邦楽ロック&ポップス名曲1001: 1989, Part.1

目を閉じておいでよ/バービーボーイズ(1989)

バービーボーイズの11作目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高8位を記録した。

ニューウェイブ的なセンスも感じられる楽曲とKONTAと杏子の男女ツインボーカルというロックバンドとしてはとてもユニークな形態、そして歌詞は性愛をポップに描写している。

資生堂の男性用整髪料、TREND・YのCMソングにも使われていた。

川の流れのように/美空ひばり(1989)

美空ひばりが生前最後にリリースしたシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高8位、「ザ・ベストテン」で最高10位を記録した。

この前の年に発売されたアルバム「川の流れのように〜不死鳥パートⅡ」からシングルカットされたのは、元号が昭和から平成に変わって間もない頃であった。

作詞は秋元康で作曲が見岳章というとんねるず「雨の西麻布」で演歌のパロディー的なことをやっていたコンビが、ついに本格的な名曲を生み出してしまった。

人生を川にたとえた歌詞は美空ひばりの素晴らしいボーカルパフォーマンスとも相まって感動的だが、この川というのはとある事情などによってニューヨークに在住していた頃に秋元康がいつも見ていたイーストリバーをモチーフにしているということである。

キ・ツ・イ/玉置浩二(1989)

玉置浩二のソロアーティストとしては2作目のシングルでオリコン週間シングルランキングで最高7位、「ザ・ベストテン」では最高6位を記録した。

主演テレビドラマ「キツイ奴ら」の主題歌であり、玉置浩二のボーカルの魅力が安全地帯の楽曲とは異なったアプローチで発揮されていることによって、よくありがちな人気バンドのボーカリストによるソロ作品以上の価値があるように思える。

ファンキーなサウンドやソウルフルな女性ボーカルなども含め、実に聴きごたえがある。

ROSÉCOLOR/中山美穂(1989)

中山美穂の15作目のシングルでオリコン週間シングルランキングで1位、「ザ・ベストテン」では最高5位を記録した。

資生堂のCMらしいエレガントなムードが特徴なのだが、打ち込みサウンドと中山美穂の春の木漏れ日のようなボーカルがとても心地よい。

テレビドラマ「毎度おさわがせします」での不良少女的なキャラクターから、この気品ある感じにまで至る過程に感慨深いものもあったのだが、それはそうとして純粋にとても良い曲である。

ザ・ストレス(ストレス中近東ヴァージョン)/森高千里(1989)

森高千里の6作目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高19位を記録した。

前年リリースのアルバム「見て」収録曲の別バージョンで、ウェイトレスの制服をイメージした衣装で本人が作詞した「たまるストレスがたまる ああぐちゃぐちゃよ」「ストレスが地球をだめにする」などの歌詞を歌う。

この次のシングルではミニスカートの衣装で南沙織「17才」をユーロビート調にアレンジしたカバーバージョンがヒットし、次第にポップアイコン化していくのであった。

BE MY BABY/COMPLEX(1989)

COMPLEXのデビューシングルで、オリコン週間シングルランキングで1位を記録した。

吉川晃司と布袋寅泰によるスーパーユニットとして話題になった。グラムロックをデジタルエイジにアップデートしたかのような快感が漲っていてとても良い。

約束の橋/佐野元春(1989)

佐野元春のアルバム「ナポレオンフィッシュと泳ぐ日」から先行シングルとしてリリースされ、オリコン週間シングルランキングで最高20位を記録した。

ロンドンに渡り現地のミュージシャンたちとレコーディングされたアルバムは評価が高く、自らが切り拓いたともいえる新しい日本語ロックの可能性をさらに拡張するようなものであった。

1990年にはテレビドラマ「二十歳の約束」の主題歌に起用されたのに際し、ボーカルを録り直したりもした新バージョンがオリコン週間シングルランキングで最高4位のヒットを記録した。

Diamonds/プリンセス・プリンセス(1989)

プリンセス・プリンセスの7作目のシングルでオリコン週間シングルランキングのみならず、年間シングルランキングでも1位に輝いた。

モータウンビートを取り入れたポップでキャッチーな楽曲で、人生における輝かしい時間をダイヤモンドに例えているのだが、「針がおりる瞬間の胸の鼓動焼きつけろ」とポップミュージック賛歌のようにもなっているところがとても良い。

M/プリンセス・プリンセス(1989)

プリンセス・プリンセスの大ヒットシングル「Diamonds」のカップリング曲として知られているが、それ以前にアルバム「LET’S GET CRAZY」に収録されていた。

バンドのドラマー、富田京子が「M」をイニシャルとする男性と破局したことをきっかけに書いた詞に奥居香が曲をつけたバラード曲で、ロックバンド志向が強かったバンドとしてはボツにしようとすら考えていたようなのだが、結果的にリスナーから圧倒的な支持を得て、代表曲として知られるようにもなった。

大迷惑/ユニコーン(1989)

ユニコーンの最初のシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高12位を記録した。

当時はバンドブームだったのだが、いわゆるビートパンク的な音楽性のバンドが多く、ポップミュージック批評的にはあまり真剣に取り上げられていなかったような気もする。

そこへいくとユニコーンはより幅広い音楽性とユニークな批評精神のようなものが注目されはじめていたようなところもある。

アルバム「服部」からの先行シングルとなるこの曲はバブル景気で勢いがあった頃の若き日本のビジネスマンが新婚であるにもかかわらず、海外への単身赴任を命じられたことにまつわる悲哀をテーマにしていて、「お金なんかはちょっとでいいのだ」というメッセージがこめられてもいる。

Fade Out/小泉今日子(1989)

小泉今日子の27作目のシングルでオリコン週間シングルランキングで最高2位、「ザ・ベストテン」では最高8位を記録した。

作詞・作曲・編曲は近田春夫で、当時、ポップミュージック界における最新トレンドであったハウスミュージックを取り入れた、ひじょうに斬新なアイドルポップスだということができる。

サウンドそのものがとてもカッコいいのだが、「Ah 今頃Discoでは」以降のくだりにおいては、しっかり歌謡曲的なメロディーになっていたりもするとこりがかなり良い。