邦楽ロック&ポップス名曲1001: 2022
Habit/SEKAI NO OWARI(2022)
SEKAI NO OWARIの18作目のシングルでBillboard JAPAN Hot 100で1位、「第64回日本レコード大賞」ではロックバンドとしてはMr.Children「Sign」以来18年ぶりとなる大賞を受賞した。
テクノポップ的な中毒性の高いトラックにのせて、「陰キャ陽キャ?」「説教するってぶっちゃけ快楽」といったキャッチーなフレーズを散りばめながらも、「自分で自分を分類するなよ 壊して見せろよ そのbad habit」というようなメッセージが歌われている。
Overdose/なとり(2021)
TikTokに楽曲の動画を投稿していた当時19歳のなとりが、ショート動画の反応が特に良かったこの楽曲をフルバージョンでリリースした初の配信限定シングルで、Billboard JAPAN Hot 100で最高4位、2023年の年間チャートで9位を記録した。
ネオシティポップとでも呼ぶべき都会的で洗練された音楽性と心地よいボーカルが特徴だが、イントロでは音声を細かく切り刻んで配置し直すボーカルチョップの手法を用いるなど適度な実験性もあってとても良い。
タイトルは薬物の過剰摂取を想像させるのだが、それをいけないことだと分かってはいるのだがどうしてもやめらることができないロマンスに置き換えているようだ。
Subtitle/Official髭男dism(2022)
Official髭男dismがフジテレビ系のドラマ「silent」の主題歌として書き下ろした楽曲で、Billboard JAPAN Hot 100で8週連続通算13週1位、2023年の年間チャートで2位の大ヒットを記録した。
ドラマ制作サイドからのあまりにも熱烈なオファーに応えるかたちで、バンドは冬をテーマにしたバラードのイメージを広げるために北海道での合宿を敢行してまでこの曲を完成させたのだという。
愛する人に対しての強い想いとそれをうまく伝えられないことのもどかしさをここまで本質的に表現したポップソングがかつてあっただろうか、などと思わせるほどに素晴らしい楽曲である。
KICK BACK/米津玄師(2022)
米津玄師がテレビアニメ「チェンソーマン」のオープニングテーマ曲として書き下ろした楽曲で、Billboard JAPAN Hot 100で1位に輝いた。
King Gnuの常田大希がギター、ベースで参加しているのみならず、米津玄師と共に編曲も手がけていることもあり、ミクスチャーロック的な快感に満ち溢れているのだが、モーニング娘。の2002年のヒット曲「そうだ! We’re ALIVE」から「努力 未来 A BEAUTIFUL STAR」というフレーズがメッセージとして引用されてもいる。
ちゅ、多様性。/ano(2022)
アイドルグループ、ゆるめるモ!の元メンバーで、あのちゃんの愛称でタレントとしてもブレイクすることになるanoがリリースした配信限定シングルで、テレビアニメ「チェンソーマン」第7話のエンディングテーマに使われ、Billboard JAPAN Hot 100で最高30位を記録した。
相対性理論の元メンバーである真部脩一による実験ポップ的な楽曲とanoのユニークなボーカルとが絶妙な化学反応を引き起こし、オリジナリティに溢れたポップソングとして結実している。
「Get on chu」という歌詞で「げろチュー」で、「Bet on chu」が「べろチュー」である。チャイナテイストのミュージックビデオもとても良い。