邦楽ロック&ポップス名曲1001: 2000, Part.2

らいおんハート/SMAP(2000)

SMAPの32作目のシングルでオリコン週間シングルランキングで通算2週1位、年間シングルランキングで6位を記録した。

草彅剛主演のテレビドラマ「フードファイト」の主題歌で、作詞はドラマの企画者である野島伸司、作曲・編曲は「SHAKE」(編曲はCHOKKAKU)「ダイナマイト」なども手がけた小森田実である。

「君を守るため そのために生まれてきたんだ」というフレーズが印象的なラヴソングで、「見せかけの恋に 嘘かさねた過去」があったりもしたが、ついに真実の愛にめぐり合えたというような内容になっている。

木村拓哉のソロパートからはじまるのだが、ちょうど工藤静香との結婚が発表されたタイミングとも重なり、プロポーズソング的な捉え方もされたりはしていた。

「夜空ノムコウ」「世界に一つだけの花」と共に、SMAPが記録した3曲のミリオンセラーのうちの1つである。

エイリアンズ/キリンジ(2000)

キリンジの6作目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高42位を記録した。

堀込高樹と堀込泰行の兄弟によって結成され、この頃はまったくトレンドではなかったシティポップ的でもある音楽性が一部で高く評価されていたような気がする。

「キミが好きだよ エイリアン」と歌われていることからおそらくラヴソングなのではないかと思われるのだが、「まるで僕らはエイリアンズ」とも歌われているため、自分自身もエイリアンということになる。

疎外感や孤独といった生きづらさをマイルドに抱えている同士が恋をしているという感じなのかもしれないが、解釈は様々でありそれがこの曲の魅力の1つになっているのかもしれない。

当初からいきなり有名だったわけではないのだが、いつの間にか誰もが認める名曲のような扱いになっていたような気がする。特に2017年に女優のんが出演したLINEモバイルのCMソングとして、お茶の間に流れたのは大きかったかもしれない。その後、作詞・作曲者の堀込泰行がプロデュースしたのんによるカバーバージョンも配信でリリースされている。

ワンダーフォーゲル/くるり(2000)

くるりの6作目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高20位を記録した。

元々はギターなどを主体としたロックチューンだったのだが、新しい機材を導入したことから打ち込みにチャレンジし、このピコピコ音も印象的でエポックメイキングな楽曲が完成したようだ。

タイトルの「ワンダーフォーゲル」は19世紀後半のドイツで近代化に対して自然にもっと親しもうということではじまった野外活動で、日本ではそれが転じて登山などを行うワンダーフォーゲル部が大学でつくられるなどした。

この曲においては人生を歩んでいくことが登山活動などにたとえられているかもしれないのだが、ドイツ語の「ワンダーフォーゲル」にはそもそも渡り鳥の意味もあるらしく、そうなると「僕が息絶えた時 渡り鳥のように何くわぬ顔で飛び続けるのかい」という歌詞にもつながっていく。

テクノポップ的でもある快活なサウンドでありながら、「ハローもグッバイもサンキューも言わなくなって こんなにもすれ違ってそれぞれ歩いてゆく」という大人になっていくことにともなう現実的なしんどさのようなものが歌われているようでもある。

ミュージックビデオは別に制作されていたようなのだが、メンバーがそれを気に入らず、それでも予算はもう出なかったのでハンディカムで撮影したというローファイな映像もとても良い。

Everything/MISIA(2000)

MISIAの6作目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで1位を記録した。

フジテレビ系の月9ドラマ「やまとなでしこ」の主題歌となった、ストリングスも美しい王道的なラヴバラードである。

ドラマのクライマックスがクリスマスシーズンで、この曲も効果的に使われていたため、歌詞では特に季節に言及されていないものの、クリスマスソング的な印象がなんとなくあったりもする。

MISIAの曲にしては高音が抑え気味であるため、カラオケでもわりと歌いやすいという。

ゆらゆら帝国で考え中/ゆらゆら帝国(2000)

ゆらゆら帝国の3作目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高42位を記録した。

フジテレビ系のバラエティー番組「はねるのトびら」のオープニングテーマ曲として使用されていたようである。

1989年から活動を続けていて、この時点でかなりのキャリアを重ねてはいた。いわゆるJ-POPのメインストリームとはかなりかけ離れたサイケデリックロック的な音楽性なのだが、特にこの楽曲などには絶妙なポップ感覚もあって、「だいたい俺は今3歳なんだけど 2歳のときにはもう分かってたね」「クレイジーワールド マンガの世界で クレイジーワールド これからやっていくわけなんだけど」というような歌詞も含めてとても良い。

恋愛レボリューション21/モーニング娘。(2000)

モーニング娘。の11作目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高2位、2001年の年間シングルランキングでは5位を記録した。

この時点ではすでに国民的アイドルグループとしての座を確固たるものとしていて、いろいろな派生ユニットも含めヒット曲を連発し、ファミリー麻雀的なテーブルゲームであるドンジャラに至るまで様々なキャラクターグッズも販売されていた。子供から大人まで大人気ということでは、体感的にピん区・レディー以来なのではないかというレベルの勢いであった。

当時のメンバーは中澤裕子、飯田圭織、安倍なつみ、保田圭、矢口真里、後藤真希、石川梨華、吉澤ひとみ、辻希美、加護亜依の10名で、この楽曲では安倍なつみ、後藤真希がダブルセンターに抜擢されている。

「LOVEマシーン」などと同様にダンス☆マンが編曲を手がけたディスコソング的な楽曲であり、令和時代においてもグループのライブでは定番曲の1つとなっている。特に「超超超 いい感じ 超超超超 いい感じ」のくだりはその振り付けも含め、モーニング娘。のいわゆる黄金期を象徴するパートの1つとして知られている。