The 20 essential Ariana Grande songs(アリアナ・グランデの20曲): Part.2

‘thank u, next’ (2018)

アリアナ・グランデのシングル「サンキュー、ネクスト」は2018年11月3日に一切の予告もなく突然にリリースされた。アルバム「スウィートナー」が発売されてからまだ3ヶ月も経っていなかった。

その間に起こった出来事といえば、アリアナ・グランデの元恋人で初のヒット曲「ザ・ウェイ」で共演もしていたラッパー、マック・ミラーのドラッグ過剰摂取による急死である。

アリアナ・グランデの過去のいくつかの恋愛について元恋人の実名も挙げて歌ったいわゆる失恋ソングなのだが、彼らに感謝の気持ちを伝えながら次に進もうというポジティブな内容が広く支持を得た。

全米シングルチャートで初登場1位に輝いたのをはじめ、20ヶ国以上のシングルチャートで1位になった大ヒット曲である。

ミュージックビデオは「ミーン・ガールズ」「チアーズ!」といった2000年代にヒットしたラブコメディ映画のパロディを含み、リリースされた頃の季節柄もあってかサンタクロースのコスプレもあってとても良い。

‘7 rings’ (2019)

アリアナ・グランデの5作目のアルバム「サンキュー、ネクスト」から2曲目のシングルとしてリリースされ、全米シングルチャートで初登場から通算8週1位の大ヒットを記録した。

ミュージカル「サウンド・オブ・ミュージック」の人気曲「私のお気に入り」(原題:My Favourite Things)が引用されていることも話題となった。

アリアナ・グランデはこの楽曲はフレンドシップアンセムであると説明しているのだが、婚約者であったピート・デヴィッドソンとの破局後、女性の友人たちとの友情を深めていくようになり、高価なものを買いまくったりする小旅行に出かけたりもしたという。そして、その時の体験がこの楽曲のベースになっていて、アリアナ・グランデの友人たちはミュージックビデオにも出演している。

音楽的にはトラップ的でもあるビートが特徴的であり、アリアナ・グランデの楽曲の中でも特にヒップホップ寄りなのではないかといわれたりもしている。

‘ break up with your girlfriend, i’m bored’ (2019)

「サンキュー、ネクスト」から3曲目のシングルとしてリリースされ、全米シングルチャートでは最高2位に初登場し、それが最高位にもなったのだが、同じ週の1位がやはりアリアナ・グランデの「7リングス」、3位が「サンキュー、ネクスト」であった。

つまり全米シングルチャートの上位3曲をアリアナ・グランデが独占したわけだが、これは1960年代のビートルズ以来、史上2組目の快挙であった。

当初、アルバムには「リメンバー」という曲が収録される予定だったのだが、あまりも個人的な内容であることからこの曲と差し替えることになったようだ。

タイトルの通り好きになった男性に対して、恋人と別れるように要請するような内容になっている。音楽的にはヒップホップR&B的であり、イン・シンク「イット・メイクス・ミー・イル」が引用されているところもある。

‘imagine’ (2019)

アルバム「サンキュー、ネクスト」の1曲目に収録された楽曲で、シングルカットはされていないのだが全米シングルチャートに最高21位を記録した。

現在はすでに失われてしまい、再び取り戻すことが困難になってしまったロマンス、特にアリアナ・グランデのかつての交際相手で、若くして亡くなったラッパー、マック・ミラーとの関係について歌われていると解釈されがちである。

そして、もしもその理想とする状況が現実としてそこにはなかったとしても、想像力は大きな助けになる、というようなメッセージも含まれているように思える。

厳密な発表順でいうならば「サンキュー、ネクスト」の次に「9リングス」よりもこの曲が先なのだが、ここではあえてこの順番にした。

‘ghostin’ (2019)

アルバム「サンキュー、ネクスト」の8曲目に収録された楽曲でシングルカットはされていないのだが、全米シングルチャートで最高25位を記録した。

アリアナ・グランデは恋人であったラッパーのマック・ミラーと別れてからコメディアンのピート・デヴィッドソンと交際し、婚約するのだが数ヶ月後には破局している。そして、マック・ミラーはその間にドラッグの過剰摂取で亡くなった。

アリアナ・グランデはこの曲の内容があまりにも個人的だからという理由でアルバムへの収録を最後まで拒んでいたのだが、結局は収録されることになったのだという。そして、評価はひじょうに高い。

‘Rain on Me (with Lady Gaga)’ (2020)

レディー・ガガのアルバム「クロマティカ」からシングルカットされたアリアナ・グランデとのデュエット曲で、全米シングルチャートで初登場1位に輝いた。

アリアナ・グランデと同様に心に痛みを抱えていたレディー・ガガはこの楽曲のレコーディングを通してとても深いレベルでの友情をも感じていたということで、それがこのアップリフティングな楽曲にさらなる力強さをあたえているようにも思える。

ディスコクラシック的なポップ感覚もありながらフレンチテクノなどからの影響も感じられ、モダンでありながらクラシックというようなとても良い感じのダンスポップに仕上がっているのだが、それにも増してボーカルパフォーマンスがとにかくとても良い。

「第63回グラミー賞」においては、最優秀ポップ・デュオ/グループ・パフォーマンス賞を女性デュオとしては史上初めて受賞してもいる。

‘positions’ (2020)

アリアナ・グランデの6作目のアルバム「ポジションズ」からの先行シングルで、全米シングルチャートで初登場1位に輝いた。

トラップ的なビートが特徴のヒップホップR&Bという、アリアナ・グランデの楽曲としては典型的な音楽性だとはいえるのだが、よりメロウでリラックスした感じにはなっている。

とはいえ、キッチンでもベッドでも要望に応える、というようなセクシーな内容がやはり歌われている。

アリアナ・グランデがアメリカ大統領に扮するミュージックビデオも話題になった。

‘34+35’ (2020)

アルバム「ポジションズ」から2曲目のシングルとしてカットされ、全米シングルチャートで最高2位を記録した。

タイトルの「34+35」という数式を解くと答は69となり、やはり性的なことについて歌われている。特にこの曲においてはほとんどそれしか歌われていないといっても過言ではない。

アダルトでセクシーでありながら、可憐でエレガントなところもしっかり感じられるところがとにかくすごいということができる。

‘yes, and?’ (2024)

アリアナ・グランデの7作目のアルバム「エターナル・サンシャイン」から先行シングルとしてリリースされ、全米シングルチャートで初登場1位 に輝いた。

アルバムのリリースは約3年5ヶ月ぶりとアリアナ・グランデにとってはデビュー以来最もブランクが空いている上に目まぐるしいポップミュージック界のトレンドの移り変わりではあるのだが、人気の健在ぶりをしっかりと知らしめることになった。

音楽的にはトレンドを反映してもいるフューチャーノスタルジックなダンスポップなのだが、不倫疑惑を報じられたりもしたことに対するアンサーともいえる、人々はそれぞれに問題を抱えているはずなのにどうして私が誰と寝ているかがそんなに気になるの?というような歌詞もパンチが効いていてとても良い。