ベストサマーソング100:Part.2
11. ‘青春Night’ by モーニング娘。’19 (2019)
モーニング娘。の通算67作目のシングルとして「人生Blues」との両A面でリリースされた楽曲で、オリコン週間シングルランキングで最高3位を記録した。
「私の人生 エンジョイ!!」をコンセプトにマイルドなチャラギャル感とピュアネスとが奇跡的ともいえるバランスで同居した14期メンバー、森戸知沙希をセンターに抜擢し、フューチャーファンク的でもあるサウンドにのせて歌った素晴らしい楽曲である。
渋谷陽一が前説を務めた「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」フェスティバルのステージでも披露され、オーディエンスの多くを占めていたであろうロックファンからもそのパフォーマンスのすさまじさから「体力おばけ」の称号をいただいたりもしていた。
12. ‘夏休みのBABY’ by lyrical school (2017)
ヒップホップアイドルユニットのリリスクことlyrical schoolはそもそも別の名義で活動をスタートしているのだが、その後もメンバーチェンジを繰り返し、様々なフェイズが存在する。この楽曲はminan、hime、hinako、yuu、risanoの5人体制となってリリースした最初のシングルで、オリコン週間シングルランキングで14位を記録した。
夏という季節のどこが最高なのかがぎっしりと凝縮されたような素晴らしい楽曲で、「夏最高!」と繰り返し連呼されるところなどもとても良い。「SPICYでチョイ甘い EVERYDAY YES! WOW WOW WOW」である。
13. ‘ラブホテル’ by クリープハイプ (2013)
クリープハイプの2作目のシングル「吹き雫れる程のI、哀、愛」に収録された楽曲である。「夏のせい 夏のせい 夏のせいにすればいいからさ」と歌いはじめられるだけあって、最高のサマーポップなのだが、タイトルが「ラブホテル」なのでもちろん性愛について歌われている。
歌詞は女性目線で書かれているのだが、その絶妙な面倒くささも含めてポップソングとしてはなかなかかゆいところに手が届く的な快感が感じられてとても良い。
14. ‘美しい鰭’ by スピッツ (2023)
スピッツの通算46作目のシングルで、Billboard JAPAN Hot 100で最高20位、年間チャートでは10位を記録した。
メジャーデビューから30年を超えるベテランバンドの楽曲でありながら、YOASOBIやMrs.GREEN APPLEといったいまどきの大人気アーティストたちと並んでストリーミングチャートの上位に長期間ランクインしていたのが印象的であった。
もちろんアニメ映画「名探偵コナン 黒鉄の魚影」の主題歌であったことが大きな要因なのだが、バンドとしての本質はブレずにより大衆ポップスとしての強度がナチュラルに上がっているようなところがとても良い。
15. ‘サマータイムラブ’ by Shiggy Jr. (2015)
Shiggy Jr.の最初のシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高28位を記録した。
池田智子のボーカルがとても良いのはもちろん、楽曲がポップに弾けていてとても良い。
夏だから好きな人ともっと長く一緒にいられるというような楽曲なのだが、それが片想いなのでまたさらに良い。そうでなければ少しはつまらなくなるからである。
夏という最高の季節が永遠に続いてほしいという祈りにも似た切実な想いが恋の気分と共に歌われているのだから、つまりそれは優勝であり最高なのである。
16. ‘A Perfect Sky’ by BONNIE PINK (2006)
BONNIE PINKの21作目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高5位を記録した。
人気ファッションモデルのエビちゃんこと蛯原友里が出演した資生堂のスキンケア化粧品、ANESSAのCMソングとしてサビのところだけがつくられていたのだが、問い合わせが殺到したことからフルバージョンが制作され、シングルとしてリリースされた。
この曲のヒットによってベストアルバム「Every Single Day -Complete BONNIE PINK (1995-2006)」がオリコン週間アルバムランキングで最高2位を記録したり、「NHK紅白歌合戦」への初出場を果たしたりもいした。
