1993年の洋楽ロック&ポップス名曲ベスト50
1993年といえば渋谷のパルコクアトロにWAVEができた年で、オアシスはデビューしていなくてカート・コバーンはまだ生きていた年である。小沢健二が7月21日に「天気読み」で、小山田圭吾がコーネリアスとして9月1日に「THE SUN IS MY ENEMY 太陽は僕の敵」でソロ・デビューして、12月1日にピチカート・ファイヴ「東京は夜の七時」がリリースされる。これらは日本国内での話なのだが、私は理由あって意図的に日本のポップ・カルチャーから距離を置き、「マルコムX自伝」だとかダグラス・クープランド「アメリカン・サイコ」だとかを読みながら、小岩に住んでいたボン・ジョヴィファンの女子と後楽園ゆうえんちの夜の部、ルナパークに行くと東京スカパラダイスオーケストラがフリーライブをやっていたりした。とはいえ、ほとんど海外アーティストのCDやレコードしか買っていなかったので、そんな中からベスト50を強引に選んで、ただただノスタルジー消費していきたい。
50. Water Under The Bridge – Dodgy
ドッジーとはただただ良い曲をやるイギリスのインディー・ロック・バンドである。ブリットポップブームの恩恵も後に少しは受けることになるが、これは早くもクオリティーが高いと評判だったデビュー・アルバム、その名も「ドッジー・アルバム」からのシングル・カットである。90年代の半ばに渋谷のタワーレコードでプロモーション的なことをやっているのを見たことがあるが、ものすごく疲れていたことが印象に残っている。
49. White Love – One Dove
ワン・ダヴはインディー・ポップ的なセンスも持ち合わせたダンス・ミュージックのユニットという感じでそこそこ注目されていたのだが、それほど売れなかったような気もする。このデビュー・シングルなどもドリーミーで、ABBAにも通じるポップ感覚もあったりしてわりと好きだったのだが。この曲のCDシングルは間違いなくクアトロのWAVEで買っている。
48. Lean On Me I Won’t Fall Over – Carter USM
カーターUSMはイギリスでひじょうに人気があり、1992年のアルバムなどは1位になったりもしていたのだが、この頃にはやや失速していたような気がする。それでも、半ズボンを履いた30代の男がパンク・ロック的なギターのサウンドに乗せてアジット・ポップ的な曲を歌っている様はいかにもイギリスという感じでかなり好きだった。アルバムにはレニー・クラヴィッツとテレンス・トレント・ダービーをテーマにした、そう、「レニー・アンド・テレンス」という曲も収録されていた。
47. Lenny Valentino – The Auteurs
デビュー・アルバム「ニュー・ウェイヴ」がマーキュリー・アワーズで次点だったり、「セレクト」誌のブリットポップ特集的な号の表紙にも名前が載っていたのだが、ブリットポップにしてはあまりにも知的すぎたような気もするジ・オトゥールズのこれはアルバムの後にリリースされたシングルである。
46. City Sickness – Tindersticks
ただただ渋いのだがとても良い感じの音楽をやっていたティンダースティックスだが、この曲を収録したデビュー・アルバムもひじょうに評価が高かった。しかり、語り継がれてはあまりいないような気がするし、そういえばしばらくちゃんと聴いてもいなかったのだった。しかし、とても良い曲である。
45. Down That Road – Shara Nelson
マッシヴ・アタックで歌っていたボーカリストのソロ・シングルである。歌はとても上手いし、ピュア・ポップという感じの楽曲にもハマっているような気がする。東急ハンズの向かいのビルに入っていたFRISCOで買ったような気がする。そういえばあの辺りでは90年代のある時期、たこ焼きの屋台が3つぐらい出ていたような気がするが、いつの間にかなくなっていた。
44. That’s The Way Love Goes – Janet Jackson
セクシーでアダルトな方向に転換したジャネット・ジャクソン、この曲が収録されたアルバムもよく売れていた。
43. Kingdom – Ultramarine
エレクトロニック・ミュージックのウルトラマリーンだが、この曲ではロバート・ワイアットをボーカリストに迎え、新感覚のポップ・ソングを生み出すことに成功している。小岩に住んでいたボン・ジョヴィファンの女子とルナパークに行く前にFRISCOで買った記憶がある。
42. Lipgloss – Pulp
この前の年の秋に西新宿のラフ・トレード・ショップで買った「ベイビーズ」のシングルがとても良かったので、注目していたパルプだが、いよいよメジャーのアイランドから秋ぐらいにこのシングルがリリースされた。かなりポップでキャッチーになっていて、淫靡さのようなものは薄まったような気もしたのだが、まかり間違えば売れてしまうのではないかという予感はしていた。とはいえ、あそこまで売れるとは思っていなかった。
41. Why Are People Grudgeful? – The Fall
カルト的な人気を誇るザ・フォールの代表作は80年代にリリースされていて、この頃の作品はあまり振り返られないような気もするのだが、この曲はスカのようなビートだったりアルバムではシスター・スレッジのカバーをやっていたり、なかなかおもしろいことになっていたのだが、何をやってもマーク・E・スミスでしかありえないという記名性にシビれてもいた。