the 50 best albums of 2023: 40-31

40. This Is Why/Paramore

パラモアの約6年ぶり通算6作目のアルバムで、全米アルバムチャートで最高2位、全英アルバムチャートでは1位の大ヒットを記録した。

00年代のオルタナティブロック、特に初期のブロック・パーティーなどから影響を受けたサウンドは、バンド本来のポップ感覚にニューウェイブ的なエッジを加味し、ポストコロナ時代におけるロックアルバムの1つの可能性を提示しているようにも感じられる。

39. 夢中夢 -Dream In Dream-/Cornelius

コーネリアスの6年ぶり通算7作目のオリジナルアルバムとしてリリースされた。作曲・編曲をして歌っているだけではなく、多くの収録曲で自ら歌詞も書いているのが特徴である。タイトルがあらわしているように夢の中の夢という幻想的な世界に迷い込んだ気分や、諸行無常的な諦念のようなものも感じられたりはする。

「火花」ではインディーロック的なギターが聴けたり、「蜃気楼 -Mirage」で1997年リリースの「STAR FRUIT SURF RIDER」を思い出させるところがあったりというところに特に良さを感じがちなリスナーも少なくはないような気がする。

38. I’ve IVE/IVE

韓国の6人組ポップグループ、IVE(アイヴ)のデビューアルバムで、韓国のサークルチャートで1位に輝いた。韓国の有名な音楽賞である「メロンミュージックアワード2023」では、アルバム・オブ・ジ・イヤーを獲得している。日本ではミニアルバム「WAVE」がデビューアルバムとなり、これもオリコン週間アルバムランキングで1位になっている。

収録曲それぞれのクオリティーが高い上にバラエティーにもとんだ、ポップアルバムとしてひじょうに満足の高い作品になっている。

37. Why Does the Earth Give Us People to Love?/Kara Jackson

アメリカはイリノイ州出身のシンガーソングライター、カーラ・ジャクソンのデビューアルバムである。コロナ禍の頃に幼少期のベッドルームでつくった楽曲たちをレコーディングし直したものだという。

音楽的にはフォークやカントリーをルーツにしているようで、サウンドはアコースティックでオーガニックでもあるのだが、何といってもややハスキーでグッとくるボーカルがとても良く、デビューアルバムにして名盤の味わいがある。

36. 12 hugs (like butterflies)/羊文学

羊文学の4作目のアルバムで、テレビアニメ「呪術廻戦 渋谷事変」のエンディングテーマ「more than words」も収録している。

インディーロック的な音楽性に定評があるバンドだが、楽曲によってはよりポップに開かれた印象もあり、アルバム全体を通して聴くと絶妙に良いバランスになっているような気もする。

35. Spunky!/Grrrl Gang

インドネシア出身の3人組オルタナティブロックバンド、Grrrl Gangのデビューアルバムである。

バンド名からも想像がつくようにライオットガールシーンからの影響を受けていて、作品やアティテュードにもフェミニズムパンク的なスピリットが感じられてとても良い。

楽曲は全体的にポップでキャッチーであり、90年代のインディーロックファンには刺さる可能性がひじょうに高いような気もする。

34. replica/Vaundy

Vaundyの2作目のアルバムで、オリコン週間シングルランキングでは最高3位を記録した。

2枚組35曲入りというすさまじいボリュームなのだが、Disc2には約3年半前にリリースされたデビューアルバム「strobo」以降に発表された全シングル曲を収録している。

つまり、このアルバムだけで直近約3年半ぐらいのVaundyの音楽の全貌のようなものを堪能することができるわけだが、さらには2020年リリースにもかかわらず2023年に聴かれまくった「怪獣の花唄」の新録音バージョンもスタッフからの要望とはいえ収録されている。

33. Messy/Olivia Dean

イギリスのシンガーソングライター、オリヴィア・ディーンのデビューアルバムで、全英アルバムチャートで最高4位を記録し、マーキュリー賞にもノミネートされた。

ネオソウルからの影響をベースとして、ソフィスティケイトされていながらも温かみが感じられるようなところがとても良い。楽曲もわりとバリエーションにとんでいて、アルバムまるごとじゅうぶんに楽しむことができる。

32. Barbie The Album/Various Artists

大ヒット映画「バービー」のサウンドトラックアルバムで、全米アルバムチャートで最高2位を記録した。

マーク・ロンソンがプロデュースを手がけ、ビリー・アイリッシュ、デュア・リパ、チャーリー・XCX、ニッキー・ミナージュ、リゾなどをはじめ、人気アーティストたちの新曲が多数収録され、しかもそれぞれの楽曲のクオリティーが高い上にバラエティーにもとんでいてとても良い。

31. Heaven knows/PinkPantheress

ピンクパンサレスのデビューアルバムで、全英アルバムチャートでは最高28位を記録した。

ドラムンベースやUKガラージを取り入れたりY2K的なトレンド感が特徴ではあるのだが、それ以外にも音楽的にいろいろなことを試みてもいてかなり楽しめる。