後に演歌歌手の真木ひでととなる。

313. KICK BACK/米津玄師 (2022)

米津玄師の13枚目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで1位に輝いた。テレビアニメ「チェンソーマン」のオープニングテーマ曲である。

モーニング娘。「そうだ! We’re ALIVE」から「努力 未来 A BEAUTIFUL STAR」というフレーズが引用され、それがメッセージとして機能しているところがとても良い。ポップ・ミュージックとしてひじょうに実験的でもあることをメインストリームのど真ん中でやりながら、大切なこともちゃんと歌っていくという実にすごいことをやり続けているアーティストの比較的新しめの代表曲である。

312. 女の子なんだもん/麻丘めぐみ(1973)

麻丘めぐみの3枚目のシングルで、オリコン週間シングルランキングでは最高7位を記録した。

1970年代を代表する清純派アイドルの1人で、より大ヒットした「わたしの彼は左きき」が最も有名だが、キュートネスの強度という点ではこの曲が上回っているのではないだろうかと、個人的には思うのである。

まずは、「女の子なんだもん」というタイトルが良い。「なんだもん」である。「おねだりは、一つ 愛してほしい」である。「おねだり」である。さらには「口にだすのは ルールー 恥ずかしいから ルールー」と謎の「ルールー」で、文字で読むと何だかよく分からないのだが、実際に聴いてみるとただただとても良い。作曲・編曲は筒美京平で、たまらなくグルーヴィーである。

311. アイドルばかり聴かないで/Negicco (2013)

新潟を拠点に活動するアイドルグループ、Negticcoに小西康陽が提供した楽曲で、オリコン週間シングルランキングでは最高23位を記録した。

「アイドルに曲を書くのが夢だった高校・大学時代の自分に聴かせてやりたいくらいの、”私の中の筒美京平”が暴発したような作品です」というわけで、いわゆる「渋谷系」的なアイドルポップスだともいえるのだが、「どんなに握手をしたって あのコとはデートとか出来ないのよ ざんねーん!!」と、握手券を付けてCDを売りまくるいわゆるAKB商法的なものを軽快にネタにしたりもしている。