17. ‘イッサイガッサイ’ by KREVA (2005)
KREVAのソロアーティストとしては5作目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高11位を記録した。
夏休みがいかに素晴らしい日々であり、それを待ち焦がれる気分も含めて最高であるかということについて、具体的かつ直感的にもヴィヴィッドに表現したご機嫌なヒップホップチューンである。
とはいえ、過剰にアゲアゲというわけではまったくなくて、絶妙に日常的でもあるところがとても良い。
「リゾート気分」と「理想の自分」でさり気なく韻を踏んでいるところからはじまり、ドラマ仕立てのミュージックビデオに至るまですべてが好ましい夏すぎてたまらない。
18. ‘ENDLESS SUMMER NUDE’ by 真心ブラザーズ (1997)
真心ブラザーズの17枚目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高41位記録した。
この2年前にリリースされ、オリコン週間シングルランキングで最高81位を記録したシングル「サマーヌード」を、SMAP「青いイナズマ」「SHAKE」などで知られるCHOKKAKUがリアレンジし、よりカッコよくモテやすくしたものである。
真心ブラザーズは元々、フジテレビの「パラダイスGoGo!!」という番組のコーナー「勝抜きフォーク合戦」に出場するために結成され、これがきっかけでレコードデビューも果たすにだが、当初はフォーク時代のRCサクセションなどから強く影響を受けたようなタイプの音楽をやっていた。
それで、90年代半ば、「渋谷系」のモテそうな感じに対しての羨望のようなものが実に分かりやすくて個人的にはとても好感が持てた。そして、「サマーヌード」も先ほど当時のオリコン週間シングルランキングの最高位を記したようにそれほど大きくヒットはしていないのだが、後に名曲としての評価が定着し、2013年分は山下智久によるカバーバージョンがオリコン週間シングルランキングで1位に輝くまでになる。
「その髪の毛で その唇で いつかの誰かの感触を君は思い出してる」という生々しくもたまらない感じが被虐的でとても良い。
19. ‘サンシャイン ロマンス’ by Original Love (1993)
Original Loveの4枚目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高48位を記録した。
オリジナル・ラヴとかORIGINAL LOVEとかいろいろな表記法が見受けられるが、確かOriginal Loveに統一することになったような気がして、以来ずっとそうしているのだが実はよく知らない。
この曲は2016年にNegiccoのMeguがDJでかけていた時に初めて良いと思ったわけで、それまでは聴いたことがなかった可能性がひじょうに高い。「渋谷系」かどうかはよく分からないのだが、とりあえずとても良い夏のポップスであることは間違いがない。
20. ‘サマージャム’95’ by スチャダラパー (1995)
スチャダラパーのアルバム「5th WHEEL 2 the COACH」からシングルカットされ、オリコン週間シングルランキングで最高56位を記録した。
1990年にアルバム「スチャダラ大作戦」でデビューするが、当時はラップミュージックが日本でビジネスとして成立するのかがまだまだ懐疑的な状況であり、「ラップじゃ食えんよ ギャラ10円」「日本じゃどうかな ヒップホップミュージック」といったライムをも含んでいた。
アメリカのヴィブラフォン奏者、ボビー・ハッチャーソンの楽曲をサンプリングしたリラクシンなサウンドにのせて、当時における日本の夏あるある的な内容がラップされていく。「夏本番 海か? 山か? プールか? いや まずは本屋」というフレーズには膝を打ったものだが、いまや街に本屋もそれほど残ってはいない。
それはそうとして、「夏用のテープとかはしっかり作る」音楽ファンあるあるがタイトルにもなっているのだが、「熱めのお茶だ 意味深なシャワーだ」はサザンオールスターズ「夏をあきらめて」からの引用、「薄着! 背のび ちょいカイホー的! テキーラッ! ハメ外しちまおう」の軽快さなどもとても良い。