ベストサマーソング100:Part.6

51. ‘ELECTRIC SUMMER’ by Base Ball Bear (2006)

Base Ball Bearのメジャーデビューシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高41位を記録した。

東海大学付属浦安高等学校に通っていた4人によって結成されたロックバンドで、卓越したポップ感覚が特徴である。ライブの登場SEにXTC「がんばれナイジェル」を使っていたり、中心メンバーの小出祐介がBerryz工房のファンだったりもした。

プログレッシブロックファンとしても知られるベーシスト、関根史織による透明感のあるコーラスがまたとても良く、夏らしい爽やかさに溢れたこの楽曲にさらなる清涼感をあたえているように感じられる。

ある時期以降、ライブでは封印されがちなのだが、名曲であることには間違いがない。

52. ‘あなたとPop With You!’ by Negicco (2012)

新潟を拠点に活動する3人組アイドルグループ、Negiccoがタワーレコード内のアイドル専門レーベル、T-Palette Recordsに移籍した翌年にリリースしたシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高41位を記録した。

作詞・作曲・編曲は新潟在住の会社員でありながら、音楽プロデューサーやコンポーザーやDJでもあるconnieが手がけている。

夏のはじまりのとても良い感じをヴィヴィッドに描写した、シンプルにグッドミュージックと呼ぶに相応しい楽曲である。

53. ‘きらめきシーサイド’ by Especia (2012)

大阪の堀江を拠点として活動していたガールズグループ、EspeciaのデビューEP「DULCE」に収録されていた曲である。

10年代のいわゆる「楽曲派」ライブアイドルシーンにおいては、シティポップがリバイバルする前から、シティポップ、ディスコファンク、ブギー的な音楽の好ましい実験が行われていた例が少なくはなく、これもまたそういったタイプのとても良い曲だということができる。

54. ‘打上花火’ by DAOKO×米津玄師 (2017)

アニメーション映画「打ち上げ花火、下から見るか? 上から見るか? 横から見るか?」の主題歌で、DAOKOと米津玄師のコラボレーション楽曲である。

モダンでありながら日本的な情緒をも感じさせ、「パッと光って咲いた」からのメロディーが特にとても強い。

この前の年のアニメーション映画「君の名は。」の主題歌、RADWIMPS「前前前世」に続き、アニメから国民的ともいえるヒット曲が生まれる、というかもしかするともうアニメからしかそれは生まれないような感じを加速させたような印象もある。

オリコン週間シングルランキングでは最高9位だったが、Billboard JAPAN Hot 100では1位、年間チャートでは2017年に3位、2018年に4位となるロングヒットを記録している。

55. ‘夏夜のマジック’ by indigo la End (2017)

Indigo la Endが2016年にリリースしたサマーソングである。一般大衆的にはゲスの極み乙女などでお馴染みの川谷絵音がやっているいくつかのバンドのうちの1つという印象かもしれないような気がしなくもないのだが、実際にはこっちの方が先であり本質的だということがいえる。

それでことごとく天才的な楽曲をいろいろリリースしているのだが、サマーソングといえばこれであり、夏が最高の季節である理由の1つとして性愛的な方面に行きやすくなりがちというのがあり、もちろんほとんど必ずといっていいほど終わってしまうのだが、自業自得的に病んだり感慨にふぃけったりもして、そんな感じがヴィヴィッドにすくい上げられた素晴らしいポップソングである。

「夏になると思い出す別れの歌も、今なら僕を救う気がする」というフレーズに共感しまくれる人生こそが生きるに値すると心から思えるし、「祭りの音が聞こえ始める時間に、決まって鳴く野良猫の顔が嬉しそうだ」などもかなり良い。

56. ‘Summer Soul’ by cero (2015)

ceroのとても評価が高いアルバム「Obscure Ride」に収録された楽曲である。ネオシティポップなどと軽々しくカテゴライズされたりするかもしれないのだが、とにかくとてもハイクオリティでありながら、しっかりモテそうな音楽でもあるところがとても良い。

アメリカのヒップホップアーティスト、ジョーイ・バッドアスのインストゥルメンタル曲を下敷きにした即興の鼻歌から発展させたというメロウな楽曲なのだが、マニアックになりすぎず絶妙にポップでキャッチーなところが好ましく感じられる。

57. ‘Everybody Loves the Sunshine’ by Roy Ayers (1976)

ロイ・エアーズのアルバム「エヴリバディ・ラヴズ・ザ・サンシャイン」のタイトルトラックで、当時もアルバムは全米アルバムチャートで最高51位を記録していたのだが、後に再評価がすすんでいった。

メアリー・J. ブライジやコモンの作品でもサンプリングされたこの楽曲は、メロウでセクシーなスロージャムで、ジャズのビブラフォン奏者でありながらソウルミュージックにも大きな影響をあたえ、数多くのヒップホップアーティストにサンプリングされたことでも知られるロイ・エアーズの代表曲の1つとなった。

58. ‘Summer Breeze’ by The Isley Brothers (1974)

シールズ&クロフツのヒット曲をアイズレー・ブラザーズがアルバム「3+3」でカバーしたバージョンである。全米シングル・チャートで最高60位、全英シングル・チャートでは最高16位を記録している。

ボーカルハーモニーやギターソロなど、暑い夏の日や夜などの様々なシチュエーションで聴くのにとにかく最高である。

個人的には札幌の玉光堂で1986年の夏休みに買った「NOW-THE SUMMER ALBUM」というコンピレーション・アルバムで手に入れて、すすき野にあった友人のアパートで夕暮れに聴いたのが最初であった。テレビではおニャン子クラブが「夏休みは終わらない」を歌っていた。

GREAT3もデビュー・アルバム「Richmond High」で「想い出のサマーブリーズ」としてカバーしていた。

59. ‘Summertime Sadness’ by Lana Del Rey (2012)

ラナ・デル・レイの2作目のアルバム「ボーン・トゥ・ダイ」からのシングルカットで、翌年にはフランスの音楽プロデューサー/DJ、セドリック・ベルヴェが全米シングルチャートで最高6位、全英シングルチャートで最高4位を記録し、自身最大のヒット曲となっている。

タイトルが表しているように夏の悲しみ、夏なのに悲しいというか、夏だから余計に悲しいという感じがテーマになっている。アルバム・タイトルが「ボーン・トゥ・ダイ」だが、ラナ・デル・レイには人はいつか死ぬのだという感覚がかなり幼い頃から強くあったようで、それが作風にも大きく影響している。この曲においてもただの別れというのみならず、死への予感が含まれてもいる。

60. ‘That Summer Feeling’ by Jonathan Richman (1983)

あの夏の気分を思い出さずにはいられない、というようなことがとても詩的に歌われた回想的でありながら美しい楽曲である。

つまり、イノセンスの喪失のようなものがテーマになっているようでありながら、実はそれは完全に失われたというわけでもなくて、埃をかぶっているだけかもしれない、という気分にも夏はとかくされがちである。