Insane In The Brain – Cypress Hill (1993)
インディー・ロックファンにもわりと人気があったヒップホップ・グループ、サイプレス・ヒルのアルバム「ブラック・サンデー」から先行シングルとしてリリースされ、全米シングル・チャートで最高19位を記録した。生楽器やエフェクトの積極的な導入や、マリファナ嗜好に特徴があるグループで、トリップしップしたような感覚が音楽にもあらわれている。
Cannonball – The Breeders (1993)
ピクシーズのベーシスト、キム・ディールらによって結成されたブリーダーズのアルバム「ラスト・スプラッシュ」から先行シングルとしてリリースされた。インディー・ロックというフォーマットの中で様々な実験がなされているが、あくまでポップでキャッチーなところがとても良い。「NME」「メロディ・メイカー」両誌で年間ベスト・シングルの1位に選ばれた。
What’s My Name? – Snoop Doggy Dogg (1993)
カリフォルニア州出身のラッパー、スヌープ・ドギー・ドッグのソロ・デビュー・アルバム「ドギースタイル」から先行シングルとしてリリースされ、全米シングル・チャートで最高8位を記録した。プロデューサーはドクター・ドレーで、ジョージ・クリントン「アトミック・ドッグ」やファンカデリックといったPファンクの楽曲がサンプリングされている。
Open Up – Lydon/Leftfield (1993)
セックス・ピストルズ、パブリック・イメージ・リミテッドのボーカリストだったジョン・ライドンとイギリスのテクノ・ユニット、レフトフィールドのコラボレーション曲で、全英シングル・チャートで最高13位を記録した。「Burn Hollywood burn」と一聴してそれと分かるオリジナリティー溢れるボーカルで連呼されている。
Stutter – Elastica (1993)
スウェードの元メンバーでブレット・アンダーソンの恋人でもあったが、この頃はブラーのデーモン・アルバーンと付き合っていたジャスティーン・フリッシュマンを中心としたオルタナティヴ・ロックバンド、エラスティカのデビュー・シングルである。ニュー・ウェイヴ的なサウンドに乗せて、アルコール摂取時における男性の勃起不全というユニークにして深刻なテーマが歌われた素晴らしい楽曲である。1,500枚だけプレスされた7インチ・シングルのみでのリリースですぐに売り切れたのだが、後に「NME」のコンピレーション・アルバム「NME Singles Of The Week 1993」にも収録された。
Sabotage – Beastie Boys (1994)
ビースティ・ボーイズのアルバム「イル・コミュニケーション」から先行シングルとしてリリースされた、ヒップホップとオルタナティヴ・ロックをミックスしたような曲である。スパイク・ジョーンズが監督した70年代刑事ドラマパロディー的なミュージック・ビデオも好評で、新宿ルミネにあった頃のタワーレコードなどでも輸入ビデオカセットが販売されていた。
Cut Your Hair – Pavement (1994)
アメリカはカリフォルニア州出身のオルタナティヴ・ロック・バンド、ペイヴメントのアルバム「クルーキッド・レイン」から先行シングルとしてリリースされたとてもキャッチーな曲である。音楽業界におけるビジュアルイメージの重要性を皮肉っぽくもユーモラスに訴えていて、ミュージック・ビデオではバンドメンバーが床屋で順番を待っている。
Girls & Boys – Blur (1994)
ブラーの3作目のアルバム「パークライフ」から先行シングルとしてリリースされ、全英シングル・チャートで最高5位を記録した。インディー・ロックのブームに便乗してブレイクしたように見られてもいたブラーはその後、デフォルメしたイギリスらしさのようなものを強調したアルバム「モダン・ライフ・イズ・ラビッシュ」で高評価を得て、この曲ではディスコ・ポップ的な享楽志向を取り入れていた。「パークライフ」は全英アルバム・チャートでバンドにとって初となる1位を記録し、ブラーを国民的人気バンドのポジションに押し上げた。
Black Hole Sun – Soundgarden (1994)
ニルヴァーナの大ブレイク以降、アメリカのオルタナティヴ・ロック・バンドが次々と売れていったのだが、シアトル出身のサウンドガーデンもそのうちの1組であった。アルバム「スーパーアンノウン」からシングル・カットされたこの曲は、グランジ・ロック的な音楽性とは異なり、ビートルズからの影響も感じさせるメロディアスなところがとても良い。
Supersonic – Oasis (1994)
ニルヴァーナのカート・コバーンが命を絶ったことが報じられた数日後に、イギリスはマンチェスター出身のオルタナティヴ・ロック・バンド、オアシスがこのシングルでデビューを果たした。全英シングル・チャートでの最高位は31位であった。パンク/ニュー・ウェイヴ的なアティテュードを持ちながらも楽曲はクラシック・ロック的でもあり、スケール感としてはレイヴ・カルチャー以降を感じさせなくもない。これは60年代ノスタルジアなどではけしてなく、この時点でロックンロールの最新型だったということができる。そして、未来への希望そのものでもあった。