邦楽ロック&ポップス名曲1001: 2001, Part.1

come again/m-flo(2001)

m-floのメジャーでは9作目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高4位を記録した。

UKガラージの一形態である2ステップを取り入れた楽曲でありながら、J-POPとしてもメジャーに売れたという点でかなりエポックメイキングであった。

「何度も、着信のチェックしてみても you won’t appear」というフレーズが当時の気分をヴィヴィッドに思い起こさせてくれるのだが、現在でいうところのLINEが既読にならない的な感情であろう。

「金曜日のスカラに君を忘れに、踊り明かすよ、今夜」の「スカラ」はかつて渋谷に実在したLA・SCALAというディスコのことであろう。公園通りの現在はディズニーストアなどが入ったビルにあり、サーフボード型のキーホルダーが人気であった。

ばらの花/くるり(2001)

くるりの7作目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高20位を記録した。

アルバム「TEAM ROCK」からの先行シングルで、TBS系のドラマ「オレンジデイズ」の挿入歌としても使われた。

文学的な歌詞と素晴らしいメロディーがとても良い代表曲の1つで、「雨降りの朝」「飲み干したジンジャーエール」の印象がとても強いのだが、「安心な僕らは旅に出ようぜ 思い切り泣いたり笑ったりしようぜ」というメッセージもかなり素敵である。

SUPERCARのフルカワミキがコーラスで参加している。

Can You Keep A Secret?/宇多田ヒカル(2001)

宇多田ヒカルの7作目のシングルでオリコン週間シングルランキングで2週連続1位、年間シングルランキングでも1位を記録した。

木村拓哉が主演したフジテレビ系月9ドラマ「HERO」の第1期主題歌で、当時少しイメチェンしたような感じもあった宇多田ヒカルの新たな魅力を提示しているようにも感じられた楽曲である。

ヒューマノイドロボットのPINOが登場するミュージックビデオもなかなか印象的であった。

PIECES OF A DREAM/CHEMISTRY(2001)

CHEMISTRYのデビューシングルでオリコン週間シングルランキングで1位、年間シングルランキングでは3位を記録した。

テレビ東京のバラエティー番組「ASAYAN」において開催された「ASAYAN超男子。オーディション」に合格したことがデビューのきっかけであり、それぞれ別々に応募していた川畑要と堂珍嘉邦のボーカルが合わさることによって音楽的な化学反応が起こるようであることからCHEMISTRYと名づけられた。

過去に手放した夢についてのほろ苦い想いを歌ったとても良い楽曲で、シンプルなサウンドがボーカルの素晴らしさを際だたせているようにも感じられる。

天体観測/BUMP OF CHICKEN(2001)

BUMP OF CHICKENの3作目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高3位を記録した。

千葉県佐倉市出身の幼馴染からなるロックバンドでライブシーンなどではまあまあ知られていたとは思うのだが一般大衆的にはまだそれほどではない頃に、この曲がヒットしてブレイクを果たした。

当時の日本のヒットチャートではR&Bやヒップホップなどの影響を受けたタイプの音楽がメインストリームになっているようなところもあり、それだけにこのロックチューンが流行歌と呼べるほどヒットした衝撃はわりと大きかったような気がする。

「見えないモノを見ようとして 望遠鏡を覗き込んだ」というフレーズが特に印象的な歌詞は若者たちにとってはリアルで、大人にはおそらく記憶を呼び覚ますものだったかもしれない。

当時、中高生だった世代の人たちにとってはカラオケの定番曲としてもかなり盛り上がるらしい。

この曲をモチーフにしたテレビドラマ「天体観測」が翌年には制作されたり、2022年には再録音バージョンが発表されるなどもしたのだが、お笑いコンビの東京ホテイソンがYouTubeチャンネルで現実にこの曲の歌詞の通りのことが起こったら相方は気づくのかというドッキリ企画をやっていてとても良かった。

ultra soul/B’z(2001)

B’zの31作目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで2週連続1位を記録した。

国民的人気バンドで1990年の「太陽のKomachi Angel」以降、33年以上にわたりリリースされたすべてのシングルがオリコン週間シングルランキングで1位を記録しているというとてつもないことになっているのだ、ポップミュージック批評的にはそれほど正当に評価されていないような印象がある。

