Real Life POP Top 10 (September 2, 2023)
「心のベストテン 第一位はこんな曲だった」的なやつが奇跡的にたぶん1ヶ月以上ぐらいは続いているわけだが、一方これ以外には一切何も上げられていなく、しかしそれはまたしても別なことをやりはじめたために、リスト化に向けては着々と進めているものの、これいつになったら記事にできるのだろうというのがまったく見えないやつだったりもするので、適当に誤魔化していきたい。
というわけで、タイトルの日付がいつの間にか九月になっていたり、渋谷のコンビニエンスストアでフジファブリック「若者のすべて」をつい先ほど耳にしたり、世間一般的にはそろそろ夏を終わらせるムードを盛りたてつつあるのだが、片岡義男「彼のオートバイ、彼女の島」の表紙に印刷されていたように「なつはただ単なる季節ではない。それは心の状態」だということなので、今年も性懲りもなくエンドレスサマーな気分ではいる(6月ぐらいの時点では今年の夏ははじまる前にもうすでに終わった、というようなことを言っていたはずなのだが)。
10. サマータイムシンデレラ/緑黄色社会
宇田川町でもすっかり聴くことがなくなってしまった。というか、単に広告の期間が終わっただけである。それでいまは乃木坂46「おひとりさま天国」がよくかかっている。渋谷はいまや広告の街だが、それについての感想は特になく、ロサンゼルスドジャーズのキャップをファッションアイテム的にかぶってはいるのだが、メジャーリーグベースボールというかそもそも野球そのものにまったく興味がないようなタイプの人たちについて全面的に好ましく感じている。あとこの曲はいわゆる「月9」ドラマの主題歌なのだが、歌がとても上手い上に聴き心地がかなり良い。宇田川町で自然に流れなくなったので、自主的に聴く以外にない。
9. ランデヴー/シャイトープ
人気急上昇の楽曲である。ナウなヤングを中心にいろいろな人たちによって歌われたり聴かれたりしている。実はじわじわらしいのだが、多くの人たちにとっては急にという印象がひじょうに強い。いわゆる失恋の痛手のようなものをマイルドに引きづりながら良い感じで歌っているタイプの楽曲なのだが、幅広い人たちに共感されそうであり、「クリームパンも味がしないな」などのフレーズもとても良い。要注目である。
8. Magic/Mrs. GREEN APPLE
2023年夏のサウンドトラックに欠かせない1曲、というかとても良いアルバム「ANTENNA」からの先行トラックにしてコカコーラのCMソングである。バンド形式のアーティストとしてはもしかするといま日本で最も人気があるのではないかというぐらいに聴かれまくっているのだが、表面的にはポップでキャッチーなところが特徴ではあるものの、実はわりと奥が深めだったりもして、このマイルドに刺さりがちなポジティヴィティーを時代が必要としているところもあるのではないか、などと感じたりもする。
7. I’m a mess/MY FIRST STORY
2021年7月14日リリースのシングル「告白」のカップリング曲だが、当時のコロナ禍における閉塞的な状況について歌われていると思われる。これがロングヒットとなり、ここにきてさらにまた盛り上がりを見せている。
6. 青と夏/Mrs. GREEN APPLE
この曲について「令和のサマーアンセム」というような説明がされているのを見たような気がするのだが、まさにその通りだと納得はしながらも、リリースされた2018年8月1日はまだ平成だったのだな、と思い返したりもする。夏のはじまりから終わりかけまで、それぞれの感情で夏の間じゅうずっと聴き続けられるとても良い曲である。
5. 怪獣の花唄/Vaundy
この曲も2020年5月11日リリースなのでかなりのロングヒットなのだが、盛り上がりのピークは「NHK紅白歌合戦でのパフォーマンスを経た2023年に入ってからになってかもしれない。この後も素晴らしい楽曲を発表し続けていて、現在最も人気がある日本のアーティストの1人となっているわけだが、この秋にはニューアルバムもリリースされるということで、これも実に楽しみである。
4. アイドル/YOASOBI
この曲もまた2023年4月12日リリースなので実はまあまあのロングヒットではあり、しかもBillboard Japan Hot 100で4ヶ月以上ずっと1位というメガヒットぶりである。テレビアニメ「【推しの子】」のオープニングテーマソングではあるのだが、放送が終わった後もずっと聴かれ続けているわけであり、ポップソングとしての強度と情報量が驚異的なのでそれも納得という感じではある。それで、次のシングルがテレビアニメ「葬送フリーレン」オープニングテーマ曲の「勇者」ということである。
3. 青のすみか/キタニタツヤ
テレビアニメ「呪術廻戦 懐玉・玉祈」のオープニングテーマ曲で、その切なげな内容と登場人物の心理状態がテーマになってはいるのだが、純粋に爽快でありながら悲しみも感じられる最新型のサマーアンセムとしてもこの夏のうちに浸透しまくった印象もあり、今後夏の定番曲の1つとなっていきそうな気はする。
2. ETA/NewJeans
NewJeqnsの2nd EP「Get Up」に収録された全6曲約12分間にこそ2023年夏の時点におけるヴィヴィッドなポップ感覚とでもいうべきものが凝縮されていたのでばないか、というような気はしている。他にも色々なアプローチが高いレベルで可能だとは思うのだが、このライトでクリーンでブリージィーな感じが夏らしくてとても良い。特にiPhone 14 PlusのCMにも使われたこの曲はトレンディーなジャージークラブ的ホーンのフレーズも印象的で最高である。
1. Seven/JUNG KOOK & Latto
とはいえこの曲がしばらくずっと第一位であった。BTS(防弾少年団)にJUNG KOOKによるソロデビューシングルで、アメリカのラッパー、Lattoをフィーチャーしている。アコースティックなギターやUKガラージ的なリズムトラックに乗せて、クールでエモーショナルに歌われる月曜から日曜までずっと一緒にいたいというプリミティヴで強い想い、2023年夏のサウンドトラックであるのみならず、モダンクラシック候補なのではないかという類いの愛着も育ちはじめている頃合いではある。