邦楽ポップ・ソングス・オール・タイム・ベスト500:220-211

220. ロマンチスト/ザ・スターリン (1982)

ザ・スターリンのオリコン週間シングルランキングで最高3位を記録したヒットアルバム「STOP JAP」の収録曲で、シングルカットもされた。

「吐き気がする程 ロマンチックだぜ」というフレーズにはおそらく批評性があるのだが、個人的には自分自身のキャッチフレーズにしても良いのではないか、というぐらいに気に入っている。管理教育時代に人気があったパンクロックバンドで、フロントマン、遠藤ミチロウのカリスマ性や独特なポップ感覚にファンも多かった。

219. 透明少女/ナンバーガール (1999)

ナンバーガールのメジャーデビューシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高85位を記録した。

日本の正しいオルタナティヴ・ロック・バンドという感じで音楽性もとても良いのだが、この曲においては特に透明な少女の暴力的な魅力を音像化しているようで大変素晴らしい。「とにかく オレは気づいたら夏だった!!」というのはまさにその通りであり、その感じを忘れないまま死ねるなら最高だと思う。

218. 夏なんです/はっぴいえんど (1971)

はっぴいえんどのアルバム「風街ろまん」に収録された、夏をテーマにした楽曲である。

作詞は松本隆で、作曲、リードボーカルは細野晴臣、「田舎の白い畦道で埃っぽい風が立ち止る」という歌いだしの時点ですでに実際には見たことのないはずの風景がイメージとして立ち上がり、「ギンギンギラギラの夏なんです」「日傘ぐるぐる ぼくはたいくつ」と続いていく。

217. KissHug/aiko (2008)

aikoの24枚目のシングルで、オリコン週間シングルランキングでは最高2位を記録した。映画「花より男子F(ファイナル)」の挿入歌でもある。

ラヴソングのマエストロ的なイメージが強いaikoの楽曲の中でも、特に切なくてグッとくる恋の終わりと夏をテーマにしたバラードである。特に「あなたが好きだったの」と過去形かと思いきや「今も今も」、そして「夏髪が頬を切る」「泣き顔怒った顔 突然唇に触れた唇も」など、聴く者の心理状態によってはかなり心をかき乱される表現が続く。

216. 100 LOVE-LETTERS/原田知世 (1996)

原田知世のアルバム「clover」からの先行シングルとしてリリースされたが、オリコン週間シングルランキングでは圏外となっている。

カーディガンズなどで知られるトーレ・ヨハンソンをアレンジャーに起用したスウェディッシュ・ポップ的でもある楽曲で、SUZUKIアルトのCMソングでもあった。

しかし、最も印象的なのは軽快なポップ・サウンドに乗せて歌われる鈴木慶一の歌詞で、「長く暮らすより遠くに行って 手紙を書く 100枚も書く」など、カップルの距離感についてのユニークな見解が歌われている。

215. ウォンテッド(指名手配)/ピンク・レディー (1977)

ピンク・レディーの5枚目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで12週連続(!)1位、1977年の年間シングルランキングではピンク・レディー「渚のシンドバッド」、森田公一とトップギャラン「青春時代」に次ぐ3位を記録した。

「私の胸の鍵をこわして逃げて行ったあいつ」を指名手配しているという内容の楽曲だが、「ある時 謎の運転手」以下、ユニークな声色を披露したかと思えば、「好きよ 好きよ こんなに好きよ」からはとても切なげだったり、いくつものアイデアが盛り込まれたとても聴きごたえのあるポップソングである。

214. ベステン ダンク/高野寛 (1990)

高野寛の5枚目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高3位のヒットを記録した。トッド・ラングレンがプロデュースを手がけている。

タイトルはドイツ語で「どうもありがとう」の意味で、ブレイクのきっかけとなったヒット曲「虹の都へ」のタイトルも盛り込まれた歌詞は、自身が感じていた当時の葛藤をもあらわしている。

213. 小麦色のマーメイド/松田聖子 (1982)

松田聖子の10枚目のシングルで、オリコン週間シングルランキングや「ザ・ベストテン」などで1位に輝いた。作曲は呉田軽穂こと松任谷由実である。

シティ・ポップ的なテイストも感じられる楽曲で、「嫌い あなたが大好きなの 嘘よ 本気よ」と、揺れ動く恋する女性の心理状態をヴィヴィッドに描写した歌詞も印象的である。

212. innocent world/Mr.Children (1994)

Mr.Childrenの5枚目のシングルで、オリコン週間シングルランキングのみならず、1994年の年間シングルランキングでも1位に輝いた。第36回日本レコード大賞では大賞を受賞し、国民的人気バンドとして知られるきっかけとなった曲でもある。

イノセントな心を持ち続けることと大人になることとの間に生じる葛藤のようなものについて歌われた、エバーグリーンなポップソングである。

211. 卒業-GRADUATION-/菊池桃子 (1985)

菊池桃子の4枚目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで1位、「ザ・ベストテン」では最高2位を記録した。

個人的には高校を卒業する時期のヒット曲でもあり、イントロが流れただけで当時の感覚が甦ってくる。作詞の秋元康はおニャン子クラブで大きく当てる少し前だが、歌詞に「星の王子さま」の作者、サンデグジュペリが出てくるあたりにらしさが感じられ、「あれほど誰かを愛せやしないと」というベタなフレーズにも感傷的な気分になっていた。

この年には斉藤由貴や尾崎豊も同じく「卒業」タイトルの別の曲をヒットさせていた。