Real Life POP Top 10 (August 26, 2023)

「心のベストテン 第一位はこんな曲だった」的なやつを不定期的にやりたくなってはすぐに飽きるのだが、奇跡的にやりたい気持ちが5週間も持続しているので、今週も適当にやっていきたい。

「誰のせい? それはあれだ! 夏のせい」というのもまああるにはあるのだが、コンビニエンスストアのアルコール飲料売場に秋をイメージさせる缶チューハイが並びはじめたり、ダイソー渋谷マークシティ店が入口付近で早くもハロウィンコーナーを大々的に展開するなどしてテンションを下げようとしているわけだが、まだまだ暑い日が続いているので楽勝である。

そして、8月はほぼ毎日、渋谷に来ているので最高である。人生最高の夏を5年ぶりに更新したかもしれない。というか、ほぼ確実にしている(7月の初めには今年の夏はもうすでに終わっているというようなことを言っていたような気もするのだが)。

10. I’m a mess/MY FIRST STORY

おそらく何年か前にリリースされた曲なのだがロングヒットというか、ここにきてまたひじょうによく聴かれている曲である。

コロナ禍というかパンデミック状態の頃につくられた楽曲だと思われ、おそらくそういった状態をテーマにしているのだが、その絶妙な葛藤感にはより普遍的なリアリティーが感じられもするようである。

9. サマータイムシンデレラ/緑黄色社会

「月9」ドラマの主題歌であり。緑黄色社会はとにかくボーカルの長屋晴子の歌が上手くて最高ではあるのだが、歌が上手いからといって最高とは限らないところをちゃんと最高なところがとても良いのである。

渋谷の宇田川町にいることが近頃ひじょうに多いのだが、広告の街と化して久しいその辺りでは乃木坂46「おひとりさま天国」と共によく耳にするような気がする。「おひとりさま天国」についてはここにランクインはしていないものの、少なくともひじょうに印象に残る楽曲だとおうことはできる。

8. Super Shy/NewJeans

2023年夏の時点で最も現在を感じさせてくれるポップアクトといえばおそらく韓国のガールズグループ、NewJeansであり、先日のコーチェラでのライブ映像も視聴したがとても良かった。

本当はもっと重厚で本格的なアプローチも取ることができるポテンシャルをおそらくは保持しているのだが、あえてこのライトでブリージィーな音楽性を選んだところがとても良い。とにかく好きが溢れて止まらないという気分にさせてくれる素晴らしい楽曲である。

7. Magic/Mrs. GREEN APPLE

Mrs. GREEN APPLEは現在、バンド形式では日本で最も聴かれているアーティストではないかと思うのだが、コカ・コーラのCMソングでもあるこの曲には、そのポップでキャッチーな方向性における最も良いところが凝縮されているような印象を受ける。

アップリフティングではあるのだが、ベーシックに生きづらい同時代感覚を前提とした上で意図的にそうしていて、そこがおそらく伝わりまくっているのではないかと推測したりはする。

地に足の着いた自己肯定感というのだろうか、そんなワードが思い浮かんだりもしなくはないのだが、純粋に最新型のポップソングとしてとても良い。

6. 青と夏/Mrs. GREEN APPLE

Mrs. GREEN APPLEがまだ5人組バンドだった2018年、いわゆるフェーズ1の頃にリリースされた楽曲だが、その後も聴き続けられていて、いまやサマーアンセムの決定版的として広く認知されているように思える。

とにかくサマーフェスなどのライブ会場で盛り上がるであろう、というかおそらくそれも目的とした素晴らしいロックチューンなのだが、この輝いている瞬間もやがて忘れられていくのだという切なさや、だからこそなおさら大切にしたいというような想いがヴィヴィッドに伝わってもくる。

5. 怪獣の花唄/Vaundy

2020年のアルバム「strobo」から先行配信された楽曲だが、リリースから少し経ってからの方がより広く聴かれていて、特に2022年末の「NHK紅白歌合戦」でのパフォーマンスもかなり影響しているのではないかと思われる。

わりと一筋縄ではいかない音楽性にあって、この楽曲はよりストレートなロック的ということもできるのだが、歌詞の内容は様々な解釈が可能である。

4. アイドル/YOASOBI

テレビアニメ「【推しの子】」のオープニングテーマ曲として2023年4月にリリースされてから、アニメの放送が終了してからもずっと大ヒットし続けている。Billboard Japan Hot 100では実に17週連続1位を記録している。

アニメの話題性やクオリティーが影響していることはもちろんなのだが、楽曲そのものにもこれまでのYOASOBIらしさも残しつつアイドルポップス的な要素を意図的に取り入れたり、1曲の中で様々なタイプのボーカルパフォーマンスが試みられていたり、歌詞の内容がある種のアイドル論のようでもあったりと、ポップソングとしてひじょうに魅力的である。

3. 青のすみか/キタニタツヤ

テレビアニメ「呪術廻戦 懐玉・玉祈」のオープニングテーマ曲である。

歌詞はアニメの内容に沿ったものだが、それを抜きにしても爽やかでありながらどこか懐かしく、物悲しさを感じさせもするサマーチューンとして成立しているといえる。今後、夏の定番曲の1つとして定着していくような気もする。

2. ETA/NewJeans

NewJeansの2作目のEP「Get Up」に収録された、中毒性の高いホーンのフレーズの繰り返しとライトでキャッチーなボーカルが特徴的な楽曲である。iPhone 14 ProのCMソングにも起用されている。

ジャージークラブというトレンドを抑えつつ、どこか懐かしくもあったりはするのだが、確実に新しく、現在を感じさせてくれるとても良い曲である。

1. Seven/JUNG KOOK & Latto

BTS(防弾少年団)のメンバーでもあるJUNG KOOKのソロデビューシングルで、アメリカのラッパー、Lattoをフィーチャーしている。

夏にふさわしいクールなサウンドにのせてエモーショナルに歌われるこの曲の内容は、月曜から日曜までずっと愛していたいというような熱烈なものである。全米シングル・チャートでも1位に輝いた、2023年夏を代表するヒット曲の1つである。