とはいえ、日本の大衆音楽史においてこれだけの長きにわたって大きく支持され続けているアーティストというのもそれほど多くはないような気もする。

特にこの楽曲などは日本国民で知らない人がいるのだろうかというぐらいにポピュラーであり、ロック的でありながらリズムは打ち込みだったり、「ウルトラソウル(ハイ!)」のくだりにおける超キャッチーさは尋常ではない。

「世界水泳福岡2001」のテーマソングだったこともあり、水泳やその他のスポーツと相性が良かったり、吉本新喜劇では辻本茂雄座長公演で効果的に使用されたりもしていた。

涙そうそう/夏川りみ(2001)

夏川りみの改名後3作目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高8位を記録した。

森山良子がBEGINとライブで共演したことがきっかけで沖縄の曲を依頼するのだが、デモテープにタイトルとして記されていた「涙そうそう」が沖縄の言葉で涙がポロポロとこぼれ落ちる様をあらわしていると知り、大好きだった亡き兄を想う歌詞をつけた。

この曲は森山良子の楽曲としてリリースされるのだが、BEGINもセルフカバーした。その演奏を沖縄サミットのテレビ中継で見ていた夏川りみは、この曲を歌いたいと強く思ったのであった。

星里美の名前で演歌歌手としてデビューしたのだがヒットに恵まれず、一度は沖縄に帰っていたのだが、再び上京して夏川りみとして活動を開始した少し後であった。

まずは沖縄でヒットした後、全国的にもロングセラーとなり、別れをテーマにした名曲として知られるようになっていった。

Lifetime Respect/三木道三(2001)

三木道三の21作目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで1位、年間シングルランキングでは9位を記録した。

レゲエソングとしてはおそらく日本で初めてのNO.1ヒットではないだろうか。なんといっても、「一生一緒にいてくれや」というようなストレートなラヴメッセージが広く共感を呼んだものと思われる。

「愛のあるSEX」というフレーズが歌詞にあるのだが、テレビの放送ではカットされたりもしかするとミュージックビデオのYouTubeの視聴に年齢制限が設けられているのもそれが原因かもしれないのだが、使われ方に不健全なところはまったくなく、むしろ教育として聴かせるべきなのではないかと感じさせるほどの真っ当さである。

2007年にはRSPによる女性の立場からのアンサーソング「Lifetime Respect-女編-」がリリースされ、オリコン週間シングルランキングで最高4位を記録した。

One Night Carnival/氣志團(2001)

氣志團のデビューシングルでインディーズ盤がオリコン週間シングルランキングで最高20位、翌年にリリースされたメジャー盤が最高7位をリリースした。

80年代あたりのヤンキー文化をデフォルメしたかのようなコンセプトやヴィジュアル面などが大いに受けて人気者になったのだが、ポップソングとしてのクオリティーもひじょうに高い。

タイトルは80年代に発売された暴走族の写真集に由来し、歌詞には尾崎豊の楽曲からインスパイアされたと思しきフレーズなどもある。「俺んとここないか?」は横浜銀蝿一家であった杉本哲太&LONELY RIDERS「On the Machine(翔と桃子のロックンロール)」からの引用であり、日本の実はメインストリームかもしれないヤンキー文化をサブカルチャー的に再構築したところに大衆的なニーズがあったという好例である。

アゲハ蝶/ポルノグラフィティ(2001)

ポルノグラフィティの6作目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで1位、年間シングルランキングでは10位を記録した。

広島出身の2人組ロックバンドで、「僕らの生まれてくるずっとずっと前にはもう アポロ11号は月に行ったっていうのに」でおなじみのデビューシングル「アポロ」からすでにヒットしていたのだが、この曲では「サウダージ」「サボテン」に続き3曲連続となるオリコン週間シングルランキング1位を記録していた。

ラテン音楽的な要素も感じられるなかなかチャレンジングな楽曲だともいうことができるのだが、ボーカルや歌詞などのキャッチーさやマイルドに切なげなムードによって、大衆的な流行歌としてもすんなりと受け入れられていた。