邦楽ロック&ポップス名曲1001: 2001, Part.2

波乗りジョニー/桑田佳祐(2001)

桑田佳祐のソロアーティストとしては6作目のシングルでオリコン週間シングルランキングで通算2週1位、年間シングルランキングで4位を記録した。

コカ・コーラのCMソングで、ジャケットアートワークは山下達郎「FOR YOU」やFM情報誌「FM STATION」の表紙などでおなじみの鈴木英人が描いた桑田佳祐のイラストとなっている。

「波乗りジョニー」は桑田佳祐が大学生だった頃にすでに思いついていたフレーズで、いつかこのタイトルで曲をつくりたいと思い続けていたようである。

とにかく最高の夏ソングなわけだが、早くも気分が盛り上がるイントロのピアノは妻である原由子によるものである。

ミュージックビデオでは桑田佳祐のサーフィンシーンなども見られてとても良い。

ザ⭐︎ピ〜ス!/モーニング娘。(2001)

モーニング娘。の12作目のシングルで、オリコン週間シングルランキングでは「LOVEマシーン」「ハッピーサマーウェディング」「I WISH」に続き3曲目の1位を記録した。

初代リーダーであった中澤裕子が卒業してから最初のシングルで、4期メンバーの石川梨華が初めてセンターに起用されたり「青春の1ページって地球の歴史からするとどれくらいなんだろう ああ いとしいあの人 お昼ごはんなに食べたんだろう?」というセリフパートを任されたりしている。

タイトルが「ザ☆ピ~ス」であるように平和的な気分がテーマになっているのだが、なんといってもこの曲を名曲たらしめている要因の1つとして「選挙の日ってウチじゃなぜか 投票行って外食するんだ」という歌詞は大きいような気がする。そして、このシングルがリリースされた週の日曜日には実際に参議院議員通常選挙が行われてもいた。そして、これが2コーラス目の「多数決じゃ決めらんないのは(yeah)恋愛のエトセトラ」に繋がっているような気がするところもとても良い。

エンディングの曲が終わったと思いきや実はまだ終わっていなかった感じや、メンバーが水兵姿で歌い踊ったりするミュージックビデオも含め、とても楽しい楽曲である。

secret base〜君がくれたもの〜/ZONE(2001)

ZONEの4作目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高2位を記録した。

TBS系で平日の13時30分から放送されていたドラマ「キッズ・ウォー3~ざけんなよ~」の主題歌に起用され、大ヒットした。通常は学生などにはなかなか視聴することが難しい時間帯の番組ではあるのだが、夏休み中ということもあり若者にもわりと見られていたような気もする。

夏の終わりをテーマにした懐かしくも切ない気分を感じさせる楽曲で、2011年にはアニメ「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない」の登場人物を演じた声優たちによってカバーされたバージョンもオリコン週間シングルランキングで最高10位を記録した。

また、一部のお笑いファンにはMBSテレビ「オールザッツ漫才2017」でこの曲のイントロが流れる度に当時はまだ吉本興業に所属していたなかやまきんに君がしつこく何度も登場してきてステージ上でギャグを披露するシーンが名場面の1つとして記憶されているような気もする。

小さな恋のうた/MONGOL800(2001)

MONGOL800のアルバム「MESSAGE」の3曲目に収録された楽曲でシングルカットはされていないのだが、代表曲や名曲として広く知られる。

沖縄出身の3人組パンクロックバンドで、アルバムはインディーレーベルからのリリースにもかかわらずオリコン週間アルバムランキングで1位、2002年の年間アルバムランキングでは宇多田ヒカル「DEEP RIVER」、浜崎あゆみ「I am…」に次ぐ3位という大ヒットを記録した。

「ほら あなたにとって 大事な人ほど すぐそいばにいるの」というようなストレートなメッセージが広く受け、カラオケチャートでも14週連続1位を記録するなどよく歌われていた。

DROP/Cornelius(2001)

Corneliusのアルバム「POINT」からの先行シングルで、オリコン週間シングルランキングで最高12位を記録した。

歌詞は「投げる」「跳ねる」といった短い単語のみであり、ほとんど音響派的なインストゥルメンタル曲といっても良いような楽曲になっている。

水の音のループとチョッパー的なベースなどがとても印象的だが、水の音は当初、本物を録音しようと思ったのだが、マイクが壊れるなどしてうまくいかなかったため、サンプリングCDの音源を使用したようである。

生活/Syrop 16g(2001)

Syrop 16gのインディーレーベルからリリースされたアルバム「COPY」に収録された楽曲である。

心地よく絶望的でありながら絶妙なポップ感覚も感じられる音楽性がとても良いのだが、それ以上に自問自答的でもある歌詞がとても印象的である。

「君に言いたい事はあるか そしてその根拠はあるか」「涙流してりゃ悲しいか 心なんて一生不安さ」などと来て、「生活はできそう? それはまだ」「計画を立てよう それも無駄」である。最後には目覚まし時計が鳴っている。

サヨナラCOLOR/SUPER BUTTER DOG(2001)

SUPER BUTTER DOGの8作目のシングルでオリコン週間シングルランキングに当時はランクインしなかったが、後に「明日へゆけ」とのカップリングで再リリースされた際に最高23位を記録した。

「サヨナラからはじまることが たくさんあるんだよ」と歌われる深く切ないバラードであり、この曲に感銘を受けた竹中直人が後に同じタイトルの映画を監督し、この曲を主題歌に起用した。

それ以降も転職情報誌「DODA」のテレビCMで使用されたり、2023年にはコミック原作のテレビドラマ「パリピ孔明」で月見英子を演じた上白石萌歌によってカバーされたりしている。

STARS/中島美嘉(2001)

中島美嘉のデビューシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高3位を記録した。

女優としてのデビュー作であるテレビドラマ「傷だらけのラブソング」の主題歌であり、作詞が秋元康、作曲が川口大輔、編曲はMISIA「Everything」、キリンジ「エイリアンズ」などでも知られる旭川が生んだ天才、冨田恵一である。

まさに当時シンデレラガール的な存在で業界的なバックアップもかなりあったとは思われるのだが、それにしてもデビューシングルにしてこの6分にもおよぶバラードであるこの曲を見事に歌い上げた素質や実力こそがやはりすごい。

YUMEGIWA LAST BOY/SUPERCAR(2001)

SUPERCARの11作目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高43位を記録した。

青森出身のオルタナティヴロックバンドとしてデビュー当時から大きな注目をあつめ、洋楽ロックのリスナーなどからもわりと高く評価されていたような気がする。

3作目のアルバム「Futurama」以降はエレクトロニカの要素を取り入れ、この楽曲では電気グルーヴのまりんでもあった砂原良徳をプロデューサーとして起用している。窪塚洋介が主演した映画「ピンポン」の主題歌にも起用された。

バンドは2005年に解散するのだが、ギタリストのいしわたり淳治はチャットモンチーや9mm Parabellum Bulletなどのプロデューサーとして活躍することになる。

traveling/宇多田ヒカル(2001)

宇多田ヒカルの9作目のシングルでオリコン週間シングルランキングで2週連続1位、2002年の年間シングルランキングでは浜崎あゆみ「M」に次ぐ2位を記録した。

エレクトロニカ的な要素を取り入れたサウンドが印象的なのと同時に、CGを効果的に用いたミュージックビデオにおけるポップアイコン的なヴィジュアルイメージもかなり印象的で、ものまねのモチーフにもされがちであった。

YouTubeなどが普及する以前にはじゅうぶんに商品として成り立っていたシングルDVDもよく売れ、オリコンで年間1位に輝いている。