ベストサマーソング100:Part.4

31. ‘Lovely Day’ by Bill Withers (1977)

ビル・ウィザースのアルバム「メナジェリィ」からシングルカットされ、全米シングルチャートで最高30位、全英シングルチャートで最高7位を記録した。

映画「ボディガード」のサウンドトラックでソウルシステムというグループがこの曲をダンスポップにリメイクしたが、オリジナルバージョンの方もギャップのCMに使われるなどして軽快で小気味よいサマーポップとして長く親しまれている。

グローヴァー・ワシントンJr.「クリスタルの恋人たち」こと「Just the Two of Us」で歌っているのもビル・ウィザースだが、この曲では終わり近くで「ラヴリーデェェェェェェェイ」と18秒間も息継ぎなしで音をキープし続けている。

32. ‘School’s Out’ by Alice Cooper (1973)

アリス・クーパーのアルバム「スクールズ・アウト」からのリードシングルで、全英シングルチャートで1位、全米シングルチャートで最高7位を記録した。

学校が夏休みに入った瞬間という人生において最高の時間をテーマにした素晴らしい楽曲で、限りない解放感に満ちあふれている。

ラモーンズが出演した「ロックンロール・ハイスクール」をはじめ、「バッド・チューニング」「リアリティ・バイツ」など多くの映画において使用されてもいる。

33. ‘Rockaway Beach’ by Ramones (1977)

ラモーンズのアルバム「ロケット・トゥ・ロシア」からシングルカットされ、全米シングルチャートで最高66位を記録した。

ニューヨーク州クイーンズに実在し、ディー・ディー・ラモーンがよく訪れていたというロッカウェイ・ビーチのことを歌った、パンクロック・ミーツ・サーフロック的な楽曲である。

34. ‘In the Sun’ by Blondie (1976)

ブロンディのデビューシングル「Xオフェンダー」のカップリング曲としてリリースされ、アルバム「妖女ブロンディ」にも収録された。

ニューウェイブなサマーファン感覚に満ち溢れた最高のサマーポップで、繊細さとパンク精神とが入り混じったようなデビー・ハリーのボーカルもとても良い。

35. ‘Summertime’ by DJ Jazzy Jeff & The Fresh Prince (1991)

DJ・ジャジー・ジェフ&ザ・フレッシュ・プリンスのアルバム「ホームベース」からリードシングルとしてリリースされ、全米シングルチャートで最高4位、全英シングルチャートで最高8位を記録した。

クール&ザ・ギャング「サマー・マッドネス」をサンプリングしたトラックにのせて、フィラデルフィア周辺で過ごした夏の喜びについてラップしたこの楽曲はグラミー賞で最優秀ラップパフォーマンス賞を受賞し、その後も夏の定番曲として聴かれ続けることになった。

ザ・フレッシュ・プリンスは当時から役者としてテレビのシチュエーションコメディ番組に出演していたのだが、この翌年に「ハートブレイク・タウン」で映画デビューも果たし、その後は俳優のウィル・スミスとして大ブレイクする。

36. ‘California Dreamin’’’ by The Mamas & The Papas (1965)

ママス&パパスが1965年12月にリリースしたシングルで、全米シングルチャートで最高4位、全英シングルチャートで最高9位を記録した。邦題は「夢のカリフォルニア」である。

カリフォルニア州出身のミシェル・フィリップがジョン・フィリップと結婚し、ニューヨークに住みはじめたのだが、あまりにも寒かったりホームシックになっていた頃につくられた楽曲である。

日本では1980年の夏にコダック・カラーフィルムのテレビCMに使われ、オリコン週間シングルランキングで最高13位を記録している。

ウォン・カーウァイ監督の香港映画「恋する惑星」(1994年)では、飲食店の店員役のフェイ・ウォンがラジカセでいつもこの曲をかけていた。

37. ‘渚にまつわるエトセトラ’ by PUFFY (1997)

PUFFYの4作目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで「これが私の生きる道」「サーキットの娘」に続き3作連続となる1位に輝いた。

作曲・編曲はここまでずっと奥田民生だが、作詞はデビューシングル「アジアの純真」以来となる井上陽水である。

それでナンセンス的なフレーズが多かったりもするのだが、「カニ食べ行こう はにかんで行こう」はさすがに見事だし、「リズムがはじけて恋するモード」で締めくくっているところもとても良い。

往年のディスコヒッツをJ-POP的にカスタマイズしたかのようなメロディーやサウンドも楽しく、日本の夏を感じさせるポップソングの1つとして定着しているように思える。

38. ‘花火’ by aiko (1999)

aikoの3作目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高10位を記録した。

「夏の星座にぶらさがって上から花火を見下ろして」となかなかSF的な表現が用いられているのだが、「こんなに好きなんです 仕方ないんです」という切ない片想いの曲である。

デビューしてからプロモーションなどで忙しくなり友人と毎年行っていた花火大会に行けなくなった寂しさから書いた曲でもあるようである。

39. ‘波乗りジョニー’ by 桑田佳祐 (2001)

桑田佳祐のソロアーティストとしては6作目のシングルでオリコン週間シングルランキングで通算2週1位、年間シングルランキングで4位を記録した。

コカ・コーラのCMソングで、ジャケットアートワークは山下達郎「FOR YOU」やFM情報誌「FM STATION」の表紙などでおなじみの鈴木英人が描いた桑田佳祐のイラストとなっている。

「波乗りジョニー」は桑田佳祐が大学生だった頃にすでに思いついていたフレーズで、いつかこのタイトルで曲をつくりたいと思い続けていたようである。

とにかく最高の夏ソングなわけだが、早くも気分が盛り上がるイントロのピアノは妻である原由子によるものである。

ミュージックビデオでは桑田佳祐がサーフィンをするシーンなども見られてとても良い。

40. ‘君に、胸キュン。’ by イエロー・マジック・オーケストラ (1983)

イエロー・マジック・オーケストラの7作目のシングルでオリコン週間シングルランキングで最高2位、「ザ・ベストテン」で最高3位のヒットを記録した。

この時点においてテクノブームはすでに終息して久しかったのだが、テクノポップが歌謡曲や流行歌にあたえた影響はひじょうに大きく、後にテクノ歌謡と呼ばれることになる様々な楽曲がイエロー・マジック・オーケストラのメンバーやそれ以外の人たちによって次々とつくられていた。

そして、まだ公表はしていなかったもののすでに解散ならぬ散開を決めていたイエロー・マジック・オーケストラが自らテクノ歌謡曲化したともいえるのが、カネボウ化粧品のCMソングでもあったこの曲である。坂本龍一はこの前の年にライバル企業である資生堂のCMソングとして忌野清志郎との「い・け・な・いルージュマジック」を大ヒットさせてもいた。

「かわいいおじさんたち」のコンセプトを具現化したかのようなミュージックビデオも、実に味わい深くてとても良い。