邦楽ロック&ポップス名曲1001: 2000, Part.1

TSUNAMI/サザンオールスターズ(2000)

サザンオールスターズの44作目のシングルでオリコン週間シングルランキングで通算5週1位、年間シングルランキングでも1位の大ヒットを記録した。「第42回日本レコード大賞」では大賞を受賞している。

TBS系のバラエティー番組「ウンナンのホントコ!」で放送されていた恋愛リアリティー企画「未来日記III」のテーマソングに使われ大ヒットした。

番組のメインの視聴者層であった若者たちから大人のリスナーに至るまで、すでに国民的人気バンドだったとはいえ、かつてないレベルでの幅広い支持を得ることになった。

「見つめ合うと素直にお喋り出来ない」というフレーズも印象的な失恋の切なさを津波にたとえたバラードであり、歌詞はビーチ・ボーイズ「駄目な僕」が参照されてもいるということである。

歴代シングル売上ランキングでも子門真人「およげ!たいやきくん」、宮史郎とぴんからトリオ「女のみち」、SMAP「世界に一つだけの花」などと共に常に上位にランクインしている。

楽園/平井堅(2000)

平井堅の8作目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高7位を記録した。

ソニーのオーディションで入選したことがきっかけでデビューが決まり、最初のシングル「Precious Junk」はテレビドラマ「王様のレストラン」のタイアップもありオリコン週間シングルランキングで最高50位を記録するが、それ以降にリリースした6枚のシングルはすべて圏外であった。つまり、それほど売れていなかった。

しかし、札幌の玉光堂PALS21というCDショップにはずっとコーナーがあった。この店の邦楽マネージャーがデビュー当時にプロモーションで訪れた平井堅に初めて会って以来、このアーティストを推していくと決めたからである。そのうち、北海道ローカルのFM局、AIR-Gで平井堅の番組もはじまった。

このシングルはわりと背水の陣的な状況でリリースされ、江角マキコが出演したCMなどがつくられたりもしたのだが、そうするとじわじわと売れはじめていき、平井堅にとってデビュー曲以来のオリコン週間シングルランキング入りどころか、トップ10ヒットにまでなってしまった。

それでも初回プレス分はその半分近くが、札幌のCDショップに納品されるものだったという。兵庫県出身の平井堅が札幌を第2の故郷ということがあったりするのは、こういった事情によるものである。

この曲の作詞・作曲に平井堅はかかわっていなく、音楽的にもそれまでとは異なったR&B的なサウンドが取り入れられているのだが、それだけにシンガーとしての魅力がきわだち、初のビッグヒットにつながったのかもしれない。

ギブス/椎名林檎(2000)

椎名林檎の5作目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高3位を記録した。

「ここでキスして。」と同様に椎名林檎が17歳の頃に付き合っていた男性に向けて書かれた楽曲で、シングルでは初のバラードである。デビュー当初からのレパートリーであり、もっと早くリリースする予定もあったのだが、様々な事情によってこのタイミングになった。

「罪と罰」とのシングル2枚同時発売で、いずれも後に2作目のアルバム「勝訴ストリップ」に収録された。

「だってカートみたいだから あたしがコートニーじゃない」はニルヴァーナのカート・コバーンとそのパートナーであったホールのコートニー・ラヴのことだが、モデルになったのは「ここでキスして。」で「現代のシド・ヴィシャス」と描写されていたのと同じ男性のようである。

Wait & See〜リスク〜/宇多田ヒカル(2000)

宇多田ヒカルの5作目のシングルでオリコン週間シングルランキングで1位、年間シングルランキングで3位を記録した。

この1つ前のシングル「Addicted To You」に続いて、ジャネット・ジャクソンの作品などでも知られるジミー・ジャム&テリー・ルイスをプロデューサーとして起用している。

アメリカの神学者、ラインホルド・ニーバーの祈りからの引用と思われる「変えられないものを受け入れる力 そして受け入れられないものを変える力をちょうだいよ」というフレーズなど、歌詞はより深みを増しているように感じられるが、サウンドプロダクションやボーカルパフォーマンスを含め、ポップソングとしてのクオリティーの高さは圧巻である。

当時の渋谷の街の風景が出てきたりもするミュージックビデオもとても良い。

LADY MADONNA〜憂鬱なるスパイダー〜/LOVE PSYCHEDELICO(2000)

LOVE PSYCHEDELICOのデビューシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高88位を記録した。

青山学院大学の音楽サークルで出会った男女2人組のユニットで、当初は他にもメンバーがいてバンド形式で活動していたのだが、最終的にこの2人が残ったということである。

ビートルズ、ローリング・ストーンズ、ボブ・ディランといった洋楽のクラシックロックをルーツに持ち、当時の日本のポップシーンにおいてはかなり趣味的な音楽性と見なされても仕方がないのだが、これがものすごく売れてしまった。

このデビューシングルはそれほどでもなかったのだが、次の「Your Song」がオリコン週間シングルランキングで最高17位、その次の「Last Smile」が最高11位と順位を上げていき、これらをすべて収録したデビューアルバム、その名も「THE GREATEST HITS」はオリコン週間アルバムランキングで1位となり、ミリオンセラーも記録したのであった。

桜坂/福山雅治(2000)

福山雅治の15作目のシングルでオリコン週間シングルランキングで3週連続1位、年間シングルランキングで2位を記録した。

サザンオールスターズ「TSUNAMI」と同様にTBS系のバラエティー番組「ウンナンのホントコ!」内の恋愛リアリティー企画「未来日記」シリーズのテーマソングということで、当初からかなり売れるのではないかといわれていたのだが、実際にその通りになった。

すでに俳優や歌手としてとても人気があったわけだが、この曲の大ヒットはまたひとまわりスケールが違っていた。

曲のタイトルにもなっている桜坂は東京都大田区に実在し、番組のロケ地でもあったわけだが、福山雅治自身もかつてその近くに住んでいたことがあり、この楽曲も当時の体験を元に別れた恋人に対する想いを歌ったものとなっている。

LIFE feat.bird/MONDO GROSSO(2000)

MONDO GROSSOの6作目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高18位を記録した。

元々はクラブミュージックを演奏するバンドとして結成され、ヨーロッパツアーなども行うのだが、メンバーが脱退して以降は大沢伸一のソロプロジェクトとなっていた。

この曲では女性ボーカリストのbirdをフィーチャーし、ANAの沖縄キャンペーンのCMに使われたこともあってヒットしたのであった。

この頃になるとJ-POP界ではR&B的な音楽がすっかりメインストリームになっていて、そういったタイプの楽曲を歌う女性シンガーたちがディーヴァ系と呼ばれたりもしていたのだが、birdもそのうちの1人であった。

そして、Monday満ちる、UA、Charaなどの作品をプロデュースしてきた大沢伸一もまた、こういった状況をつくる上で重要な役割を果たした1人だということができる。

SEASONS/浜崎あゆみ(2000)

浜崎あゆみの16作目のシングルでオリコン週間シングルランキングで2週連続1位、年間シングルランキングで5位を記録した。

「ロッキング・オンJAPAN」の表紙を浜崎あゆみが飾り、40ページにもおよぶ特集が組まれたのはこの翌年のことだったが、当時の読者の間でも賛否が分かれていたような記憶がある。

そして、スマッシング・パンプキンズ「メロンコリーそして終りのない悲しみ」が話題に出たりもしていたこの記事が載った号の表紙に掲載された見出しは「終わりなき哀しみ、そして復讐」であった。

「vogue」「Far away」とこの曲で「絶望3部作」であり、その根底にある深い悲しみや諦念のようなものは、当時の時代精神とも強く共鳴していたように感じられる。

「今日がとても楽しいと 明日もきっと楽しくて そんな日々が続いてく そう思っていたあの頃」と「今日がとても悲しくて 明日もしも泣いていても そんな日々もあったねと 笑える日が来るだろう」は対になっている。

浜崎あゆみはこの曲によって「第42回日本レコード大賞」で作詞賞を受賞している。

乙女 パスタに感動/タンポポ(2000)

タンポポの5作目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高3位を記録した。

モーニング娘。から派生した最初にユニットであり、当初メンバーは石黒彩、飯田圭織、矢口真里だったのだが、この頃には飯田圭織、矢口真里、石川梨華、加護亜依となっている。

「金曜日明日は休み コンビニ寄って Sha la la la たくさん買い込んで」と、ありふれた女性の日常を楽しく描いた楽曲で、作詞・作曲はつんく♂なのだが、編曲とすべての楽器を演奏もしている永井ルイのブリティッシュロック愛が遺憾なく発揮されているようなところもとても良い。