ベストサマーソング100:Part.9
81. ‘SUMMER SONG’ by YUI (2008)
YUIの13作目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで1位に輝いた。
アルバム「I LOVED YESTERDAY」の1曲目に収録された「Laugh away」の続編として、同じテーマが女性からの視点で書かれた楽曲である。
「夏が来るから 海に行こうよ」「君に会って 笑いあって はじまるよ 夏休み lalalala」などと歌われる最高のサマーソングで、オーガニックな感じもとても良い。
しかし、このキラキラした日々は永遠に続くはずもなく、いずれは終わってしまうのだという事実も含め、とてもい味わい深い楽曲である。
82. ‘蝉’ by Berryz工房 (2004)
Berryz工房のデビューアルバム「1st 超ベリーズ」に収録された曲で、当時まだ小中学生のメンバーたちが歌っている。
ローティーンの頃の里帰りの記憶という、なかなかニッチなテーマを扱ったアイドルポップスだが、ノスタルジックな感じがとても良い。
お土産にハッカのお菓子を買ったり、ラーメンにバターを入れたりしていることから、里帰り先は北海道なのではないかというような気もなんとなくする。
83. ‘ナツノヒカリ’ by GRAPEVINE (2002)
「ロッキング・オンJAPAN」を読んでいるようなタイプの女子大生にくるりなどと共に人気があったことは、身近にいた人の動向によってなんとなく知っていたのだが、12枚目のシングルとしてリリースされ、オリコン週間シングルランキングで最高16位を記録したこの曲は、あやふやな季節としての夏の記憶や、忘れてしまいたい心のかさぶたをマイルドに剥がしていきそうな気配を漂わせながら、永遠の夏などというものはやはり無かったのだという残酷な真実をもほのめかしている。それはずるいよね。
84. ‘Magic Motion No.5’ by WHY@DOLL (2014)
札幌出身のオーガニックガールズユニット、WHY@DOLLといえば楽曲もパフォーマンスもキャラクターもビジュアルもとても良すぎることを知っている人は知っていたのだが、この曲は初期の代表曲でオリコン週間シングルランキングで最高13位を記録した真夏のディスコチューンである。
キュートなボーカルとポップなサウンドが眩しく弾け、「戸惑いだけ終わらない恋が好き!」というフレーズにフィクショナルなリアリティを覚えるのと同時に、確かにもしかすると現実的に存在していたのかもしれない夢のあとさきをたどっているような気分で道玄坂あたりを歩いていたりもする。
85. ‘Summer Here Kids’ by Grandaddy (1997)
カリフォルニア州モデストで結成されたオルタナティブロックバンド、グランダディのアルバム「アンダー・ザ・ウェスタン・フリーウェイ」からシングルカットされ、全英シングルチャートで最高83位を記録した。
それほど大きくヒットしたわけではないのだが、ナチュラルでオーガニックなローファイインディーロックシーンが生んだ超絶サマーキラーチューンとして一部では熱烈に支持されているかもしれない。
86. ‘Oblivious’ by Aztec Camera (1983)
アズテック・カメラのデビュー・アルバム「ハイ・ランド、ハード・レイン」といえば、ネオ・アコースティックの名盤として誰もが認めるところだろう。中心メンバーのロディ・フレイムはリリース当時まだ10代で、音楽的才能に満ち溢れているのみならず、美少年でもあるということでひじょうに人気があった。
シンセ・ポップ全盛の時代にアコースティックなサウンドが新しくも感じられたのだが、日本では涼しげでおしゃれな音楽としても聴かれていたような気がする。アルバムの1曲目に収録されたこの曲の邦題は「思い出のサニー・ビート」で、全英シングル・チャートでは最高18位を記録した。
個人的には当麻町から旭川の高校に汽車で通っていた友人からキッド・クレオール&ザ・ココナッツ「愉快にライフボード・パーティ」と一緒に借りて、楽しく聴いていた記憶がある。
87. ‘Club Tropicana’ by Wham! (1983)
ワム!のデビューアルバム「ファンタスティック」からシングルカットされ、全英シングル・チャートで最高4位のヒットを記録した。それまでのシングル「ワム・ラップ」「ヤング・ガンズ」「バッド・ボーイズ」がいずれもメッセージ性を含んでいたのに対し、この「クラブ・トロピカーナ」はただただ楽しげで、享楽的なムードが特徴となっている。
ジョージ・マイケルとアンドリュー・リッジリーによって「ワム・ラップ」の次につくられた曲で、ワム!が最初のレーベルと契約を結ぶきっかけとなるデモテープにも収録されていた。
ファンキーでダンサブルな楽曲にのせて、クラブ・トロピカーナはドリンク無料〜♪というようなことがご陽気に歌われるサマーチューンなのだが、当時、ワム!のメンバーやアンドリュー・リッジリーのガールフレンドでバッキングボーカルのシャーリーがよく通っていたニュー・ロマンティクス的なクラブの雰囲気がベースとなっていて、それに若者を対象にしたホリデー旅行プランの感じを加えたようなものらしい。
ザ・スタイル・カウンシル「ロング・ホット・サマー」などと共に1983年の夏を思い起こさせてくれるヒット曲であり、リアルタイマー的には稲垣潤一「夏のクラクション」や早見優「夏色のナンシー」などとも同じ夏を共有していたというどうでもいい情報というか昔話もあえて記録しておきたい。
88. ‘Holiday’ by Madonna (1983)
マドンナの最初から2枚のシングル「エヴリバディ」「バーニング・アップ」は全米シングルチャートにランクインすらしていなく、その後にリリースされたデビューアルバム「バーニング・アップ」(原題は「Madonna」)からシングルカットされた「ホリデイ」が最初のヒット曲となる。
最高位は16位でその後の活躍ぶりからすると意外と高くはないような気もするのだが、当時のマドンナにとっては大躍進だったということがいえる。休暇こそが人生において最高の時間という身も蓋もない真実をテーマにした、ピュアなジョイが弾けんばかりのシンセディスコポップチューンである。
マドンナは1985年7月13日に開催された「ライヴ・エイド」でもこの曲をパフォーマンスしているが、イギリスではその後にシングルが再リリースされ、全英シングルチャートで最高2位を記録している(1位は同じくマドンナの「イントゥ・ザ・グルーヴ」であった)。
89. ‘Walking on Sunshine’ by Katrina and athe Wavs (1985)
イギリスのロック・バンド、カトリーナ&ザ・ウェイヴズが1983年にリリースしたデビューアルバムのためにレコーディングした楽曲だが、再録音したバージョンが翌々年に様々な国でヒットし、全米シングルチャートでも最高9位を記録した。
元気いっぱいのボーカルと演奏がひじょうに印象的でCMなどで使われるケースも多く、それによる収益がなかなかすごいことになっているというのも納得である。
90. ‘Vacation’ by The Go-Go’s (1982)
デビューアルバム「ビューティ・アンド・ビート」が全米アルバムチャートで1位に輝いたメンバー全員が女性のロック・バンド、ゴーゴーズの2作目のアルバムから先行シングルとしてリリースされ、全米シングルチャートで最高8位を記録した。
夏のはじまりを感じさせるイントロからしてすでにワクワクが止まらない、ポップでキャッチーなサマーソングである。