邦楽ロック&ポップス名曲1001: 1989, Part.2

さよならベイビー/サザンオールスターズ(1989)

サザンオールスターズの26作目のシングルでオリコン週間シングルランキングで1位、「ザ・ベストテン」では最高8位を記録した。

映画「彼女が水着にきがえたら」の主題歌で、切ないサマーソングになっている。サザンオールスターズは「ザ・ベストテン」では何度も1位になっていたのだが、オリコン週間シングルランキングでは結成11年にしてこの曲で初めて1位を記録した。

Dang Dang 気になる/中村由真(1989)

中村由真の9作目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高17位を記録した。

料理をテーマにしたテレビアニメ「美味しんぼ」のテーマソングで、シティポップ歌謡として再評価されがちだが、作曲・編曲の林哲司にとってはそれほど思い入れが強くはないという。

「ワープロをほら叩いてた指先が」などという歌詞のフレーズも含め、バブル時代当時の気分が感じられたりもしてなかなか味わい深い。

青空/ザ・ブルーハーツ(1989)

ザ・ブルーハーツの7作目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高8位を記録した。

アルバム「TRAIN-TRAIN」からのシングルカットで、作詞・作曲は真島昌利である。

「生まれた所や皮膚や目の色で いったいこの僕の何がわかるというのだろう」というフレーズはレイシズムのみならず、あらゆる差別や偏見を批判するメッセージとして時代を超えて強く響いてくる。

歩いていこう/JUN SKY WALKER(S)(1989)

JUN SKY WALKER(S)の2作目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高12位を記録した。

バンドブーム時代にとても人気があったバンドで、ジュンスカの愛称でした親しまれた。ビートパンク的な親しみやすい音楽性と、等身大的なメッセージ性もある歌詞が特徴である。

世界でいちばん暑い夏/プリンセス・プリンセス(1989)

プリンセス・プリンセスの8作目のシングルとしてリリースされ、オリコン週間シングルランキングで1位、年間シングルランキングでは2位を記録し、1位の「Diamonds」と合わせて上位2曲を独占する結果となった。

元々は夏をテーマにしたオムニバスアルバム「Summer Lounge」のためにつくられ、1987年にシングルでリリースされていたのだが、その時にはヒットしていなく、バンドがブレイクしたタイミングでCDシングルとして再リリースされたものである。

日本印度化計画/筋肉少女帯(1989)

筋肉少女帯のアルバム「猫のテブクロ」収録曲でシングルカットはされていないのだが、ミュージックビデオが制作されたり炭酸飲料、チェリオのCMに使われたりもした。

「日本を印度にしてしまえ!」「オレにカレーを食わせろ」と歌詞の内容はほとんどナンセンスなのだが、痛快なロックサウンドと大槻ケンヂのユニークなボーカル、マイルドなオリエンタルテイストなどがなかなか楽しい。

淋しい熱帯魚/Wink(1989)

Winkの5作目のシングルでオリコン週間シングルランキング、「ザ・ベストテン」などで1位、「第31回日本レコード大賞」で大賞、「第22回日本有線放送大賞」で年間グランプリなどを受賞している。

ダンサブルでありながら哀愁味も感じられるシンセポップ的な楽曲と、テレビパフォーマンス時に無表情で行われる振付けにもインパクトがあり、大人気になった。

珍奇男/エレファントカシマシ(1989)

エレファントカシマシの3作目のアルバム「浮世の夢」収録曲で、シングルではリリースされていないのだが、初期の代表曲の1つとして知られているかもしれない。

「ロッキング・オンJAPAN」などではデビュー当時から高く評価されていたのだが、当時の日本のメインストリームのポップミュージック界においてはあまりに個性的だったことなどもあり、それほど売れていなかった。

「わたくしは珍奇男 通称 珍奇男」とギター弾き語りで自己紹介され、「わたくしを見たならお金を投げて欲しい」などと自嘲気味に歌われもするのだが、次第にロック化していき、「はーいはーい わたしはあなたより偉いの」などとシャウトされたりもする約7分14秒のとても良い曲である。

紅/X(1989)

X(後のX JAPAN)の3作目のシングルとしてリリースされ、オリコン週間シングルランキングで最高5位を記録した。

ヘビメタことヘヴィーメタルという音楽ジャンルの様式美などがお笑い的なネタとして消費される場合もあった80年代にバラエティー番組「天才・たけしの元気が出るテレビ‼︎」のヘビメタコーナーに出演し、賛否両論があったりもしたようだが、人気と知名度を着実に上げていき、ハードロックやヴィジュアル系を一般大衆的にもメジャーにした功績は大きい。

美しいバラード調ではじまり、途中から激しいハードロックになっていく。ライブでは演奏の途中に「紅だァーッ!」とシャウトされることでも知られる。

うれしい!たのしい!大好き!/ドリームズ・カム・トゥルー(1989)

ドリームズ・カム・トゥルーの3作目のシングル「うれしはずかし朝帰り」のカップリング曲曲としてリリースされた。オリコン週間シングルランキングでの最高位は意外にもまだ49位で、メジャーにヒットしはじめたのは翌年の「笑顔の行方」からだったようである。

「きっとそうなんだ めぐりあえたんだ ずっと探してた人に」「やっぱりそうなんだ あなただったんだ うれしい!たのしい!大好き!」というわけで、恋の真っ只中にいてまだ悪い予感の欠片もない頃の多幸感のようなものがポップに表現された楽曲でとても良い。

デイ・ドリーム・ビリーバー/THE TIMERS(1989)

THE TIMERSのデビューシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高2位のヒットを記録した。

RCサクセションの1988年のアルバム「カバーズ」がいろいろあって所属レーベルの東芝EMIから出せなくなった件で忌野清志郎はかなり激怒していたわけだが、その後ぐらいから忌野清志郎によく似たZERRYという人物を中心とする謎のロックバンド、THE TIMERSが登場し、様々なライブ会場でプロテストソング的な楽曲を歌ったり、「夜のヒットスタジオR&N」の生放送でリハーサルではやっていなかった「FM東京」なる楽曲を突然演奏しはじめて、放送禁止用語がお茶の間のテレビから流れるというなかなか楽しいことになっていた。

デビューアルバム「THE TIMERS」にもプロテスト的な楽曲がいくつも収録されているのだが先行シングルとなったこの曲はモンキーズの大ヒット曲を日本語カバーしたもので、「もう今は彼女はどこにもいない」「ずっと夢を見て安心してた 僕はDaydream Believer そんで彼女はクイーン」という歌詞はZERRYの亡き母のことを歌ったものなのではないか、などともいわれている。

エースコックスーパーカップのCMでも使われていて、日焼けした若者がグラッチェグラッチェなどと言った後で、風間杜夫が登場していたような気もする。

バカになったのに/The ピーズ(1989)

The ピーズのデビューシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高30位を記録した。

バンドブーム期に登場したいろいろなバンドたちの中でも、特に一部から熱烈な支持を得ている印象がある。

「自堕落ばかりがもてすぎる」ので「さんざんムリしてバカになったのに」という若者の切実な想いが、最高のパンクロックサウンドにのせて歌われている。

「進学校の悲しみアホ不足 パンチパーマでパンク しらふでバカ」などの歌詞も素晴らしい。

あいにきてI・NEED・YOU/GO-BANG’s(1989)

GO-BANG’Sの4作目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高2位を記録した。

スキー用品などを販売する企業、アルペンのCMソングに使われ、大ヒットした。

絶妙に微妙な恋心のようなものがキュートでポップに歌われたとても良い曲で、昭和の終わり頃にリリースされ平成の初めに頃に特によく聴かれていた。