邦楽ロック&ポップス名曲1001: 1984, Part.1

北ウイング/中森明菜(1984)

中森明菜の7作目のシングルでオリコン週間シングルランキングで最高2位、「ザ・ベストテン」では5週連続1位を記録した。

作詞・康珍化、作曲・編曲・林哲司の楽曲提供はこのコンビによってつくられた杉山清貴&オメガトライブ「SUMMER SUSPICION」を気に入っていた中森明菜の希望によって実現した。

タイトルの「北ウイング」は空港を使う機会があまりない人たちにとってはなじみの薄い言葉であり、それだけに印象に残り、夜の空港を舞台にした都会的な楽曲の雰囲気にもマッチしていた。

星空のディスタンス/ALFEE(1984)

ALFEE(定冠詞のTHEがバンド名に付くのはもう少し後になってからである)の17作目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高2位、「ザ・ベストテン」では1位を記録した。

元々はフォークソング的な音楽をやっていて、それほど売れていない頃には研ナオコなどのバックで演奏したり、坂崎幸之助は「所ジョージのオールナイトニッポン」にかなりの頻度で出演したりもしていた。

ロック的な音楽性にシフトしてからは少しずつライブの動員も増えていき、1983年のシングル「メリーアン」が遂に初のトップ10ヒットになった。

その次のシングルとしてリリースされたのがこの楽曲であり、産業ロックなどと「ロッキング・オン」の渋谷陽一などからは呼ばれていたタイプの音楽からの影響が感じられた。

涙のリクエスト/チェッカーズ(1984)

チェッカーズの2作目のシングルでオリコン週間シングルランキングで最高2位、年間シングルランキングではわらべ「もしも明日が。」。安全地帯「ワインレッドの心」、松田聖子「Rock’n Rouge」に次ぐ4位を記録した。5位が「哀しくてジェラシー」、8位が「星屑のステージ」、20位が「ギザギザハートの子守唄」と、年間20位以内にチェッカーズの曲が4曲ランクインしていた。

収録アルバム「絶対チェッカーズ!!」はオリコン年間アルバムランキングにおいて、マイケル・ジャクソン「スリラー」、映画「フットルース」のオリジナルサウンドトラック、サザンオールスターズ「人気者で行こう」に次ぐ3位であった。つまり、かなりよく売れていたということである。

チェック柄の衣装や藤井郁弥のヘアスタイルといったビジュアル面も含め、社会現象的ともいえるブームを巻き起こした。音楽的にはアメリカのオールディーズからの影響が色濃く、映画「アメリカン・グラフィティ」を参考にしたという売野雅勇の歌詞もそれにマッチしていた。

この曲の前後にリリースされたシングル「ギザギザハートの子守唄」「哀しくてジェラシー」と共に、3曲同時にトップ10入りしたことも話題になった。

つぐない/テレサ・テン(1984)

テレサ・テンの14作目のシングルでオリコン週間シングルランキングで最高6位、「ザ・ベストテン」で最高8位を記録、「第17回日本有線大賞」で大賞を受賞した。

台湾出身でアジアの歌姫として知られるテレサ・テンは1973年に日本でもデビューして人気者となるが、一旦は旅券法違反によって国外退去処分を受ける。しかし、1984年に再来日が許可されて、それから3年連続別々の楽曲で日本有線大賞を受賞するなど、さらに人気を拡大していった。

適度に都会的な雰囲気も漂う大人の歌謡曲だが、バブル景気に向かって突き進んでいく当時の日本において、忘れられようとしていたかもしれない情緒的な味わい深さが感じられてとても良い。

玉姫様/戸川純(1984)

戸川純のソロアーティストとしては最初のアルバム「玉姫様」のタイトルトラックである。シングルではリリースされていないのだが、「夜のヒットスタジオ」に出演した際にはこの曲が歌われていた。

「ビックリハウス」「宝島」といったサブカルチャー系雑誌を購読しているようなタイプのニューウェイブな少年少女たちのポップアイコンとして人気があり、ビートたけし主演のテレビドラマ「刑事ヨロシク」やTOTOウォシュレットのテレビCMに出演するなど、メインストリームとサブカルチャーとの間を行き来しているかのような存在感がポップでとても良かった。

女性の生理をテーマにした歌詞が話題になったが、音楽的にもテクノポップ的なサウンドとユニークなボーカルが絶妙にマッチしていてとても良い。作曲は細野晴臣である。

風の谷のナウシカ/安田成美(1984)

安田成美のデビューシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高10位を記録した。

宮崎駿監督のアニメーション映画「風の谷のナウシカ」の主題歌として制作されたが、内容が合っていないなどの理由から映画では使われていない。

細野晴臣が作曲したテクノ歌謡であり、不安げに聴こえなくもないボーカルも含め、アートフォームとしての個性と完成度はすこぶる高いように感じられる。

Rock’n Rouge/松田聖子(1984)

松田聖子の16作目のシングルでオリコン週間シングルランキングで1位、年間シングルランキングでは3位、「ザ・ベストテン」などで1位を記録した。

カネボウ化粧品のCMソングで、作曲は呉田軽穂こと松任谷由実である。春めいた曲調と「pure pure lips」というフレーズなどに含まれるポップ感覚がとても良く、「KISSはいやと言っても反対の意味よ」といった絶妙な裏腹感もヴィヴィッドに表現されている。

当時、松田聖子のシングルとしては久々のライトで明るい楽曲ということで、個人的にもかなり盛り上がった記憶がある。

モニカ/吉川晃司(1984)

吉川晃司のデビューシングルでオリコン週間シングルランキングで最高4位、「ザ・ベストテン」では最高2位を記録した。主演映画「すかんぴんウォーク」の主題歌でもあった。

高校時代に水球でかなりの好成績を残していたことや高身長で肩幅が広いなど、いきなりメディアでもかなり目立っていたのだが、当時、大ブレイク中のチェッカーズと共に田原俊彦、近藤真彦、シブがき隊といったジャニーズ系とはまた違った男性アイドル像として、かなり好意的に受け止められていたような気もする。

歌詞のメロディーへののせ方などに佐野元春からの影響が感じられたりもするのだが、NOBODYが作曲した楽曲は新感覚のポップソングとして純粋にカッコよく、一定数の男性からも支持されていた。

めざめ/石川秀美(1984)

石川秀美の9作目のシングルでオリコン週間シングルランキング、「ザ・ベストテン」いずれにおいても最高8位を記録している。

西城秀樹の弟・妹募集的なオーディションがきっかけでデビューを果たし、健康的なイメージが強かったのだが、この曲ではシティポップ的な大人っぽさも感じられてとても良い。

個人的にはこの曲がリリースされるタイミングで旭川雪まつりに来てくれて、直接その姿を目にするともちろん何割か増しでは好きになり、音楽的にも好みだったのでシングルを買ったことなどが思い出されれる。